動作速度についてさらに比較してみたい。3Dグラフィックスのパフォーマンスを計るクロスプラットフォームのベンチマークソフト「CINEBENCH」と、Macの定番ベンチマークソフト「Xbench」を使って、PowerBook G4(1.67GHz)とMacBook Pro(2GHz)の性能を比較してみた。また、参考としてIntel Core Solo版/Intel Core Duo版のMac miniの値も掲載している。
テスト結果を見てもらうと、CPUの違いが単純には比較できないことがわかる。
例えばPowerBookとMacBook ProのCPU性能差をとってみても、CINEBENCHでは約3.2倍とアップルの宣伝文句に近い性能差が出ているが、Xbenchのスコアはほとんど変わらない。この結果をさらに細かく見ていくと、GCD LoopやFloating Point Basic(基本浮動小数点演算)のテストでは、MacBook Proが2倍近く高速だったが、逆にvecLib FFT(PowerPC G4/PowerPC G5に搭載されているSIMD機構を使ったフーリエ演算)ではMacBook Proが半分以下のスコア、浮動小数点演算ライブラリを使ったテストでもインテルCPUへの最適化が十分ではないのか、26%だけ速いという結果に落ち着いている。
このように実際のスピードは作業内容によって大きく変わる。また、実測値は省くがMP3やH.264での圧縮でもIntel Core Duoのパフォーマンスを存分に生かしているとは思えない結果だった。これはおそらくMac OS XやQuickTimeそのもののインテルCPU最適化が十分でないからだろう。
ただしこれは、今後Universal Binary化されたソフトが増え、Mac OS XやQuickTimeのインテルCPU最適化が進めば、MacBook Proは今以上の性能を発揮するということの裏返しでもある。現在でもほとんどの用途に十分使える性能なのだから、「その可能性を想像する」と確かに楽しみになってくる。アップルが掲げる4〜5倍速いというテスト結果は、同じような数値演算だけを続けて行なうというかなり特殊なケースの話だが、OSやアプリケーションの最適化が進めば、実際のアプリケーションの動作速度もこれに近い比率で伸びていくはずだ。
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