1920×1200ドットのディスプレイそのものは旧モデルから変更はない。輝度は350カンデラ平方メートルとイマドキのAVノートPCとしては少々控えめな値だが、明るい室内でも十分にTVを楽しめる。AVノートPCとしては視野角、とくに上下はあまり広くないが、そもそもノートPCのディスプレイを見上げるように見ることは少ないだろうし、大人数で遠くから見る使い方はノートPCでは現実的ではない。視聴するためのベストポジションはPCとして操作するポジションであり、視野角に不満を思うことは少ない。
1920×1200ドットの解像度はPCとして使っていても圧倒的な迫力をユーザーに与えてくれる。スプレッドシートなどを全画面表示すると、例えばExcelの初期状態ではA-Z列まで表示できてしまうのだ。もちろん、17インチというノートPCとしては大きいサイズであっても1920×1200ドットという解像度ではデスクトップアイコンやフォントも小さく表示されてしまうのだが、試用機は初期状態でアイコンが大きめに変更されており、できるだけ画面上のアイコンや文字が認識しやすいように配慮されていた。G30/697HSの場合、17インチワイドのディスプレイでここまでの解像度を求めるというよりは、デジタル放送やHD DVDビデオの視聴に「フルHDパネル」というキーワードを求めるユーザーが多いと思われる。しかし、このようにPCとしても普通の感覚で使えるようにする配慮もメーカーの姿勢として評価していいだろう。
今回の評価で使ったHD DVDビデオのコンテンツは市販パッケージではなく、H.264やVC-1といった複数のコーデックでエンコードされたHD映像が収録されているサンプルディスクを用いている。再生は「InterVideo WinDVD HD for TOSHIBA」で行った。現在登場しているHD DVD-ROMドライブ搭載製品の多くが同等製品を採用している。また、地上デジタル放送の映像や、1080iでHD収録されたWindows Media Videoフォーマットのサンプルビデオなども合わせて評価のために再生した。
再生した映像は極めて密で色乗りもリッチ。少々ノイズっぽさを感じる場面もあるが、解像度が高いおかげでソースの良し悪しがストレートに出てしまう面もある。とくにビットレート不足といわれている地上デジタル放送では背景部分などのノイズが気になることも多かった。17インチワイドの液晶ディスプレイではスタンダード解像度と言える1400×900ドットのノートPCの画像と比較してみたが、解像度が低い分、ノイズなどがうまく隠れてしまうため、HD映像は地上デジタル放送がメインという使い方だと1920×1200ドットという高い解像度はちょっと損をしそうだ。もちろん映像ソースが良好であれば、フルHD再生が可能なG30/697HSの緻密な解像感が見た目にも分かる。
以上のように、現状では高解像度の静止画再生においてG30/697HSの魅力がより発揮できるようだ。静止画を表示させるとまるで額縁に飾った写真や絵のように見えて、ちょっと不思議な感覚になる。本来のPC用途においてG30/697HSの解像度は明らかに過剰スペックであるのだが、映像や静止画再生では決してオーバーな解像度ではないことを納得させられてしまう。
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