Appleの新たな始まり――スティーブ・ジョブズ氏基調講演(後編)Macworld Conference & Expo2007(1/2 ページ)

» 2007年01月11日 20時53分 公開
[後藤治,ITmedia]

 噂は本当だった。そしてそれは期待以上だった。

 「2年半この日が来るのを待っていました」。静かに語り始めたジョブズ氏は、同社の“革命”の歴史――1984年に世に送り出したMacintoshでコンピュータ業界に革命を起こし、2001年のiPodで音楽産業に革命を起こした歴史を振り返った。「そして今日、3つの革命的な製品を紹介します」。

 まず1つめはタッチコントロールに対応したワイド画面のiPod。2つめは革命的な携帯電話。そして3つめは飛躍的に進化したインターネットコミュニケーションデバイス。

「まず1つめはWide Screen iPod with touch controls」と紹介されると会場は拍手に包まれた(写真=左)。「2つめはRevolutionaly mobile phone!」という言葉とともに拍手はさらに大きくなる(写真=中央)。「3つめはBreakthrough Internet comunications device」(写真=右)

 会場は新製品登場の期待に包まれる。「iPod、携帯電話、インターネットコミュニケーションデバイス」とジョブズ氏。「そして、iPod、携帯電話、インターネットコミュニケーター」とジョブズ氏。そして、iPod、電話――くるくると回りながらスクリーンに映し出される3つのアイコンともにジョブズ氏は言葉を繰り返す。期待を煽るような演出に聴衆は笑い出すが、それは次第に拍手に変わっていく。もしかしてこれは……

「iPod、携帯電話、インターネットコミュニケーションデバイス」
「そしてiPod、携帯電話、インターネットコミュニケーター、そして……」

 「分かったかな? これは3つのデバイスじゃない――1つのデバイスだ」。ジョブズ氏が宣言すると拍手喝采がわき起こった。「わたしたちはそれを“iPhone”と呼ぶ。この日Appleは電話を再び発明する!」。

噂されていた“iPhone”の名前は「iPhone」

 ちなみに“iPhone”はCisco Systemsが所有する商標だが、この問題は解決されたのだろうか。(追記:CiscoはAppleのiPhone登場にあわせて、登録商標の使用に関する合意の見通しがあるとコメントを発表。しかし翌日にはAppleを商標侵害で訴えた

 するとふいにジョブズ氏は、やや投げやりな調子で「これです」とスクリーンに注目を集めた。ついにiPhoneの外観が明らかにされる。スクリーンに映し出されたのは……

「これです」。会場内は爆笑

 という冗談の後に同氏はMoto Q、BlackBerry、Palm Treo、Nokia E62といったスマートフォンが“スマート”でない理由を説明し(問題は本体の40%下にある、キーボードだ)、従来とは一線を画すiPhoneの革命的なユーザインタフェースを紹介した。iPhoneは“魔法のように動作する”マルチフィンガージェスチャーに対応したマルチタッチを採用する。

“使いにくい”に位置する既存のスマートフォン(写真=左)。問題は下40%の変更できないボタンにある(写真=中央)。また、同氏はスタイラスペンも否定(それならスタイラスペン? ノー。一体誰がスタイラスを使いたいと思う?)。iPhoneのUIにはマルチタッチが採用される(写真=右)
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