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» 2007年12月10日 00時00分 UPDATE

イマドキのイタモノ:「1600MHz」が見せる破格の性能──「Core 2 Extreme QX9770」「Intel X48 Express」フライングレビュー (1/3)

2008年早々にも新しいCPUとチップセットが登場すると“噂”されている。FSBとメモリクロックがともに「1600MHz」に対応する次世代プラットフォームの性能を紹介しよう。

[笠原一輝,ITmedia]

 インテルは2008年の第1四半期にFSBを1600MHzに速め、メモリをDDR3-1600に対応させた「Core 2 Extreme QX9770」と「Intel X48 Express」チップセットをリリースする予定になっている。FSBとメモリのクロックを向上させることで、CPUがメモリへアクセスする帯域幅が向上し、大量のデータを一度に取得することができるようになる。これにより、大量にデータを処理するタイプのアプリケーションでは処理能力が向上する可能性が高い。

 今回は、発表前のCore 2 Extreme QX9770とIntel X48 Expressのエンジニアリングサンプルを用いて、その性能に迫っていきたい。

FSB1600MHzに対応する動作クロック3.2GHzの「Core2 Extreme QX9770」

kn_x48_21.jpg 2008年の第1四半期に登場するといわれている「Core2 Extreme QX9770」

 インテルはすでに45ナノメートルプロセスルールを導入した次世代CPUのCore2 Extreme QX9650を発表して出荷を開始している(別記事参照)。Core 2 Extreme QX9650は、開発コード名“Yorkfiled-XE”と呼ばれてきた製品で、従来の“Kentsfiled”に比べるとL2キャッシュが8Mバイトから12Mバイトへと拡張され、新しい「SSE4」命令セットに対応するなどの新機軸が導入されていた。

 今回取り上げるCore 2 Extreme QX9770は、Core 2 Extreme QX9650と同じ“Yorkfield-XE”コアを採用している。しかし、動作クロックがCore 2 Extreme QX9650の3.0GHzから3.2GHzに、FSBも1333MHzから1600MHzに引き上げられたのが相違点となる。

 動作クロックとFSBの両方が速くなったため、ピーク時消費電力の指標であるTDP(Thermal Design Power)もCore 2 Extreme QX9650の130ワットから136ワットへと増えている。従来型の130ワット用CPUクーラーユニットでは能力が不足するので、より余裕のあるファンが必要になるが、Core 2 Extreme QX9650のリテールBOXに付属しているCPUクーラーユニットは、一説にオーバークロックも見据えているといわれているほどの、130ワットのCPUには十分すぎる冷却能力を有している。おそらく、Core 2 Extreme QX9770にも同じクーラーユニットがバンドルされるとみられているので、TDPのアップはそれほど大きな問題にはならない。

kn_x48_22.jpg Core 2 Extreme QX9770の情報をCPU-Zで表示してみた

 TDPが136ワットに増えたことと併せて、供給電流のスペックも変更されている。「Icc_max」と呼ばれるCPUに供給される電流の最大量がCore 2 Extreme QX9650で125アンペアであったのに対して、Core 2 Extreme QX9770は140アンペアに引き上げられている。これは、マザーボード側でこれだけの電流を供給できる回路が必要になることを意味する。ただ、こちらもCore 2 Extreme QX9770がFSB1600MHz対応となったことでマザーボードも変更する必要があるため、それほど、互換性に注意する必要はないだろう。

 なお、Core 2 Extreme QX9770は、6〜8倍のCPU倍率で動作する。このため、EIST(Enhanced Speed Step Technology)を有効にした場合、2.4G〜3.2GHzの間で動作することになる。なお、測定に用いたCPUはエンジニアリングサンプルであるため、倍率ロックが無効になっているが、最近のCore 2 Extremeシリーズはすべて倍率ロックが解除されているので、おそらくCore 2 Extreme QX9770も倍率ロックが解除された状態で出荷されることになるはずだ。

Core2 Extreme QX9650 Core2 Extreme QX9770
CPUコア Yorkfiled Yorkfiled
L2キャッシュ 12Mバイト 12Mバイト
FSB 1333MHz 1600MHz
動作クロック 3GHz 3.2GHz

FSB1600MHzとXMP版DDR3-1600に対応する「Intel X48 Express」

 Core 2 Extreme QX9770を利用するのに必要なチップセットがIntel X48 Expressチップセットだ。Intel X48 Expressは、2007年10月に発表されたIntel X38 Expressチップセットの「リファイン版」で、Intel X38 Expressで利用できなかったFSB1600MHzに対応する。先に紹介した事情から、Intel X48 Expressを搭載したマザーボードではVR(Voltage Regulator)の設計が見直されており、Core 2 Extreme QX9770で必要な140Aの電流供給に対応するなどの改良が施された。

 Intel X48 Expressの変更点はそれだけにとどまらない。メモリ周りに関しても機能が拡張されている。ここで「?」と思ったユーザーは、現在のメモリ規格を正しく把握している。というのも、Intel X38 Expressでは、現時点でPC用メインメモリとしては最高スペックである「DDR3-1333」をサポートしており、それ以上に高いスペックを有するメモリはこの記事が掲載される2007年12月初めの時点では存在しないからだ。PC用メインメモリのスペックは、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)と呼ばれる業界標準団体で決められるが、DDR3に関しては“1333”が最高スペックで、それより高スペックなものはメモリモジュールベンダーなどが独自に保証する“オーバークロック”製品に分類されているのだ。

 Intel X48 Expressでサポートされているのは、そのオーバークロック仕様のメモリになる。これは、DDR3の動作クロックを1600MHzに引き上げたもので、インテルが独自に仕様を策定した「XMP」(Extreme Memory Profile)と呼ばれる規格に対応したメモリをメモリモジュールベンダーに製造してもらい、市場へ供給する仕組みになる。メモリモジュールにはSPD(Serial Presence Detect)と呼ばれる小さなROMチップが搭載されており、動作クロックやレイテンシと呼ばれるタイミングといった、そのモジュールに実装されるメモリがどのようなパラメータで動作するのかが詳しく記述されている。

 このSPDはJEDECの仕様で決められているが、すでに述べたようにJEDECが定めたDDR3-1600の標準仕様はまだ存在していないので、インテルで拡張仕様(XMP)を策定し、その仕様をSPDに組み込んでいる。XMPに対応したメモリモジュールは、DDR3-1066やDDR3-1333などの標準仕様が存在する動作クロックではJEDEC仕様のメモリモジュールとしても使え、DDR3-1600のような標準仕様が存在しない動作クロックではXMP仕様のモジュールとして使うことになる。ちなみに、XMP仕様では駆動電圧も標準の1.5ボルトから1.8ボルトに引き上げられている。

kn_x48_23.jpg CPU-ZによるSPDの表示。XMPメモリにはXMPのプロファイルが用意されている

 現在、CorsiarやCrucial、Kingstonなどの大手メモリモジュールベンダーは、このXMP仕様のDDR3モジュールを準備しており、Corsairのようにすでに出荷を開始したところもある。インテルという業界最大のチップセットメーカーがサポートすることもあってか、今後メモリモジュールベンダー各社からXMP対応の製品が登場するとみられている。

 Intel X48 ExpressではこのXMP仕様のDDR3-1600(以下、XMP1600)をサポートする。ただし、Intel X48 ExpressでXMP1600を利用するには、FSBが1600MHzに設定されている必要がある。ここで、注意しておきたいのが、FSBが1600MHzに設定された場合、メモリのクロックを1333MHzにできないことだ。同様に、XMP1600ではなく、DDR3-1333のメモリを利用する場合に、FSBは1066MHzでしか設定できない(ただし、FSB1333MHzの場合にはメモリクロックも1333MHzに設定可能)。こうした制約があるため、Intel X48 ExpressでFSB1600MHz対応のCPUを利用する場合は、XMP1600のモジュールも用意することになる。

 また、Intel X48 ExpressでXMP1600をシステムに組み込む場合、各メモリチャネルに1モジュールのみという制限がある。Intel X48 Expressはデュアルチャネル構成となっているので、4つあるメモリソケットのうち2つだけが利用できる。このため、XMP1600を利用する場合には空いているメモリソケットを利用しようと思っても増設できない。最初から最大容量のメモリモジュールを用意しておく必要があるので、こちらも注意したい。

 なお、Intel X48 ExpressではIntel X38 ExpressでサポートされていたDDR2対応機能が省かれている。Intel X38 Expressマザーボードのラインアップに存在していた“DDR2バージョン”は存在しない。これは、DDR3専用設計とすることで安定性をより高めるためだ。もっとも、Intel X48 ExpressとIntel X38 Expressの違いはFSB1600MHzとXMP1600への対応に集約されるので、CPUにCore 2 Extreme QX9770を使わない限り、チップセットで利用できる機能はIntel X38 Expressと同等と考えていい。CPUにQX9650を利用するユーザーはIntel X38 Expressマザーでは十分だと言えるだろう。

Intel X38 Express Intel X48 Express
FSB 800
1066
1333
1600 -
メモリ DDR2 -
DDR3 800/1066/1333 800/1066/1333/1600
FSB-DDR3 800:800
1066:800
1066:1066
1333:800
1333:1066
1333:1333
1600:1066 -
1600:1600 -
レイテンシ(tCL-tRP-tRCD) 800 5-5-5 5-5-5
1066 7-7-7 7-7-7
1333 8-8-8 8-8-8
1600 - 8-8-8
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