HDDとDVDにデジタル放送が残せる“ダビング”PC──富士通「FMV-DESKPOWER LX90R/D」2006年春の地デジ対応モデル連続レビュー(3/4 ページ)

» 2006年03月03日 16時00分 公開
[八木慎伍,ITmedia]

レスポンスの良いインスタント機能だがデジタル放送との相性に難

 FMV-DESKPOWER LXシリーズは、AV利用を重視するPCらしく快適に操作できるインスタント機能を実装している。リモコンの「TV」ボタンを押すと約12秒後にアナログTV番組が視聴できる。インスタント機能では予約録画こそできないが、HDDへの録画に加えてDVD-RAMへの直接録画も可能だ。インスタント機能でDVD-RAMのフォーマットもサポートするなど機能は充実している。

 操作に対するレスポンスも速い。「MyMedia」ボタンですぐにメニュー画面に戻れるだけでなく、録画した番組の再生中に「TV」ボタンを押すと、間髪入れずにTV視聴に切り替わるなど、機能の切り替えでストレスをまったく感じさせない。

 ただし、デジタル放送を利用するにはWindowsを起動しなければならない。電源オフの状態からOSを起動し、デジタルTV視聴ソフト「DigitalTVbox」を立ち上げてようやく視聴できる。電源を入れてからここまで約2分もかかってしまうのだ。

 スタンバイ状態なら「デジタルTV」ボタンを押せば、約30秒から40秒でデジタルTV番組の視聴ができるが、スタンバイ状態ではインスタント機能が利用できない。さらに、インスタント機能を利用している最中はデジタル放送の予約録画が実行されない(事前に予約していても実行されないのだ)など、インスタント機能とデジタル放送受信機能の相性はすこぶるよろしくない。

 ユーザーがデジタル放送のハイビジョン画質を重視するのであれば、せっかくのインスタント機能は使わないのが無難、ということになってしまう。

 Windows上で動作する環境ですべてを視聴すればこの問題は解決する。アナログもデジタルも同時に予約録画できるので、インスタント機能を使っているときのように録画に失敗することもない。ところが困ったことに、今度はインスタント機能で快適だったすばやいレスポンスがWindows上では実現されないのだ。

 LX90R/Dは、アナログTV向けに「TVfunStudio」、デジタルTV向けに「DigitalTVbox」、DVDの再生では「WinDVD」と、コンテンツの種類ごとに異なるソフトを使うため、いったん視聴している再生ソフトを終了させないと、違い種類のコンテンツが利用できない。

 デジタル放送を視聴しているときにアナログ放送の番組を見たくなったら、「DigitalTVbox」を終了させてから「TVfunStudio」を起動させなければならない。リモコン操作では「起動ボタンを再度押すとソフトは終了する」という独特の操作手順を会得する必要がある。デジタルTVを視聴中に「デジタルTV」ボタンを押して「DigitalTVbox」を終了させ、続けて「TV」ボタンを押して「TVfunStudio」を起動する流れになる。

 慣れればそれほど気にはならないかもしれないが、インスタント機能の快適さと比べると、煩雑なだけでなくレスポンスも遅い。ソフトの開発元が違うため、ユーザーインタフェースのデザインも異なり、操作は統一されていない。百歩譲って、使うソフトが別々でも、リモコン操作で「自動的に終了→次のソフトの起動」をワンアクションで実行させるなど操作性を改善して欲しい。

 なお、「DigitalTVbox」は、地上/BS/110度CSの各デジタル放送を視聴して録画する機能はあるが、タイムシフトに対応しておらず番組の録画中に一時停止などの操作ができない。また、全画面モードでのみ動作するため、子画面で表示して「ながら視聴」といった使い方もできない。アナログTVと比べると使い勝手は見劣りする。リモコンの使い勝手も含めて、ここもソフトの改善を期待したい。

インスタントモードではすばやく快適なTV環境もWindows上で使うとインタフェースの不統一など問題も多い。リモコンで操作する場合も「デジタルTV」「TV」ボタンの「トグル」的な使い勝手を知っておく必要がある

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