先ほど「X40と体積が同じ」と説明されたクーラーユニットだが、その内部に設けられている「フィン」も「空気の流れの邪魔になる」という理由から廃止している。フィンがなくなったことで、空気の流れが乱れなくなり騒音が減り、その分ファンを高速に回転させることが可能になった、という副産物も生み出した。
X41の使い勝手に関しては従来のX40とほとんど変わりはない。いくつかのユーティリティでは、改善が施され、例えば、パワーマネジメントユーティリティは「省電力マネージャー」と名称を変え、少ないステップで設定できるようになり、かつ、バッテリーパック寿命の延命化のために満充電状態まで充電できない「充電しきい値」を設定できるようになった。
このように、指紋認証の導入や、ユーティリティにいくつかの改善点があるものの、やはり、X41の存在意義は、低電圧版Pentium MとDDR2-533メモリ、そしてIntel 915GM(構成要素としてはIEEE 802.11a/b/gに対応した無線LANモジュールもあるが)というフルセットの新世代CentrinoをX40の筐体に詰め込んだ、ということに尽きるだろう。
ゆえに、X41を購入するなら、その内部構成、とくにパフォーマンスに意味を見出せるユーザー、ということになる。ことに20%程度短くなってしまったバッテリー駆動時間はパフォーマンスより携帯性能を重視するユーザーに「X41は後退した」ととらえられるだろう。
開発陣は「新たに盛り込んだ省電力機能のおかげで、本来なら半分程度になるはずだったのが20%減で済んだ」というが、残念ながら、使い手にしてみれば「持続時間が短くなった」という外面的な部分だけが評価の対象となる。
軽量化と長時間バッテリー駆動の必要性は、ThinkPad開発陣も十分認識しているという。ただし、日本IBMのころからThinkPadで必要としてきた「クオリティ」(それは堅牢性であり、充実したインタフェースであり、1枚構成のシステム基板であったりする)と両立させるのは非常に難しい、そうだ。
このThinkPadの「クオリティ」を理解し、かつ、バッテリー駆動時間よりも高いパフォーマンスを必要とするユーザーならThinkPad X41は有効な選択肢となりうる。そして、携帯性能を優先するユーザーならThinkPad X40を選ぶのが無難だろう(それでも標準バッテリーで駆動時間は3時間であるが)。
今の“X”シリーズのラインアップでは「常時持ち歩くので携帯性能も大事だが、指紋認証などのセキュリティ機能も必要」という一番ありそうなユーザーが一番困ってしまう。そういうユーザーは「指紋センサーを内蔵したX40が欲しい」と声を大にして叫んでみるしか、いまのところは手がないようだ。
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