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» 2007年10月11日 15時45分 UPDATE

10年の歳月を経て復活:バイオレットカラーの帰還――「type T 505 Edition」と「PCG-505」を見比べる (1/2)

1997年、ソニーは初代バイオノート505を投入して“銀パソ”ブームの仕掛け人となった。あれから10年、VAIOはどのように進化したのだろうか。

[前橋豪,ITmedia]

初代バイオノート505の発売から10年、記念モデルが登場

tm0710tt505_01.jpg 「PCG-505」

 1997年11月20日に発売された初代バイオノート505「PCG-505」は、当時としては画期的な薄さと軽さを実現したモバイルノートPCとして、ヘビーなモバイラーを中心に熱狂的な支持を集めた。同様のコンセプトと持つ製品としては、1995年に登場したDECの「Digital HiNote Ultra」などが先行していたが、“薄型軽量モバイルノートPC”というジャンルを一般ユーザーに認知させたのは、PCG-505をはじめとする505シリーズの功績が大きいと言える。

 また、PCG-505は個性的な金属質のバイオレットカラーを採用してデザイン的な差異化も行ったことで、地味なカラーリングが常識だったPCのデザインに一石を投じ、後の“銀パソ”ブームの火付け役となるとともに、PC業界でソニーのVAIOブランドが確固たる地位を築く足がかりを作った。もし、PCG-505が存在しなかったら、VAIOブランドが人気を獲得するまでにもう少し時間がかかったかもしれない。

tm0710tt505_02.jpg 「VAIO type T バイオノート505 10th Anniversary Limited Edition」

 VAIOの歴史にその名を刻んだPCG-505の発売から10年。ソニーは発売10周年記念モデルとして、現行のモバイルノートPCでは最新機種となる「VAIO type T」に、PCG-505と共通のバイオレットカラーを採用した「VAIO type T バイオノート505 10th Anniversary Limited Edition」(以下、type T 505 Edition)を追加し、同社直販のソニースタイルにて“505台限定”で販売する。

 生産数が非常に少ないことに加えて、本体とカラーリングを統一したBluetoothマウス、革製キャリングケース、3本のバッテリー(S/L/LL)が専用の化粧箱に同梱されるという豪華仕様のため、価格は29万9800円からと高価だ。とはいえ、旧505シリーズのユーザー、あるいは当時PCG-505が気になっていた人ならば、心の琴線に触れる1台ではないだろうか。

 type T 505 Editionは現在、先行予約のエントリーが実施されているが、期間は10月15日の17時までと短く、この機会を逃すと購入できなくなるので注意してほしい。先着順に購入できるわけではなく、エントリーが多数の場合は、ソニースタイルでの購入額などに応じて累積される「STAR」が多い順に、注文ページへ優先案内される。製品の配送は、11月17日から順次行われる予定だ。個人的には、バイオレットカラーは幅広い層に受け入れられるカラーだと思うので、505台だけの限定ではなく、定番カラーとして販売してほしかった。

type T 505 Editionとバイオノート505を見比べる

 今回は発売に先立ち、type T 505 Editionの試作機を入手できたので、実際に初期のバイオノート505と見比べて、10年間でどれくらいVAIOノートが進化を遂げたのか、その違いを簡単にチェックしてみた。用意したバイオノート505は、1998年7月に発売されたWindows 98搭載モデルの「PCG-505G」だ。外観は基本的に初代PCG-505と同じだが、左側面にIEEE1394(S200)端子が追加されている。

tm0710tt505_03.jpgtm0710tt505_04.jpg 左からtype T 505 Edition、PCG-505G。type T 505 Editionは2スピンドル構成で、外形寸法277(幅)×198.4(奥行き)×22.5(高さ)ミリ、重量約0.97〜1.4キロ(構成により異なる)。PCG-505Gは1スピンドル構成で外形寸法259(幅)×208(奥行き)×23.9(高さ)ミリ、約1.35キロ。ワイド液晶ディスプレイを搭載する関係で、横幅はtype T 505 Editionが長いが、奥行きと高さは短く、2スピンドル構成にも関わらず軽量となっている

 type T 505 Editionを箱から取り出してみると、写真で見るよりもPCG-505に近いイメージに仕上がっていて、上品な薄紫色の本体と濃い紫色のヒンジ部で構成されたカラーリングに、なんとも懐かしい気持ちにさせられた。ベースとなるVAIO type T(TZシリーズ)は、もともとVAIOの10周年記念モデルという位置付けの製品で、シリンダー型ヒンジを採用するなど、PCG-505をほうふつとさせるデザインが特徴だが、カラーを共通化させることでPCG-505により近づいた印象だ。まさに“21世紀版の505”といった風情がある。

 この微妙なバイオレットのカラーを出すために、PCG-505のデザイナーである後藤禎祐氏が自らデザインを監修したという。外装の素材は、type T 505 Editionがマルチレイヤーカーボンファイバー、PCG-505がマグネシウム合金と異なることもあり、完全に同じ色にはなっていないが、並べて見比べない限り、色の違いは気にならない。

tm0710tt505_05.jpgtm0710tt505_06.jpg 天板(写真=左)と底面(写真=右)。type T 505 Editionは、天板に別のパーツをはめ込んで鏡面仕上げにしたVAIOのルミナスミラーロゴが高級感を演出している。PCG-505GのVAIOロゴはまだプリントで、1999年のPCG-N505シリーズからロゴがエンボス加工になる。底面も天板と同じ薄紫色で塗装されている。PCG-505Gの底面は余計な穴や突起がないシンプルなデザインで美しい

 言うまでもないが、モバイルノートPCに装備されるコンポーネントは、この10年で劇的な進化を遂げた(スペック表は次ページを参照)。PCG-505の時代ではポートリプリケータに拡張性を頼っていた部分が大きかったが、type T 505 Editionでは必要十分な機能が本体にすべて内蔵されている。マイクロアーキテクチャの刷新やボディ材質の変更に加えて、液晶ディスプレイのバックライトをCCFL(冷陰極管)からLEDに変更し、基板の実装密度を高め、HDDを2.5インチから1.8インチに小型化し、光学ドライブを内蔵したうえで薄型化するなど、10年間に数々の技術革新があった。さらに、HDDはフラッシュメモリによるSSDも選択可能になった。

 そのおかげで、type T 505 Editionでは光学ドライブを搭載した状態で、PCG-505Gより薄型軽量に仕上がっているのは時代の流れを感じさせる。CPUの性能向上とともに発熱量は増大し、ファンレス構造を採用している小型PCがなくなりつつあるのは賛否両論だろうが、10年間で省電力設計の追求、バッテリーの高容量化やACアダプターの小型化などもあり、モバイルノートPCの携帯性は格段に高まった。

tm0710tt505_07.jpgtm0710tt505_08.jpg type T 505 EditionをPCG-505Gの上に重ねた前面(写真=左)と背面(写真=右)。type T 505 Editionでは、着脱しやすい前面にサウンド関連の端子やメモリカードスロット、ワンタッチボタンなどを配置しているのが目立つ。PCG-505Gは液晶ディスプレイをラッチで固定していたが、type T 505 Editionはラッチレス構造で、ディスプレイ周りがすっきりとしている。シリンダー型ヒンジを採用した背面の外観はどちらもよく似ており、505を特徴付けるデザインとなっている

tm0710tt505_09.jpgtm0710tt505_10.jpg type T 505 EditionをPCG-505Gの上に重ねた左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。type T 505 Editionは、LEDバックライトにより、液晶ディスプレイが薄く仕上がっている。PCG-505Gは1スピンドル構成だが、type T 505 Editionは光学ドライブを標準搭載できるうえ、多彩なインタフェースを持つ。PCG-505Gは、外付けFDD専用端子やカバーが斜めに開くFAXモデムポート、赤外線通信ポート、液晶ディスプレイ側に備わったオプションスピーカー用端子が印象的だ

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