5万円で買える地デジ対応ワイド液晶ディスプレイ――「LCD-DTV191XBR」実力診断リモコンで軽快操作(1/3 ページ)

» 2007年11月29日 11時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]

PC向け液晶ディスプレイにもデジタル放送を

アイ・オー・データ機器「LCD-DTV191XBR」

 TVの地上波がアナログからデジタルに移行していく中、アイ・オー・データ機器は新しいタイプのワイド液晶ディスプレイ「LCD-DTV191XBR」を発売した。1440×900ドット(WXGA+)表示の19インチワイド液晶パネルと地上デジタルTVチューナーを組み合わせた、PC向けのTV機能付き液晶ディスプレイだ。

 これまでPC向けの高解像度ワイド液晶パネルを採用した液晶TVは存在していたが、逆のアプローチ、つまり地上デジタルTVチューナーをPC向けの高解像度ワイド液晶ディスプレイに取り入れたのは、業界初の試みとなる。アイ・オー・データ機器はPC向け液晶ディスプレイとデジタルTVチューナーの両方を手がけてきたノウハウがあるため、他社に先駆けて“地デジ入りワイド液晶ディスプレイ”を市場投入できたという。

 もっとも、製品化したところで価格が高くては購入層が一部に限られてしまうが、LCD-DTV191XBRは実装する機能を取捨選択し、求めやすい価格帯にまとめてきた。標準価格はオープンプライスだが、発売時の実売価格は、大手量販店で5万4800円前後、いわゆる激安店では5万円を切ることも珍しくない。この高いコストパフォーマンスがLCD-DTV191XBR最大の魅力といえる。

シンプルなデザインの本体に地デジチューナーとD4入力を搭載

 TV機能をチェックする前に、まずは外観とPC向け液晶ディスプレイとしての基本仕様から見ていこう。ボディは、つや消しのブラックで統一されており、落ち着いた雰囲気だ。本体サイズは460(幅)×191(奥行き)×371(高さ)ミリ、重量は約5.9キロ。搭載する液晶パネルは19インチワイドと大きくないことに加えて、左右のフレーム幅は2.3センチ程度と細く、奥行きは20センチを切っているため、設置スペースを確保するのに困ることは少ないだろう。

 スタンドの角度調整機構は標準的な作りで、上20度、下5度のチルトに対応する。左右のスイベル機構はないが、本体は軽いため、持ち上げて画面の向きを変えることは容易だ。画面下辺の高さは設置面から約9.7センチの位置にあり、画面の位置が高くて首や肩が疲れることはなかった。

背面はケーブルを隠すカバーが用意されており、見た目にこだわっている(写真=左)。カバーを外すと接続端子が現れる(写真=中央)。上下のチルトが可能なシンプルなスタンドを採用する(写真=右)

 液晶パネル部の背面にはVESAのアームマウント規格準拠のネジ穴(100ミリピッチ)も設けられているので、市販のフレキシブルアームと組み合わせて使うこともできる。市販のアームで可動範囲を広げて、机上に限らず部屋中で視聴できる液晶TVとして活用してみるのも面白い。

 通常のPC用ディスプレイでは前面に操作ボタンを配置しているが、LCD-DTV191XBRではボタンを排して前面をフラットな形状にまとめている。本体の操作ボタンは右側面に配置されるが、電源、音量調整、チャンネル切り替え、入力切り替えのボタンしかない。各種設定は付属の赤外線リモコンから行う仕組みだ。この辺りは液晶TVを意識したデザインとなっている。

 主な接続端子は液晶パネル背面に下向きで並ぶ。PC入力はアナログRGBの1系統のみだが、AV入力はD4、S-Video/コンポジットビデオ共用の2系統を用意している。もちろん、入力系統ごとに音声入力の端子も持つ。基本的にはアナログRGB端子にPCを、D4もしくはS-Video/コンポジットビデオ共用端子にゲーム機やAV機器をつなぐことになるだろう。PC入力にDVI-D、AV入力にHDMIの端子が欲しかったところだが、価格を抑えるためか搭載していない。

 本体の左側面には、ステレオミニのヘッドフォン出力とB-CASカードのスロットが設けられている。ワイド画面にもかかわらず、ヘッドフォン出力が側面にあるため、ヘッドフォンのケーブルが長くないと少々使い勝手が悪い。前面には出力2.5ワット+2.5ワットのステレオスピーカーを内蔵しており、PCやゲーム機の音声を鳴らすぶんには不自由しないが、高音質を求めるならば、外部スピーカーなどを接続してもよいだろう。

音量調整、チャンネル切り替え、入力切り替え、電源のボタンと主電源スイッチは右側面に用意されている(写真=左)。背面には主要なインタフェースが集中(写真=中央)。電源ユニットも内蔵しているため、ACアダプタは不要だ。左側面にB-CASカードのスロットとステレオミニのヘッドフォン出力を備える(写真=右)

光沢仕様の19インチワイド液晶パネルを採用

 搭載する19インチワイド液晶パネルは、輝度が300カンデラ/平方メートル、コントラスト比が1000:1、応答速度が5ms(白黒間)、視野角が上下/左右ともに160度といったスペックだ。色域は非公開だが、見たところsRGB程度と思われる。画面の明るさや発色は問題ないが、液晶パネルはTN方式かつ表面が光沢仕様なので、画面への光源の映り込みと、上下方向の視野角の狭さにはある程度妥協が必要だ。ただし、光沢パネルには低反射処理のARコートが施されているので、ユーザーの顔や照明が鏡のようにそのまま映り込むことはない。

 また、LCD-DTV191XBRはPC入力がアナログRGBに限定される点に注意してほしい。DVI接続と比較して表示のシャープさに欠ける部分があるほか、グラデーションの表示では中間階調がリニアに再現されず、うっすらと筋が入って見えることがあった。とはいえ、このクラスの製品で高画質を求めるのは酷というものだ。画像編集のように色再現性を重視する作業でなければ、大きな問題はない。総じて、低価格帯の19インチワイド液晶ディスプレイ相応の表示品質といえる。

PC接続での表示例。遠目には判別しにくいが、実際にはグラデーションのところどころに細かい縦しまが入って表示されている。動画の再生などでは目立たないが、微妙な階調を表示する場合には気になることがある

 それでは次に、注目のTV機能をチェックしてみよう。

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