一方のテレビは、一応本機専用となっているが現行世代の家庭用テレビ単体製品である37V型の「AQUOS LC-37BD1W」(2006年1月の記事参照)そのものだ。4波長バックライトを採用し、デザイン、サイズ、重量、大枠のスペックも家庭用モデルと単体価格を含めて概ね同じ。現状のスタンダードハイビジョン解像度といえる1366×768ドットの液晶パネルを採用し、デジタルチューナーを2基搭載する。HDMIを含めてAV入力端子も豊富に備え、ほかのAV機器との接続にもまったく難はない。異なるのはPC連携機能のためのコントロール端子(RS-232C)を備えるくらいで、基本機能面で省略されたものも見た感じでは存在しない。
PC本体とテレビはDVI-I、アナログ音声ケーブル、コントロール用専用ケーブルの3本で接続する。DVI端子はHDCPに対応し、PCで受信したデジタル放送やデジタル放送を録画した映像も、当然そのままテレビにハイビジョン出力できる。これ以外に、それぞれにTVアンテナケーブルを接続する。本機では地上波だけでもアナログとデジタル合わせて4系統の接続を行う仕様であるため、標準でアンテナ3分配ユニットも付属している。なお、テレビ側の地上アナログ入力に分配出力機能を備えるため、アンテナケーブルは3分配することで地上波はまかなえることになる。
今回はやはりその画質、とくに映像表示とPC利用時の画質の両立がどのくらいとられているかに注目したい。
映像表示に関してはさすがに“AQUOS”といった印象。輝度に不満はないし、赤の表示もとりわけ鮮やかだ。HD収録されたハイビジョン番組を内蔵チューナーで視聴しても不満を感じることはない。昨今、大型テレビを導入するならばフルHD解像度であることを気にするユーザーもいるだろうが、このようなこだわりユーザーは純粋な家庭用機器を導入するほうがよいとも思われ、残念ながら本機付属のAQUOSはフルHDパネル採用のものではない。ただし次期インターネットAQUOSには、最高峰の65V型以上フルHDパネル搭載AQUOSも選べるようになることも期待したい。
PC利用時の画質もまったく気にならない。DVI入力にはPC用の画質モードが準備され、PCのデスクトップ入力に切り替えると発色はやや控えめに、輝度も押さえ気味となるこのモードが自動的に適用される。さらにPCからTV視聴ソフトを起動すると、映像視聴に適する、色鮮やかに表示するモードに切り替わるなど、ユーザーが意識せず、適切な画質モードに自動的に切り替えてくれるのは好印象だ。ちなみに本機のTV視聴ソフトがウインドウ表示をサポートしないのは、この仕組みの都合もあると思われる。
1366×768ピクセルというパネル解像度も、適切な距離感が確保できており、印象がよい。PC利用においてより高い解像度であることに越したことはないが、それは1つの机上にディスプレイとキーボードを置いて利用する場合の話だ。本機の場合、そのディスプレイサイズから(評価機は37V型、ほか32V型がある)、最低でも1メートル以上はテレビから離れて利用することになる。37V型でこの解像度であるならば、視聴位置から見える文字サイズにも無理がない。もちろんこれは実使用時におけるバランスの問題であり、仮にフルHDパネルを採用していたとしてもフォントサイズを大きくするなどの工夫で済むことかもしれないが、リビングルームで使うPCという前提もある本機にはちょうどいいといえるのではないだろうか。なお、PCからの表示解像度は1360×768ピクセルになるが、フルスクリーン表示と左右を3ドットずつ使わないドットバイドット表示もサポートしており、後者のほうが僅かながらシャープな印象で利用できる。
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