私は如何にして“収納”するのを止めて“捨てる”技術を身につけたか。(1/3 ページ)

» 2005年06月14日 00時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

「捨て上手」vs「捨て下手」

 妻は「捨て上手」である。

 とりあえず使わないもの、いらないと思われるものは、ためらうことなくゴミ袋に放り込む。気が付けば、私が読み終わっていない雑誌すら捨てられている(読みたかったのに!!)。

 かくて我が家は、子ども2人のいる家庭にしては驚くほど、すっきりと片づいている。収納スペースもけっこう余っている。収納スペースを使い切るほど、モノがたまらないのだ。

 私は元来「捨て下手」だ。根が臆病者なのである。

 『これは後々、必要になるかもしれない。使うかもしれない』

 そんな考えが頭をよぎり、ゴミ袋に突っ込む直前にビクビクしてしまう。仕事で使う資料や書籍はもちろん、本や音楽CDも貯まっていく一方だ。仕事柄ということもあるけれど、情報を収集し、手元に置いておかないと不安なのだ。しかも収納技術は持ち合わせず、ずぼらな性格が整理整頓を拒絶する。

 そういえば引っ越しのとき、妻の私物は段ボール2箱。筆者の私物は段ボール20箱を超えていたっけ……。

ScanSnapが実現する「捨てられる自由」

 捨てる技術に「デジタル」の概念を持ち込んだのも、実は妻の方が先である。彼女は子どもの服やおもちゃなど、“思い出の品”もあっさりと捨てる。しかし捨てる前に、それらをデジカメで撮影し、モノから“思い出”という情報だけを切り出し、PCに保存することを始めたのだ。

 『そうか、デジタルに逃げればよかったのか』

 物理的な「パッケージ」ではなく、中にある「情報」だけが必要で、捨てられないものは多々ある。筆者が溜め込んでいた書類や本、CDはその筆頭だ。必要なのは中身である。大容量HDDやDVD-Rが格安で手には入る今、旧来的なパッケージはスペース効率が悪いだけだ。

 こうして私は、あふれるモノたちのデジタライズを始めた。

 最初は音楽CDから。アップルコンピュータの「iTunes」を使い、ビットレート192Kbps以上の高音質モードで音楽CDをリッピング。クラシックやジャズはCDクオリティのまま変換できる可逆圧縮のアップル・ロスレス・エンコーダ方式を使用した。約40Gバイトのハードディスク容量と引き替えに、200枚以上あった音楽CDを捨てる自由を手に入れた。

 しかし、問題になったのは、紙の資料である。

 私は専業ジャーナリストであり、企業の客員研究員として各種調査・コンサルティング業務にも携わっている。どちらも「情報」を扱う職種であり、1日数十枚〜100枚の単位で資料が増えていく。これらを簡単にデジタル化する方法はないものか。

 フラットベッドスキャナや業務用デジタル複合機の中には、自動原稿送り装置(ADF)を使って、複数枚の紙資料を一括スキャンする機器がある。しかし、これらは大型で高額、しかも画像ファイルとして取り込まれるので、後々の管理が面倒そうだ。検討に行き詰まったときに、ある雑誌の編集長に紹介されたのが、PFUの「ScanSnap」だった。

神尾寿氏の書斎の作業環境。「ScanSnap」は「Let'snote LIGHT W2」に接続され、取り込んだPDFドキュメントは無線LAN経由で「iMac G5」からも参照できる

 ScanSnapは「紙文書のデジタル化」をするための専用ドキュメントスキャナであり、セットした複数枚の資料をワンプッシュでPDF化してくれる。

 本体はコンパクト。SOHOはもちろん、パーソナルユースでも邪魔にならない大きさだ。直販サイトのPFUダイレクトで4万9800円という価格は、企業・SOHOでの導入はもちろん、個人が生産性向上のために“自己投資”するのに、高すぎる額ではないだろう。

 導入してまず感心したのが、利用の気軽さ。ボタン1発でPDF化される簡単さと、1分15枚の高速スキャン性能により、書類のデジタライズが負担を感じずに行える。私の場合、「紙を捨てること」を前提にしているため、ファインモードを標準使用にしているが、それでも十分に速い。

「スキャン」ボタンをワンプッシュするだけで、大量の紙資料をPDF化することが可能だ

 最近では、紙資料は持ち帰ったらすぐにScanSnapでスキャンするようにしている。その後、原本はシュレッダで廃棄する。ScanSnapによるPDF化環境により、臆病で捨て下手な私が「捨てられる自由」を手に入れたのだ。

PDF化で手に入るポータビリティ

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