レノボ・ジャパンのThinkPad X60は、B5サイズの1スピンドルモバイルノートブックPCだ。2006年10月に他の主力製品とともにリフレッシュされ、全般的なスペックの強化が図られている。CPUなどスペックの違いやOffice Personal Edition 2003の有無により合計6モデルが用意されているが、ここではCore 2 Duo T7200(2.0GHz)を搭載したハイスペックモデル「1709GDJ」を取り上げる。OSはWindows XP Professional(SP2)、オフィススイートは付属しない。
今回のリニューアルは、いわゆるマイナーチェンジで、ボディの268(幅)×211(奥行き)×20〜35(高さ)ミリというサイズ、約1.44キロ(バッテリを含む)という重量は先代モデルからそのまま継承しており、デザイン面も変化はない。
リニューアルの目玉は、CPUがインテルのCore DuoからCore 2 Duo Tシリーズへと変更されたことだ。Core Duoから比べると、命令処理のパイプラインが増加したほか、メモリレイテンシを隠蔽する機能などが加わったことで性能が向上しているほか、64ビット拡張技術のIntel 64に対応しているなどの点でアドバンテージがある。L2キャッシュ容量は、下位のT5xxxシリーズが2Mバイト、上位のT7xxxxシリーズでは4Mバイトだ。
本機はL2キャッシュ4Mバイト、動作クロック2.0GHzのCore 2 Duo T7200を採用する。1スピンドル構成のモバイルノートPCは、CPUにCore DuoやCore Soloを採用し、小型化と軽量化を図るのが一般的だが、本機はパフォーマンスを優先してCore 2 Duoを搭載しているのがポイントだ。ちなみにレノボ・ジャパンは、CPUにCore DuoとCore Soloを採用した軽量タイプのThinkPad X60sも販売している。
液晶ディスプレイのサイズは12.1インチ、解像度は1024×768ドットとビジネス向けのモバイルノートPCとしては標準的だ。光沢パネルではないため、外光が画面に映り込みにくく、蛍光灯の多いオフィス環境などでも使いやすい。輝度はビジネス向けとしては十分に高く、上下の視野角が少々狭いこと以外、視認性に不満はない。
Intel 945GM Expressチップセットを中心とする根幹ハードウェアは、前モデルからほぼ継承しており、1Gバイト(最大3Gバイト)のPC2-5300 DIMMメモリ、Serial ATA対応5400rpmの80GバイトHDDを搭載している。HDDは、モバイルノートPCに多い小型の1.8インチドライブではなく、パフォーマンスで有利な2.5インチドライブを採用。1.8インチドライブと比較して、耐衝撃性では不利になるが、HDDを保護する機構は充実している(詳しくは後述)。
グラフィックス機能については、Intel 945GM Express内蔵のグラフィックスコア(Intel GMA950)を利用する。本格的な3Dゲーム用途にははっきりと能力不足と言えるが、ライトなゲームであればこなす。
一方、光学ドライブは内蔵していない。オプションではドッキングステーション(ウルトラベースX6)が用意されており、ケーブルレスで拡張できるため使い勝手はよいが、DVDスーパーマルチドライブと合わせて5万円を超える価格はかなり割高に感じる(キャンペーンなどで安くなる場合もあり)。
本体左右に振り分けられたインタフェースは、3基のUSB 2.0、IEEE1394(4ピン)、PCカードスロット(TypeII/I)、SDメモリーカードスロット(SD I/O 1.0対応)、アナログRGB出力、有線LAN(1000BASE-T)と豊富で、すべてが別途変換ケーブルを必要とせず利用可能だ。
ワイヤレスの通信機能は、IEEE802.11a/g/b準拠の無線LANのほか、IrDA 1.1準拠の赤外線、Bluetoothも装備する。無線LANは、複数のアンテナを使うことで高速かつ安定したデータ送受信を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)にも対応している。アンテナは3本が内蔵されており、送信に2本、受信に3本を使う。
ただし、ThinkPadが搭載するMIMOの効果を生かすには、ドラフト11nに準拠した無線LANアクセスポイント/ルータが必須だ。詳しくは、ドラフト11n対応ルータのレビュー記事やThinkPadのMIMO対応無線LAN検証記事を参照してほしい。対応機器と組み合わせて使う場合、別途追加のPCカードなどを利用せずにMIMOがスマートに利用できるメリットがある。
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