調整メニューは、ビジネスユースとホームユースの両方を考慮した内容だ。画質モード(ビデオモード)は、PC、ムービー、sRGB、ゲーム、カスタムの5種類があり、明るさやコントラスト、色温度(低/中/高)、RGB個別の色調整、白レベル、ガンマ補正(4つの規定値)といった設定も行える。ビデオ入力時には、彩度、シャープネス、色相の調整も可能だ。色温度や白レベルの調整ステップ数は少ないが、画質調整メニューに関しては、基本的な項目を網羅している。アスペクト比は、1:1(1024×768ドット以下の解像度)、16:9、4:3の表示モードが選べる。
省電力機能として、エコモードを搭載している点にも注目したい。エコモードをオンにすると、ランプ出力が通常の255ワットから190ワットまで下がり、ランプ寿命が約2000時間から約2500時間に延びる。また冷却ファンの回転数が減少するので、騒音レベルは通常の36dBAに対して30dBAまで下がる。実際、エコモードにするとかなり騒音が低減され、静かな部屋でもファンノイズが気にならなくなった。その分、表示はやや暗くなるが、ある程度遮光した部屋で使うなら視認性は十分確保できるので、積極的に活用したい。
表示性能は、エントリークラスとして上出来といえる。明るさは2100ANSIルーメンと余裕があり、一般的なオフィス環境の蛍光灯照明下で80インチ程度に投射しても、内容を判別できるレベルだ。マイクロミラーの振り角を従来の10度から12度に拡張した0.55インチDDR DMDパネルにより、コントラスト比も2000:1と高い。この値は、ホームシアター用プロジェクタが搭載するようなシーン連動型アイリス機構を利用した時間差の値ではなく、DMDパネル自体の全面黒表示/白表示の明暗差なので、見た目はかなり白がまぶしく、黒が引き締まった表示となる。DLP方式のため、画素と画素の間の隙間も狭く、全体に密度の濃いフラットな表示が得られるのは好印象だ。
色再現性を左右するカラーホイールはRGBにホワイトを加えた4セグメント構成で、回転数は7200rpmと標準的だ。6セグメント(RGB+CMY)構成の上位モデル「2400MP」と比較して階調の表現力は少々劣るが、グラデーションなどを表示させなければ、さほど気にならず、全体的なカラーバランスは保たれている。カラーホイールの回転による映像のちらつき(カラーブレイキングノイズ)は見え方に個人差があるが、視線を表示の左右に動かしたさいに若干感じられる程度だった。ワイドDMDパネル搭載機ではないこともあり、ホームシアター用としては若干力不足だが、動画入りのプレゼンテーションを表示したり、気軽に動画コンテンツを楽しむといったケースなら、満足できる品質といえる。
1800MPは、モバイルから中規模会議室の据え置き用まで幅広く使えるXGA対応プロジェクタとして十分な性能を確保しており、それでいて価格は10万円台とコストパフォーマンスが高い。とくに1台のプロジェクタをさまざまな用途で使い回したいというSOHOや教育現場などで重宝するだろう。
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