DESKPOWER LXシリーズは、富士通の液晶一体型PCで売り上げ、モデル数ともにその中核をなすラインアップだ。17インチ、19インチ、20インチワイドといった液晶ディスプレイを搭載する3種類のモデルに分かれるが、今回は20インチワイド液晶ディスプレイ搭載に加え、デジタル放送チューナーを搭載した最上位機種のLX90R/D
を紹介する。
2005年4月に発売されたモデルから、デジタル放送受信機能をサポートしているLXシリーズだが、3代めとなるLX90R/Dでは、録画した番組をDVD-RAMへムーブできるようになった。なお、これより前のデジタル放送対応モデルも、富士通Webサイトのサポートページから無償でダウンロードできるアップデートをインストールすれば、ムーブ機能が付加される。
LX90R/Dのムーブ機能は、録画した番組単位でのみできる(番組内の特定範囲だけをムーブすることはできない)点や、副音声はムーブできない、5.1chサラウンド音声はダウンミックスされるなど、制限事項は多い。しかし、一方で、複数枚のDVDに分割してムーブできる機能を用意しているので、大容量になる長時間番組の保存や、高いビットレートで記録した番組の保存などができることは評価したい。
気になるのはムーブ処理にかかる時間だ。ムーブしたい番組を再生するのに要する時間の実に約2倍もかかるのだ。1時間番組ならムーブに2時間もかかってしまうことになる。富士通の説明によると、DVD向けのダウンコンバート処理をCPUを使ったソフトウェア処理で行っているため負荷が高く、そのために時間がかかるとのことだ。
ムーブ処理中はデジタル放送が視聴できないだけでなく、予約録画の実行もできない。ムーブ処理の実行前に録画予約時間をPC側でチェックして、時間が重なる場合はそのことを注意するメッセージが出るようになっているが、先ほど紹介した複数枚のDVD-RAMに分割してムーブしているときに、メディアの交換タイミングで処理を止めているとムーブ処理の状態が継続してしまうため、予約している録画開始時間に重なる可能性がある。
PCで録画したデジタル番組のムーブできるだけでも画期的であるが、LX90R/Dはさらに「ダビング」機能まで用意されている。これは、予約録画実行時に「ダビング」モードを指定することで、HDDに映像を残したままDVD-RAMに映像を保存できるようになる。
コピーアットワンスのコンテンツに関する厳しい運用制限に一条の光明を見いだすこのダビング機能だが、やはり「制限」がある。まず、ダビングの可否が予約録画時でしか設定できない。ライブ視聴中の録画はダビング対象として扱えず、ムーブ対象のみとなる。
さらに、予約録画時もダビング対象として保存できるのはHDDに1つだけに制限される。すでにダビングモードに設定された録画番組が存在すると、予約録画設定時でダビング対象として設定できないのだ。この制限はダビングモードで設定した番組の録画が終了しただけでは解除されず、DVD-RAMへのダビングを終了しなければならない。
実際にダビング機能を利用する場合、「ダビング予約録画設定」→「録画」→「DVDへダビング」→「再度ダビング予約録画設定」というサイクルを繰り返すことになる。この「制限」のため、ダビング機能を気軽に使うことは難しい。毎週放送される連続番組をダビングしたいなら曜日指定によるスケジュール予約は使えない。翌週の番組が放送される前にDVDへのダビングを終了して、再度予約設定を行わなければならないのだ。
せめて、録画したら自動的に「DVDへダビング」→「次回のダビング予約録画設定」が可能であれば、連続物に便利なのだが現状のルールでは難しいようだ。また、複数枚のDVD-RAMに分割して保存する機能はダビングで使えないことも注意しておきたい。
このように、制限事項だらけで分かりにくいためか、せっかくのダビング機能もあまり声高に宣伝されてないようだが、評判の悪いムーブの制限を少しでも緩和しようとする富士通のチャレンジは高く評価したい。
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