「GV-MVP/GXW」は、豊富なラインナップを持つアイ・オー・データ機器のTVキャプチャーカード製品における新製品だ。2ストリームを同時処理できるMPEGエンコードチップ「XCode II-L」を採用し、さらにチューナーを2基搭載することで、1枚のカードで2番組同時録画を実現する。
同社はすでにGV-MVP/RX2W(レビュー参照)というWチューナー/2番組同時録画対応製品も発売しているが、今回はMPEGエンコードチップに「XCode II-L」採用したことが大きく異なる点である。GV-MVP/RX2Wが一般的なTVキャプチャーカード2つ分の回路をまるまる1枚に集約しているのに対し、GV-MVP/GXWは2ストリーム分の信号を1枚のチップでまかなえるXCode II-Lにより、チューナー部やデコーダー、高画質化回路のみが2つ分となっている。
この点はまずカードデザイン的なメリットを生んでいる。GV-MVP/RX2Wの長辺が約190ミリなのに対してGV-MVP/GXWは約168ミリと、22ミリほども短くなり、設置スペースに制限のあるキューブ型・スリムブック型などの小型PCへも装着しやすくなっている。またこれはシングルチューナーでXCode II採用のGV-MVP/GX(レビュー参照)と同じサイズだ。
次にMPEGエンコードチップが1つで済むことで、シングルチューナー製品に対して割安感も出ている。ITmedia Shoppingの平均価格で見ると、RXシリーズではシングルチューナーのGV-MVP/RX2が1万4000円ほど、ダブルチューナーのGV-MVP/RX2Wが2万2000円ほどと約8000円の価格差があるのに対し、XCode II採用のGXシリーズではシングルチューナーのGV-MVP/GXが1万9000円、そして今回のダブルチューナー仕様GV-MVP/GXWが2万4000円ほどとその価格差は5000円程度で、ぐっと割安感がある。もちろんハイグレード製品ということで、絶対価格はGXシリーズの方が高いのではあるが。
MPEGエンコードチップであるViXS「XCode II-L」が低ビットレートでのエンコードに強い点やハードウェアトランスレートも行えることは、2番組同時録画とはとくにマッチングがよい。おまかせ録画が可能なソフトウェアと2番組同時録画機能を合わせれば、シングルチューナー製品と比較するとより多くの録画ができることになり、より低ビットレート、つまり小さなファイルサイズで必要とする画質が得られることは、この場合ことさら重要になる。
実用的かどうかはともかくとして、D1解像度(720×480ピクセル)でも最低1Mbpsから録画が可能だ。一般にLPモードや長時間モードと呼ばれる2Mbpsであれば実用画質が得られることは、同社のXCode II採用モデルである「GV-MVP/GX」(レビュー参照)でも証明済みだ。
これはたとえば、DVD-Videoとして片面DVDメディア1枚に3時間、4時間分といった保存をしたい場合でも、D1解像度を維持できることになる。必ずしも「高解像度イコール高画質」ではないが、DVD-Videoの場合、規格の都合上、D1解像度より低い解像度はハーフD1の352×480ドットとなり、いきなり水平解像度が半分になる。これは視覚上も分かりやすい差となって表れることになる。少なくとも鮮明な画質という点で、D1解像度を維持できるメリットは大きい。
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