連載
» 2008年01月07日 12時00分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:“日本語版”ParallelsとFusionの違いを把握する――MacでWindowsを動かす (1/2)

MacでWindowsを動かせるのはBoot Campだけにとどまらない。仮想化ソフトの「Parallels」と「Fusion」の日本語版を試してみた。

[元麻布春男,ITmedia]

充実するMacの仮想化ソフトウェア

ht_0801pv01.jpg プロトンが発売しているParallels Desktop for Mac 日本語版のパッケージ

 前回紹介したBoot Campは、Intel Mac上でWindowsを動かす、ある意味で最善の方法だった。Macのハードウェア上で直接Windowsが動くため、基本的にアプリケーション互換性のトラブルが生じない。最新の3Dゲームを動かすのは難しいかもしれないが、それはハードウェア構成の問題であり、ソフトウェア的に解決できる問題ではない。少なくともBoot Campを使えば、同等スペックのWindows PCと同じレベルの性能でIntel MacをWindowsマシンとして利用することが可能だ。

 Boot Campの難点は、Mac OS X環境とWindows環境の利用が排他になることだ。Mac OS Xの利用中にWindowsを使う必要が生じると、システムをWindowsで再起動する必要がある。WindowsからMac OS Xに戻る場合も、同様に再起動が必要だ。

 これはもっともなことではあるのだが、1つのハードウェア上で2つの環境が利用できるとなると、それを同時に使いたいという欲求が生じる。この願いをかなえてくれるのが、仮想環境ソフトウェアだ。現時点で、Windows環境上でMac OS Xを実行することはできないが、Mac OS X上でWindowsを利用するための仮想化ソフトウェアは複数リリースされている。代表的な製品がParallelsの「Parallels Desktop for Mac」(以下、Parallels)と、VMwareFusionだ。

ht_0801pv02.jpg アクト・ツーが発売しているFusion 1.1 日本語版のパッケージ

 いずれの製品も英語版が米国のWebサイトからダウンロード購入可能なほか、日本語版の国内販売も行われている。Parallelsについては、プロトンによって日本語化されたパッケージが国内販売されており(標準価格1万5540円)、日本語のマニュアルが付属する。基本的な機能は日本語キーボードのサポートも含めて英語版と変わらないが、プロトンによりメッセージやヘルプファイルが日本語化されている。

 Fusionについては開発元のVMwareによりメッセージなども含めた多国語対応が行われているが、国内での日本語によるサポートを希望するのであれば、アクト・ツーにより販売中の国内版(標準価格1万3800円)を購入することになる。

 どちらの製品もこの分野の製品としては定評のあるもので、機能的にもかなり近い。仮想環境でx86対応のOS、Windowsに限らずLinuxやUnixなどを実行できるのはもちろん、Boot CampでインストールしたWindowsパーティションをそのまま仮想ディスクに見立てて、Mac OS X上から起動する機能を持つのも同様だ。

 また、Mac OS Xのデスクトップ上で、Windowsのデスクトップを表示せず対応アプリケーションのみを表示する機能(Parallelsではコヒーレンス、Fusionではユニティと呼び名は異なる)も備える。

 ハードウェアサポートの点でも、USB 2.0デバイスのサポート、サウンド機能、ネットワーク機能など、主要なものはみなサポート済みだ。サポート外の暫定的なものとはいえ、DirectXに対応しているのも、両者に共通する(ただし現時点で両者ともWindows VistaのAeroには未対応だ)。基本的にはどちらを選んでも、失敗することはないと思われる。それくらい完成度の高い製品であり、今も改良が続けられている。

ht_0801pv03.jpght_0801pv04.jpg Parallels 3.0(画面=左)とFusion 1.1(画面=右)での仮想マシンによWindows Vistaの実行画面。どちらも現状ではWindows Aeroをサポートしていない

ParallelsとFusionの違いはどこにある?

 というわけで、両者の違いを知るために、ここから少し重箱の隅をつついてみようと思う。

 まず違いがあるのは、日本語キーボードのサポートだ。両製品とも現バージョン(Parallelsはビルド3214、Fusionは1.1 ビルド62573)ではMacのApple日本語キーボードをサポートしているが、キーマッピングが一部異なる。Apple日本語キーボードで、日本語関連の特殊キーとして使われるのは「カナ/かな」キーと「英数」キーの2つ。さらにWindows PCでは日本語キーボードのCaps Lockを英数キー(Apple日本語キーボードの英数キーとはスキャンコードが異なる)として扱う(Caps Lock本来の機能を利用する場合はシフト+Caps Lock)。

 これらのキーがどう扱われるかをまとめたのが下の表だ。Parallelsでは日本語関連特殊キーの扱いはBoot Campに準じる。これに対しFusionではApple日本語キーボードの「英数」キーが、Windowsでも「英数」キーとして扱われる。ParallelsはBoot Campにそろえ、Fusionはキーボードの表記に従った格好だ。いちがいにどちらが正しいとは言えないが、キーマッピングをBoot Campにそろえた方が実用的なのではないかと思う。

 なお、キーボードの扱いだが、Boot Campで日本語キーボードに設定していても、仮想環境を作成すると英語キーボードになっていることがままある。これは、仮想環境になることで、Windowsはハードウェア構成が変更されたと考え、ハードウェアのスキャンを行った結果だ。Apple日本語キーボードは、Windowsが考える日本語キーボード(日本語106キーボード)とは異なるため、このような現象が起こり得る。この場合、手動でキーボードを日本語に変更することが必要だ。

日本語関連特殊キーがWinodws上でどのように認識されるのか
Apple日本語キーボード Boot Camp Parallels 3.0 Fusion 1.1
「カナ/かな」キー ひらがな ひらがな ひらがな
「英数」キー 無変換 無変換 英数
「caps lock」キー 英数 英数 英数

DirectX環境は差があるものの……

 一方、サポートするDirectXのバージョンは、FusionがDirectX 9、ParallelsがDirectX 8.1となっている。が、この数字にそれほど大きな意味はない。というより、これらの数字が意味を持つほどのパフォーマンスは、今のところ仮想環境に期待できない、というのが現状であるからだ。

 下の表に示したのは、Windows XPをインストールしたMac miniで、Windows XPが登場した前後の時代に使われていたベンチマークテストを実行した結果だ。これはあくまでも、Mac miniという特定の環境で実行した結果であり、システムが違えば異なる傾向が出るはずで、あくまでも参考として見てほしいのだが、仮想環境になると3Dグラフィックスの性能はガクンと低下する。また、3DMark 2000 Ver.1.1はFusion 1.1では最後まで実行することができず、Parallelsでも圧縮テクスチャがきちんと表示されないといった表現上の問題が発生した。PCMark 2002では、仮想環境でCPUのスコアが跳ね上がっているが、ベンチマークテストそのものが仮想環境を想定していないことが影響しているものと考えられる。

ht_0801pv05.jpght_0801pv06.jpg PCMark 2002 Build 101(画面=左)と3DMark 2001 SE Build 330および3DMark 2000 Ver.1.1(画面=右)のテスト結果。それぞれでBoot Camp、Parallels 3.0、Fusion 1.1の値を比較している
テストに使用したMac mini(MA206J/Aベース)の主なスペック:CPU Core Duo 1.66GHz、メインメモリ 1Gバイト(DDR2-667)、グラフィックス Intel GMA950(チップセット内蔵)、グラフィックスメモリ 64Mバイト(メインメモリと共有)、HDD 100Gバイト(Seagate ST9100824AS)

 元になったGMA950(Intel 945GT Expressチップセット内蔵グラフィックス)の性能でさえ、最新の3Dゲームには辛い代物であることを考えれば、仮想環境での3Dグラフィックス性能は、ないよりはマシ程度のものでしかない。外部グラフィックスチップが搭載されたモデルでは、もう少しよくなる可能性があるが、それでも大きな期待は禁物である。

 しかし、だからといって、仮想環境でのWindowsが使い物にならないということではない。3Dグラフィックスを用いたゲームなどを除くと、思った以上に快適にアプリケーションが動く。IMEを使ったオフィスアプリケーションはもちろん、Internet ExplorerでWindows DRM付の動画を配信するサイトを閲覧する、という利用にも問題ない。これはParallelsとFusion、両方に言えることだ。ゲームはBoot Campで、それ以外は仮想環境で、という使い分けが現実的かもしれない。

ht_0801pv07.jpght_0801pv08.jpg Fusion 1.1ではWindows XP(SP2)環境でDirectX 9.0互換アプリケーションを実行ができるが(画面=左)、すべてのアプリケーションをサポートしているわけではない。ParallelsもオプションでDirectX(8.1相当)の利用が可能だ(画面=右)

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

-PR-