僕らはコレを待っていた!?――三菱入魂の25.5インチワイド液晶「RDT261WH」大画面ワイド液晶集中レビュー(1/3 ページ)

» 2007年02月16日 15時35分 公開
[前橋豪,ITmedia]
三菱電機のWUXGA対応25.5インチワイド液晶ディスプレイ「RDT261WH」

 Windows Vistaや2007 Office systemはワイド画面での操作に配慮したインタフェースを採用しているため、快適に操作するには横方向の解像度が高いディスプレイのほうが都合がよい。また、PCで視聴する映像コンテンツは、低解像度のSD画質から高解像度でワイドフォーマットのHD画質に移行しつつある。

 こうした状況から、高解像度ワイド液晶ディスプレイに対するニーズは急速に高まっており、今後はアスペクト比4:3や5:4のスクエア液晶ディスプレイではPCを扱いにくいというケースが増えていくだろう。根気よくCRTディスプレイを使い続けてきたヘビーユーザーであっても、こうした周辺環境の変化から、そろそろ高解像度ワイド液晶ディスプレイに乗り換えたいと考える人は少なくないはずだ。

 三菱電機の「RDT261WH」は、こうした高解像度ワイド環境に乗り換えたい層の欲求に応える1920×1200ドット(WUXGA)表示対応の25.5インチワイド液晶ディスプレイだ。同社の液晶ディスプレイブランド「Diamondcrysta」においてハイエンドモデルに位置するだけあって、非常に高性能かつ高機能に仕上がっている。

柔軟な位置調整と多彩な入力インタフェース

 まずは外観だが、カラーはホワイトとブラックの2色を用意している。画面左右のフレーム部は約2センチと狭額縁のシンプルなデザインだが、25.5インチワイドと大型液晶パネルを搭載する関係で、本体サイズは594.1(幅)×273.5(奥行き)×456.9(高さ)ミリと横幅がかなり長い。小型のディスプレイから買い替える場合、購入前に机上の設置スペースを確認しておくことが必要だ。

ダブルヒンジ機構により、画面の角度を維持したまま、高さの調整が行える

 スタンドは可動部を2つ設けたダブルヒンジ機構と底面のターンテーブル機構により、柔軟な位置調整に対応している。液晶パネル部を90度回転しての縦位置表示こそ行えないが、上40度、下5度のチルト、左右各170度のスイベル、約60ミリの昇降が可能だ。視野角が広大なこともあり、画面の角度合わせで困ることはないだろう。また、画面は設置面近くまで下げられるため、机上で画面の位置が高すぎて首が疲れるようなこともない。

 液晶パネル部の背面にはVESAのアームマウント規格に準拠した200×100ミリピッチのネジ穴が用意されているため、標準装備のスタンドを取り外して市販のフレキシブルアームを装着することもできる。ただし、液晶パネル部を90度や180度回転した状態での使用は、内部に熱がこもり火災や感電の原因になるとの理由から禁止されている。液晶パネル部を90度回転し、デジタルカメラで撮影した縦位置の写真を画面いっぱいに表示したいといったニーズは少なくないため、後継機ではぜひ対応してほしい。

 入力インタフェースは液晶パネル部の裏面に下方向で配置されている。本体には端子を隠すカバーが装着されているほか、スタンドにはケーブルをまとめて背面に通す穴が設けられているため、すっきりと配線できるのは好印象だ。

背面には主電源スイッチを搭載(写真=左)。ケーブルを隠すカバーが装着されている。液晶パネル部背面には、各端子が下向きで並ぶ。電源ユニットは内蔵されているため、ACアダプタの接続は不要だ(写真=右)

 映像入力は、デジタル/アナログ兼用のDVI-I、デジタルのDVI-D、アナログのD-Subと3系統を用意。しかも、DVI-IとDVI-Dはどちらも著作権保護技術のHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)に対応するという充実ぶりだ。HDMIやD端子こそ搭載していないが、ハイエンドのPC用ディスプレイとして十分な装備と言える。USBハブ機能も備えており、液晶パネル部の左側面に4つのUSB 2.0ダウンストリームポートを搭載しているのも便利。無駄な待機時消費電力をカットできる主電源スイッチも備えている。

高画質の秘密はH-IPS液晶パネルと広色域CCFLバックライト

H-IPS液晶パネルと広色域CCFLバックライトにより、広視野角かつ広色域を実現。グリーンの鮮やかさが目立つ

 最大の特徴は、何と言っても新型の液晶パネルとバックライトによる高品位な表示だ。液晶パネルはノングレア仕様で、H-IPS(High aperture ratio In-Plane-Switching)方式を採用している。H-IPS方式は従来のS-IPS方式を改良したもので、開口率(画素の光を透過させる割合)を10%以上向上したもの。開口率の向上でバックライトの光が通りやすくなったことに加えて、16本もの冷陰極管(CCFL)を直列で搭載することで、液晶TVにも見劣りしない480カンデラ/平方メートルの高輝度と、750:1の高コントラスト比を達成している。

 さらに、入力した映像ソースの明るさを自動検知して、バックライト輝度をリアルタイムに上下させることにより、動画再生時の明暗差が大きなシーンで最大1500:1のコントラスト比を実現するCRO(Contrast Ratio Optimizer)機能も持つ。

 視野角は申し分なく、上下178度/左右178度をカバーする。応答速度は、白黒(液晶の立ち上がり時間+下がり時間)が15ms、中間階調が7.5msとIPS方式に属する液晶パネルにしては速いほうだ。IPS方式の液晶パネルは白黒間の移動が遅めな代わりに、中間階調では応答速度が低下しにくいという特性があるのだが、RDT261WHでは中間階調の応答性を高めるオーバードライブ回路により、どの階調を表示しても応答速度が均一化されている。

 そもそもIPS方式は、水平に配置した液晶分子を横方向に回転させることでバックライトの光を調整するという構造から、視野角による輝度や色調の変化が非常に少ないというメリットがある半面、輝度、コントラスト、応答速度を高めにくいというデメリットがある。RDT261WHは、IPS方式が得意とする視野角の広さを生かしつつ、開口率を高めたH-IPS方式や16本ものバックライトで輝度とコントラストを高めつつ、オーバードライブ回路で応答速度もフォローした格好だ。

馬蹄形の図は人間の視覚できる色の範囲。各色域はそれぞれの三角形内の色を表現できる。三角形は、黒がNTSC、赤がAdobe RGB、青がRDT261WH、黄がsRGBの色域を示す

 バックライトについても既存の製品とは異なり、広色域タイプのCCFLを採用している。これにより、NTSC比で約92%もの広い色域を確保しているのは大きな魅力だ。NTSC比で約92%といってもピンとこないかもしれないが、NTSCとは日本の地上アナログTV放送で採用されているカラーTVの方式のことで、通常のCRTや広色純度をうたう液晶ディスプレイでも72%程度(sRGBの色域をカバーできる範囲)となっており、ノートPC用の小型液晶パネルでは50%未満のものも少なくない。RDT261WHの色域は、sRGBの色域と比べて、緑系の色域が大幅に拡大し、青系の色域も少し拡大しているため、これらの色が含まれる映像では鮮やかさに差が出てくる。

 昨今ではデジタル一眼レフカメラやカラープリンタなど、sRGBより広いAdobe RGBの色域に対応した製品が増えつつあるが、RDT261WHならばAdobe RGB比で約95%(CIE-1931xy色度図上の面積比)の色域をカバーすることが可能だ。100%のカバー率ではないものの、これまで個人用の液晶ディスプレイでは難しかったAdobe RGB画像の編集にも対応できるだろう。

 液晶パネルの最大発色数は、RGB各8ビットの約1677色表示に対応。RGB各10ビットのガンマ補正回路を搭載しており、約10億6433万色のルックアットテーブルからガンマ特性に応じた最適な約1677万色を表示することで、正確な階調表現に配慮している。また、暗部の階調で黒がつぶれたり、黒に色がかぶったりするのを抑制するオートブラック調節機能も持つ。

 それでは、肝心の画質を見ていこう。

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