タイトに組まれたボディは剛性感も十分だが、内部の基板を密着固定せず、浮かんでいるような状態にすることで外部からの衝撃を和らげる「Hoverデザイン」、トップカバーの中央をドーム状に盛り上げて圧力を拡散させる「ドーム構造」と、二重三重に内部パーツを保護する仕組みを導入している。
さらに、落下などによる物理的な衝撃を和らげる「HDDショック・アブソーバー」、ゴム製クッションでHDDを保護する「HDDショック・マウンテッド・ドライブ」、そして、加速度センサーで落下を予測してHDDの磁気ヘッドを退避させる「ThinkVantageハードディスク・アクティブプロテクション・システム」の搭載など、HDD周囲のガードは強力で、安心感が高い。
ボディの横幅いっぱいを使ったThinkPadおなじみの7列キーボードは、キー配列に無理がないうえ、タッチ感も良好。キーピッチは18.5ミリを確保し、高さも十分にあり、A4以上のノートブックとまったく同じとまではいかないが、それほど窮屈さを感じずにタイプすることができる。ポインティングデバイスとして定評のある拡張版トラックポイントの操作感も相変わらず良好で、入力環境の優秀さは疑いようがない。液晶パネル上部にはキーボードを照らすキーボード・ライトも装備する。
パームレストの中央には指紋センサーを搭載するほか、ボディ内部にはTCG 1.2準拠のTPMセキュリティチップも実装されている。最近採用例が増えつつあるFeliCaポートこそないが、セキュリティ面でも不満のない構成だ。
CPUの変更にともない、バッテリの駆動時間(JEITA測定法)は3.9時間と、先代よりも0.3時間減っている。ThinkPadシリーズの省電力設定は、独自ユーティリティの「省電力マネージャー」で管理されているが、デフォルト設定の状態で無線LANを利用してのWebブラウズ、およびPDF資料の閲覧、2〜3回画面キャプチャを行ってUSBバスパワー接続のHDDに保存を行なう(接続は保存時のみ)といった作業を行ってみたところ、バッテリのメーターでは30分経過時で残り80%、60分経過時で残り49%と表示された。
デフォルトの省電力設定は画面もかなり明るく、それほどバッテリ駆動を優先したものではないが、よりバッテリ優先の設定を選択したとしても実用上の駆動時間は3時間がギリギリで、標準バッテリのみでは心許ない印象だ。ACアダプタは非常に小型で、コードを含めて約330グラムと軽量になっており、このあたりはソツがない。
Core 2 Duoの搭載で温度や冷却ファンの騒音も気になるところだが、前出の省電力マネージャーによる冷却ファンの制御機構は非常に優秀だ。とくにバッテリ駆動中は温度の心配は皆無と言える。ファンが回ったとしても動作音は静粛に保たれ、エアコンなどの騒音がある環境ではほとんど分からない。それでいて使用中に不快な発熱を感じるということはまずない。
ACアダプタ駆動中は、システムに負荷をかけた状態では右パームレスト部分が暖かくなり、左側面の排気口からは熱風が吹き出すが、実用上問題ないレベルであり、十分許容範囲だ。従来のCore Duo搭載機と比べて、体感的な発熱が増している印象はない。
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