MacBook ProとPowerBook G4を細かく比べていくと残念な点もいくつかある。すぐに気づくのは、電源アダプターのサイズが大きくなったことだ。新アダプターのサイズは79(幅)×102(奥行き)×28(高さ)ミリと、従来のPowerBook G4用に比べて幅が6ミリ、奥行きが29ミリ広くなった。厚さは従来通りだし、鞄に入らないということはないと思うが、これまでの愛らしい正方形サイズでなくなったのは残念だ。重量も320グラム(従来は210グラム)と100グラムほど重くなっている。
もう1つ、PCカードスロットがなくなってしまったのも大きい。MacBook ProではPCカードスロットの代わりにExpressCard/34スロットを採用した。長期的に見ればいいことなのかもしれないが、現状でこれに対応したカード類はほとんどなく、役に立たない。PCカードスロットでデジカメの画像を取り込んだり、通信用PHSを使っていた人にはかなり切実な問題だ。というのも、PCカードスロットではどんなタイプのフラッシュメモリ用アダプターでも本体にすっぽり収納して持ち歩くことができたが、ExpressCard/34は幅が狭く、現在数社が開発中のコンパクトフラッシュ/SDメモリカード用アダプターでは、フラッシュメモリーの格納部分がカードスロットからはみ出る形状になっている。これではメモリーカードを挿したまま持ち歩くのは不安だ。また、PHS通信カードに至っては対応製品の開発計画すら聞かない。このほか、FireWire 800端子やS-Video端子もMacBook Proでは省かれている。
さらに液晶部分の開く角度がPowerBook G4に比べて10度ほど狭くなっている(PowerBook G4では液晶パネルが130度まで開いたが、MacBook Proでは120度までしか開かない)。車の中など狭い場所でMacBook Proを膝において操作するときや、傾斜のついた台に置いて操作する場合に少し不自由を感じそうだ。
本体サイズが微妙に変わっている点も注意が必要だ。厚さは25.9ミリと従来の15インチPowerBook G4に比べて2ミリほど薄くなっているが、その一方で幅は357ミリ、奥行きは243ミリと少しづつ大きくなっている。このため15インチPowerBook G4にピッタリとフィットしていたケースなどはそのまま流用できない。
PowerBook G4から買い替える場合、これに加えもう1つ気になるのが、本体デザインが似ていることだ。確かにiSightが内蔵され、赤外線ポートがつき、15インチサイズながらラッチが2つになっていたり、トラックパッドが大きくなっていたりと小さな外観変更はたくさんあるが、ぱっと見の変化はそれほどない。おそらく黙っていたらマシンを変えたことに気がついてくれない人もいるだろう。
しかし、そんなことを気にせず1人満足に浸れる人にはお勧めしたい。何より待望のインテルCPUを搭載した初のノート型Macという歴史的製品でもある。アップルはそうした小さな喜びを満たす演出も忘れてはいない。同機を購入すると、おそらくアップル史上もっとも薄くてセクシーな箱に驚かされる。箱を開ければ液晶ディスプレイの下の製品ロゴを見て微笑みがこぼれる。これまでのような印刷されたロゴではなく、高級感溢れる鏡面仕上げに変わっているからだ。
プロフェッショナルユーザーとなると、使用アプリケーションの対応状況によって購入時期が変わってくるのは当然だが、Mac好きのユーザーにとっては、ぜひとも買っておきたい記念碑的製品であることは間違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.