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» 2006年08月14日 14時00分 UPDATE

山谷剛史の「アジアン・アイティー」夏休み番外編:リアルなメイドさんを中国で雇ってみた (1/2)

もはや「お帰りなさい、ご主人さま!」という台詞も一般社会に認知されたメイドさん。なんと、お隣中国ではメイドさんを雇うのが一般的なのだとか。

[山谷剛史,ITmedia]

 世界の工場と呼ばれる中国では人件費がべらぼうに安い。中国人の中でも農民工(略称「民工」)と呼ばれる農村からの出稼ぎ労働者が工場で月給1万円ともそれ以下とも言われる金額で働く。そういった人々は工場のある沿岸エリアだけでなく、工場の少ない内陸の都市にもやってきて職探しをする。

 そういった生産現場以外で需用のある職の1つが「メイド」なのだ。農村で育ち都会に行ったことがない若くて純粋な女性が多くその職を得る。彼女らも工場労働者と同様に非常に安い賃金で雇うことができる。個人的な事情で恐縮であるが、最近子供が生まれて何かと手が足りない筆者も、家事や子守りを手伝ってもらうためにリアルなメイドさんを雇ってみた。

 中国でメイドさんを雇う場合、紹介業者に手配してもらうか、人づてで紹介してもらうか、雇い主(今回の場合は筆者自身)が田舎に赴いて村のリーダー格に相談するのが一般的なのだとか。

 そんなこんなで、筆者はわずか半年の間に3人ものメイドさんを雇った。一応断っておくが、これから話することは「ウソみたいな」「妄想みたいな」話に思えるかもしれない。しかし、すべてが冗談ぬきのリアルな出来事である。どうか信じていただきたい。

1人め、17歳女性、初等教育卒、住み込み、月給6500円、勤務期間3カ月

 1人めは農村から出てきた少数民族の女性で17歳。メイドさんを雇ったことがない筆者は、とりあえず斡旋業者に行って、すでに1年間この職業を経験している人を選んだ。彼女を仮に「Aさん」としておこう。

 Aさんが我が家にやってきたとき、ちょうど、この連載のレビューで紹介したFounderのUMPCを購入した。このとき、このUMPCを購入するか否かで家族会議をしているときにAさんも横でこのやり取りを聞いていたらしく、それから筆者が家に戻るたびに「お帰りなさい。“パソコン”買ったの?」と尋問してくる。

メイドはご主人さまを尋問しちゃいけないと思う。

 帰宅するたびにたずねるほどに期待していたFounderのUMPCを購入したときのこと。Aさんもさぞや喜ぶだろうと思っていたのだが、その反応は「ふーん」とそれだけであった。「うわー、そんな小さいのにPCなんですか。すっごーい!」とはいわないのだ。生まれてから今に至るまで「PC」というものに接触したことがない彼女には「PCの常識」という蓄積がない。そういう彼女だから、球体PCケースを見ればPCとはそういうものなのだっ!と脳内にインプットされてしまうような、そんな「素直」な思考パターンであったのである。

 家族会議を傍ら聞いてその内容を丸々覚えているAさんであるからして、家族のごくプライベートな事情にも堂々と口を出してくる。そういうAさんにとって筆者と妻が喧嘩しているときでも「そうよそうよ!」と介入してくるのはごく当たり前の行為ということになる。

夫婦喧嘩に口を出すなんて、メイドとしてどうかと思う

 Aさんの口は夫婦喧嘩に介入してくるだけでなかった。その口は家族のだれよりも大飯喰らいでもあった。いや、ただの大飯喰らいならまだよかった。モラルが著しく欠如した大飯喰らいだったのである。息子の生後1カ月を迎えた記念のパーティを親族で開いたとき、子守をすることなくひたすら食べることに専念したAさん。筆者が朝起きたら用意された食事が人数分ないため、確認した妻に「多分ダンナ様はいらないと思って私が食べました」と答えたAさん。食事が終わってTV番組を見ながらソファーでくつろぐ団らんで、雇い主の家族を差し置いてTV対面の特等席ソファー2席分を占有するだけでなく、番組に突っ込みを独り言で入れているAさん。

そんなメイドさんに萌えられようか

 農村出身の純な娘さん、というふれこみのAさんは不思議なことに手が綺麗だ。おおよそ農作業したとは思えぬ美しさで、日に焼けてもいない。ひょっとして田舎ではお嬢さまなのではなかろうか。聞けば故郷の商店で店番をしていたのだという。そんなAさんは「コカコーラ買ってきて」とお願いすると「パイナップル」を買ってくる。いったい故郷の商店で何を扱っているんだろう。

 大食漢のAさんは家族の誰よりも沢山食べた結果、生まれたばかりの息子の体重増加率上回る勢いでその体型膨張していった。働き始めたころとやめる直前では体型がかなり異なっていた。そのためかAさんは給料を故郷の家族のために一切使わず、そのすべてを大きくなった自身の体型にあわせたファッションに費やした。やはりお嬢さまなのだろうか。

 食うだけ食って、大きくなるだけ大きくなったAさんは自主的に辞めた。3カ月めのことだった。

kn_chinameid_a.jpg 堂々と一家団らんの特等席を占有するメイドのAさん
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