では、AQUAGATE Mini R120導入前後のCPU温度を測って調べてみることにしよう。「スーパーπ」の3355万桁計算直後の温度を計測した。測定に使ったマシン構成と結果は以下の通りだ。水冷キット導入前のCPUにはリテールクーラーを装着、測定時の室内温度は25.3度である。
テスト環境 | |
CPU | Athlon 64 3000+ |
HDD | IDE接続(120Gバイト) + IDE接続(80Gバイト) |
メモリ | PC3200 256Mバイト×4 |
グラフィックスカード | 玄人志向「RD70-A64C」(RADEON7000搭載) |
テスト結果 | アイドリング中のCPU温度 | Superπ測定後のCPU温度 (アイドリング時との差) |
リテール環境 | 27.6度 | 39度(+11.4度) |
AQUAGATE Mini R120(LOWモード) | 27.4度 | 41.8度(+14.4度) |
AQUAGATE Mini R120(HIGHモード) | 27.4度 | 36.2度(+8.8度) |
使用環境による結果としては、ファン回転数を最低にした状況でもCPU温度が急激に上昇することはなく、じわじわと熱くなっていった様子だ。水流が十分にあり、基本的な放熱効果がそこそこだが、LOWモード時では時間経過とともにファンとラジエータによる放熱が追いつかなくなっている印象が感じられる。
とはいえ、Superπ計算中の約45分で約15度程度の上昇におさまっている。一晩かけて行うような大量ファイル一括MPEG変換やオーサリングを一挙に行うなどのヘビーな作業をしなければ、最低回転数でも使用マシンの場合ではダメージを与えるほどにはないだろうと思われる。もちろんこのモード時ではファンはもとより、ポンプの騒音などもほとんど聞こえず(公称値で18.3デシベル)、リテールファンよりも確実に静音で動作する。
最大回転(HIGHモード:2300rpm)時では、さすがにファンノイズが耳に付くかなぁという印象だ。しかし冷却性能はそれだけ高くなる。テストでも測定前から10度以下の温度上昇レベルに押さえた。
このため、普段は最低回転(LOWモード)付近で使い、ヘビーな作業をする時だけフル回転(HIGHモード)で稼働するといった使用方法が理想的な使い方だ。そのキットサイズは小柄ながら、発熱量の多いPrescottコアPentium 4やXeonマザーにも安心して組み込める体力はあるといえよう。
AQUAGATE Mini R120は見た目の派手さはないが、こと静音性と冷却性能に関しては結構なできだと思う。本体がコンパクトなので、CPUの熱をケース内に漏らさない構造を活かして、スリムタイプのケースに組み込むのも効果的だと思う(サイドパネルの通気口が必要だが)。なお8センチファン+ラジエータを搭載する、より小さい姉妹モデル「AQUAGATE Mini R80」なら、8センチファンを搭載できるスペースがあればいいため、より小型なキューブ型マシンにも導入できる可能性が高い。数ある製品の中でもひときわ“しっかり者”な印象を残す水冷キットだ。
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