おなじみのNVIDIA SLIはGPUを2つ組み合わせて3D処理能力を向上させる技術だ。Quad SLIは4つのGPUを組み合わせて3D処理能力を向上させる。
NVIDIAが示すQuad SLIのスペックには「1.3 Billion Tansistors!」「41 Gigapixcels/sec!」「96 pixel pipes」「2GB on-board graphics memory」「5.2 TFLOPS of total compute power!」と強烈な値が並ぶ。
しかし、もちろんそれは4つのGPUが扱う値を単純に「合計」したもので、1つあたりのGPU性能は従来の「GeForce 7800 GTX」と変わらない。
「リリースではGeForce 7800 GTX 512相当のGPUが4つ、ということではなかったか」という指摘は鋭い。実際GPU1つあたりが扱うビデオメモリは512Mバイトである。この件についてNVIDIAは「GPUはGeForce 7800 GTX 512相当であるが、4つのGPUを同期させるため、動作クロックはGeForce 7800 GTXと同じにしている」とコメントしている。
4つのGPUを組み合わせるQuad SLIであるが、その実装形態はGPUを1つ載せた「1枚のボード」を2枚組み合わせた「グラフィックスカード」2組用意し、それぞれをPCI Express X16スロットに差す、ということになる。
Quad SLIに対応しているのは、現在のところチップセット「nForce 4 SLI X16 for Intel Editon」搭載マザーのみ(その前日に取材したデルのプライベートブースでは“NVIDIAのチップセットではなくインテルのチップセットだ”と説明されていたが、NVIDIAでは“そんなことはないよ”といわれた)。
ちなみに、AMDプラットフォームに対応したQuad SLI ready マザーは?の質問に対して、「技術的には可能で、すぐにでも出すことはできる。しかし、今回は、“インテルのCPU”しか採用していないデルの製品でQuad SLIを実現するために、まずはインテル対応プラットフォームで登場させることになった」と説明している。
先ほども説明したように、Quad SLIは2本のPCI Express X16のスロットを使うことになる。しかし、NVIDIAはQuad SLIで「4つのPCI Express X16レーンを使う」とも説明している。これは、どういうことだろうか。
NVIDIAの説明によると「2つのGPUを実装した1枚のカードは16本のPCI Expressを使う。カードにはPCI Expressのレーンを切り替えるスイッチが実装されていて2つのGPUに16本のPCI Expressレーンを動的に割り当てられる。ゆえにQuad SLIで構成される4つの各GPUは最大16本のPCI Expressレーンを使うことが可能だ」という構造になっているようだ。
スイッチはグラフィックスカード側に実装されるため、マザーボード側でとくに変更は必要ない。nForce 4 SLI X16 for Intel Editonにかぎらず、nForce 4 SLI X16 for AMD EditronでもそのままQuad SLIに対応できる。ただし、Quad SLIに対応するForceWareがRelease 85からとなる(ということは、デルのQuad SLI対応PC「XPS 600 Renegade」が登場する春にはForceWare 85が登場する、ということか)。
マザーは即対応可、春には対応した ForceWareのRelease 85登場、となっても、自作ユーザーがすぐQuad SLIを堪能できる可能性は、いまのところ少ない。NVIDIAはQuad SLI対応のグラフィックスカードをリテール向けに出荷することについて、明確な発言をしていない。
「今回のQuad SLI対応パーツは、デルのPCに組み込む、いわば特別に登場した製品だ」(インタビューに答えてくれた、デスクトップGPUプロダクトマネージャーのジェイソン・ポール氏)ということで、グラフィックスカードベンダーへの供給も現在のところ「考えていない」(ポール氏)ということになっている。
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