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» 2007年09月12日 11時15分 UPDATE

その液晶、正しい色が出ていますか?:24.1インチワイド液晶「LCD-MF241XBR」の色再現性を掘り下げる (1/2)

アイ・オー・データ機器の「LCD-MF241XBR」は、多目的に使える24.1インチワイド液晶ディスプレイだ。今回は静止画表示用にキャリブレーションして使ってみた。

[林利明(リアクション),ITmedia]

LCD-MF241XBRはキャリブレーションディスプレイとして使えるか

tm0709io01.jpg 「LCD-MF241XBR」

 ここのところ、HDMIをはじめとする多彩なAV入力を備えた24インチクラスのワイド液晶ディスプレイが、市場を賑わせている。アイ・オー・データ機器の「LCD-MF241XBR」もその1つで、柔軟なスケーリング機能やリモコンの付属といった使い勝手のよさが人気だ。

 AV入力関連の機能が注目されがちなLCD-MF241XBRだが、広色域の液晶パネルや内部10ビットガンマ補正の採用、DTPモードの搭載など、画質的な素性もよい。オプションで専用の遮光フードが用意されていることもあり、高解像度かつ高色域の液晶パネルをフォトレタッチやDTPなどに活用したいと考えるユーザーは少なくないだろう。

 そこで今回は、LCD-MF241XBRの製品版と市販の測色器を組み合わせ、キャリブレーションディスプレイとしての利用、およびインクジェットプリンタとの簡単なカラーマッチングを試してみた。LCD-MF241XBRの詳細については、こちらのレビュー記事を参照してほしい。

tm0709io02.jpgtm0709io03.jpgtm0709io04.jpg オプションの遮光フード「DA-SH241」は6615円。フードの内側にフロッキー加工を施すことで画面の光が反射するのを防いでる。そのほか、フードを装着したままキャリブレーション用の測色器をUSBで接続できるように、フードの上部と側面に穴を設けている

液晶ディスプレイのキャリブレーションとは?

 まずは、液晶ディスプレイのキャリブレーションについて簡単に説明しておこう。液晶ディスプレイのキャリブレーションとは、輝度やコントラスト、色温度、RGBカラーバランスなどを調整して、ユーザーが意図した表示を正確に行えるように設定することだ。人間が目視でディスプレイの画質を厳密に調整するのはまず無理なので、通常は画面の色を測定しながら調整するキャリブレーター(測色器)という機器と専用のソフトウェアを使う。

 キャリブレーションでどのような表示に設定するかは目的によって異なるが、ディスプレイ上で扱うデータの最終出力先に合わせて調整するのが一般的だ。具体的には、画面上で見る色と、プリンタで出力した紙の色が同じに見えるようにディスプレイを調整するケースが多い。

 ただし、液晶ディスプレイの発色方式であるRGBと、プリンタの発色方式であるCMYKは、色を表現する仕組みが根本的に違うため、色再現域(色域)も異なっている。そのため、ディスプレイとプリンタの発色を完全にマッチングさせることはできないが、目視上の近似を得ることは可能だ。

tm0709io05.jpg 今回利用したキャリブレーターの「i1 Display 2」

 キャリブレーションの精度は、液晶ディスプレイの性能にも左右される。とくに、ガンマカーブによる階調の表現力が重要だ。RGBのガンマカーブがきれいにそろっていないと、せっかくキャリブレーションを実施してもシャドウ側の黒つぶれやハイライト側の白飛び、階調全域のどこかでトーンジャンプが発生しやすい。

 フォトレタッチやプリンタとのカラーマッチング、動画編集の色合わせなどを目的としてキャリブレーションを行うならば、最初から階調の表現力に優れた液晶ディスプレイを選んでおくことが大切だ。

 それには、内部ガンマ補正機能の搭載が1つの目安になるだろう。通常、PCからのRGB出力と液晶ディスプレイのRGB表示は、RGB各色8ビットの階調(RGB各色が256段階)で行われる。内部ガンマ補正とは、PCからのRGB各色8ビット信号を液晶ディスプレイ内部で多階調化し、より滑らかなグラデーションになるように最適な8ビット分のデータに割り当てて出力する機能だ。これにより、RGBガンマカーブのずれを補正して、きれいな階調が出せるようになる。

AdobeRGB比で約98%の広色域を実現したLCD-MF241XBR

 前置きが長くなったが、実際のキャリブレーション作業とその結果に触れる前に、LCD-MF241XBRのスペックでキャリブレーションに関連する部分をまとめておく。

tm0709io06.jpg 1920×1200ドット表示の24.1インチワイド液晶パネルを搭載

 液晶パネルはVA系のS-PVAパネルで、解像度は1920×1200ドットに対応する。注目は、Adobe RGB比で約96%(NTSC比は約92%)を実現している広い色域だ。標準的な液晶ディスプレイはNTSC比で約72%程度の色域(ほぼsRGBの色域をカバー)なので、より原色の鮮やかな表示が行える。ただし、sRGBモードは用意されていない。

 輝度は400カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1で、視野角は上下/左右とも178度と基本スペックは良好だ。今回の評価には関係ないが、応答速度は黒→白→黒が16ms、中間階調が6msとなっている。

 階調性に関しては、内部10ビットガンマ補正機能を持つ。業務用ディスプレイでは16ビットもの内部ガンマ補正機能を備えた製品もあるが、標準的な液晶ディスプレイでは最終的な出力がRGB各8ビットになるので、段階数を増やしても劇的に階調性が変化するわけではない(もちろん、微妙な階調バランスの精度は変わってくるが)。この価格帯の製品としては、10ビットの内部ガンマ補正機能を搭載している点を評価したい。

tm0709io07.jpg 色温度やガンマの設定は、画質モード別に行える

 用途別の画質モードは、「標準」「映画」「CG」「写真」「文字」「DTP」の6種類を用意。輝度やコントラスト、色調整はそれぞれの画質モードで行える。

 色温度設定の選択肢は、5000K、6500K、7200K、9300K、RGB個別調整だ。そのほか、ガンマ(1.6、1.8、2.0、2.2、2.4)、色合い、色の濃さ、色相(RGB/CMYK個別)なども調整できる。これらのパラメーターは発色と階調性に与える影響が大きいため、明確な目的と経験値を持ったユーザーでない限りは、デフォルトのまま使うのが無難だ。今回も色温度とガンマを調整した以外は、デフォルトの設定でキャリブレーションを行っている。

 これは余談だが、筆者は業務用の測定器でLCD-MF241XBRのガンマカーブを計測したことがある。完全なデフォルト状態で測定したところ、RGBガンマカーブの精度はかなり高かった。シャドウ側が若干つぶれる傾向があったものの、RGBそれぞれのガンマカーブがほぼ一致しており、曲線も滑らかだった。つまり、色かぶりやトーンジャンプがほとんどなく、基本的な画質は非常に高いと言える。

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