特集
» 2008年12月11日 17時55分 公開

複合機08-09年モデル徹底検証:第2回 省スペースと高機能を両立したい――複合機7モデルの使い勝手は? (3/4)

[榊信康,ITmedia]

給排紙機構、ADF、CD/DVDレーベル印刷

・給排紙機構

 給排紙機構については、メーカー順に並べるよりも給紙機構のタイプ別に分類したほうが分かりやすいだろう。EP-901F、EP-801A、C6380は前面に2段式の給紙カセット、MP980、MP630、MP620は前面カセットと後部トレイの2系統給紙機構を備えており、PM-A840Sは後部の給紙トレイのみとなる。

 自動両面印刷機能を備えているのはMP980とMP630の2モデルで、EP-901FとEP-801Aはオプションで対応可能、PM-A840S、MP620、C6380は非搭載だ。また、EP-901FのみADFを装備している。給排紙機構の違いは下表の通りだ。

複合機7モデルの給排紙機構
製品名 EP-901F EP-801A PM-A840S
給紙トレイ 前面カセット(2段式) 前面カセット(2段式) 後部トレイ
排紙トレイ 前面トレイ 前面トレイ 前面トレイ
給紙容量 カセット下段:普通紙120枚/はがき50枚、カセット上段:はがき20枚、ADF:普通紙30枚 カセット下段:普通紙120枚/はがき50枚、カセット上段:はがき20枚 普通紙120枚/はがき50枚
自動両面印刷 オプション オプション
ADF
CD/DVDレーベル印刷 ○(トレイ内蔵) ○(トレイ内蔵) ○(トレイ外付け)

複合機7モデルの給排紙機構
製品名 MP980 MP630 MP620 C6380
給紙トレイ 前面カセット、後部トレイ 前面カセット、後部トレイ 前面カセット、後部トレイ 前面カセット(2段式)
排紙トレイ 前面トレイ 前面トレイ 前面トレイ 前面トレイ
給紙容量 前面カセット:普通紙150枚、後部トレイ:普通紙150枚/はがき40枚 前面カセット:普通紙150枚、後部トレイ:普通紙150枚/はがき40枚 前面カセット:普通紙150枚、後部トレイ:普通紙150枚/はがき40枚 カセット下段:普通紙125枚、カセット上段:はがき20枚
自動両面印刷
ADF
CD/DVDレーベル印刷 ○(トレイ外付け) ○(トレイ外付け)

 EP-901F、EP-801A、C6380が採用する2段式カセットのメリットは、2種類の用紙を常に安心して蓄えておけることだ。未使用時にホコリがかぶることがなく、後部トレイにセットした用紙のようにたわんでしまこともない。また、EP-901F、EP-801Aでは完全にボディの下にカセットを収納できるので、設置性でも恩恵を得られる。前述の通り、P-901FとEP-801Aはオプションで自動両面印刷にも対応する。その一方で、C6380は日本HPが得意としていた自動両面印刷の機能が省かれたのは惜しまれる。

EP-901F:前面に2段式の給紙カセットを用意。上段にL判、2L判、KG、ハイビジョン、下段にA4、はがき、ユーザー定義サイズの用紙をセットする
EP-801A:前面の2段式給紙カセットはEP-901Fと共通化されている。前面の2段式カセットは本体内に完全に収納できるのがポイントだ
C6380:上段のフォトトレイはL判、2L判、はがき用、下段のメイントレイにA4用紙などをセットする。未使用時でもカセットは前面に張り出す

 MP980、MP630、MP620の2系統給紙機構はカセットに大量の用紙を蓄えつつ、用紙を手軽に交換できる後部トレイを利用できることがメリットだ。写真好きならばL判や2L判、六切、KGサイズなど多種のメディアを扱うだろうから、後部トレイがあったほうが便利だろう。ただ、後部トレイは用紙を常時蓄えておけず、使用時に後方のスペースが必要になるというデメリットもある。

 昨年までのPIXUS MPシリーズの2系統給紙機構は前面カセットでも多彩なメディアが扱えたため、飛び抜けた利便性だったのだが、今年からは前面の給紙カセットにL判やはがきをセットできなくなり、普通紙専用に変更された。小型化しつつ紙送りの精度を確保するために、コストがかかるためだろうか? 個人的にはSUPER PHOTO BOXの魅力が薄れてしまったように思うが、MP980とMP630は自動両面印刷機構を継承しつつ、従来より小型化している点を評価したい。

MP980:前面と後部の2系統給紙に対応。前面カセットはA4、A5、B5、レターサイズの普通紙専用、後部トレイにはさまざまな用紙をセットできる
MP630/MP620:前面カセットと後部トレイによる2系統給紙機構はMP980と同様だ。前面カセットは未使用時に本体内に完全に収納できる
PM-A840S:給紙機構は後部トレイのみで、前面カセットは用意していないため、複数の用紙を同時にセットして使い分けることはできない

・ADF

EP-901F:薄型のADFを搭載している

 EP-901Fだけの機能だが、ADFについても触れておこう。A4普通紙を最大30枚まで一度に取り込むことが可能で、家庭用としては十分な容量を備える。原稿サイズはA4、US、レターサイズ、リーガルに対応、用紙種は普通紙のみの対応だ。試しに薄手の写真用紙を入れてみたところ、やはり紙詰まりを引き起こしてしまった。

 ADFは複数の原稿をコピー/スキャンする場合、原稿を交換するたびにスキャナのカバーを開閉する手間が省けることに加えて、EP-901FはFAX機能も備えているため、FAXの送信にも利用できる。

・CD/DVDレーベル印刷

 CD/DVDレーベルの印刷/コピー機能は複合機の標準的な機能として定着しており、単に機能を搭載しただけでは差別化の要素とはなりにくい。だが、EP-901FとEP-801Aは従来の形からさらに一歩進め、CD/DVDレーベル印刷用トレイを完全な内蔵型にすることで他社との差別化を図っている。

 実際、CD/DVDレーベル印刷用トレイは未使用時にじゃまでしかなく、ともすれば紛失したり損壊することがあったため、トレイの内蔵はありがたい。EP-901FとEP-801Aは使用するトレイの切り替えをボタン1つで行えるので、手間いらずだ。

 一方、MP620とC6380はCD/DVDレーベル印刷の機能を割愛し、コストをほかの機構に回している。確かに万人が必要とする機構ではないので、あえて搭載しないことも差別化といえるかもしれない。

EP-901F/EP-801A:操作パネルの「CD/DVDトレイ」ボタンを押すと、CD/DVDレーベル印刷用トレイが自動的に現れる
MP980/MP630/MP620:レーベル印刷時は付属のトレイを手動でセットする
PM-A840S:CD/DVDレーベル印刷時は付属のトレイを手動でセットする

※記事初出時、キヤノンのPIXUS MPシリーズはCD/DVDレーベル印刷用のトレイを本体下に収納できるとの記載がありましたが、これは従来機種に用意されていた機能であり、新モデルでは省かれています。おわびして訂正させていただきます(2008年12月11日23時/編集部)。

プリントエンジン

 プリントエンジンは7モデルすべてが各色独立式のカートリッジを採用している。インクはどれもシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色染料インクを搭載しており、これに加えてどのようなインクを備えているかが特徴になる。主な違いは下表の通りだが、実際の印刷速度と印刷品質については次回以降で検証するため、ここではインクセットの違いを中心に比較する。

複合機7モデルのプリンタ部
製品名 EP-901F EP-801A PM-A840S
インク 染料6色 染料6色 染料6色
ノズル数 C/M/Y/K/LC/LM×各180ノズル C/M/Y/K/LC/LM×各180ノズル C/M/Y/K/LC/LM×各90ノズル
最高解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi 5760×1440dpi
最小インク滴 1.5ピコ 1.5ピコ 1.5ピコ
L判フチなし印刷速度(公称) 約14秒 約14秒 約22秒

複合機7モデルのプリンタ部
製品名 MP980 MP630 MP620 C6380
インク 染料5色+顔料Bk 染料4色+顔料Bk 染料4色+顔料Bk 染料4色+顔料Bk
ノズル数 C/M/Gy×各1536ノズル、Y/染料Bk/顔料Bk×各512ノズル C/M×各1536ノズル、Y/染料Bk×各512ノズル、顔料Bk×320ノズル C/M×各768ノズル、Y/染料Bk×各256ノズル、顔料Bk×320ノズル C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル
最高解像度 9600×2400dpi 9600×2400dpi 9600×2400dpi 9600×2400dpi
最小インク滴 1ピコ 1ピコ 1ピコ 1.3ピコ
L判フチなし印刷速度(公称) 約17秒 約18秒 約35秒 約15秒

 エプソンのEP-901F、EP-801A、PM-A840Sは、共通の染料6色インクを採用している。今回の7モデルでライトシアン、ライトマゼンタといったライトインクを用いる一方、顔料ブラックインクを備えていないのはエプソン機だけだ。ライトインクにより、写真の滑らかな階調表現が期待できる。インクを5つのドットサイズで制御する「Advanced-MSDT」(アドバンスド・マルチ・サイズ・ドットテクノロジー)も健在だ。インクヘッドのノズル数はPM-A840Sのみ少なく、印刷速度は上位2モデルと差がつけられている。

EP-901F:インクは染料6色のPM-Gインク(つよインク200)で、全色独立カートリッジを本体の右前方に装着し、そこからプリントヘッドへチューブでインクを搬送するオフキャリッジ機構を採用する
EP-801A:インクはEP-901Fと同様、染料6色のPM-Gインク(つよインク200)で、全色独立カートリッジを用いる。プリントヘッドへチューブでインクを搬送するオフキャリッジ機構も共通化されている
PM-A840S:インクは上位機と同じ染料6色のPM-Gインク(つよインク200)で、全色独立カートリッジだが、こちらはキャリッジ上にインクを装着するオンキャリッジ機構となっている

MP980:インクはグレーインクを用いた全6色セットで、装着ミスやインク切れを確認できる赤色LED搭載の独立式カートリッジを採用する

 MP980は、7モデルの中で唯一グレーインクを採用しているのが見逃せない。代わりにフォトインクは省かれたが、グレーインクで階調を整えるため、写真の表現も良好だ。グレーを含む染料5色インクに加えて、顔料ブラックインクも装備するため、文書のシャープな印刷品質も兼ね備えている。

 MP630とMP620はMP980からグレーインクを省いた染料4色+顔料ブラックの構成だが、MP620はノズル数で差がつけられているため、印刷速度が遅くなることに注意してほしい。ちなみにキヤノンは今回から色域を広げた(特に赤色の領域を拡大)新インクを採用しているのもポイントだ。最小インク滴1ピコリットルの3サイズドロップレット技術は継承している。

 C6380についてもMP630、MP620と同様、染料4色+顔料ブラックの構成となる。ライトインクは省かれたものの、インク滴を1.3ピコリットルと5.2ピコリットルで打ち分ける新エンジンにより、階調性を向上している。

MP630:インクは染料4色と顔料ブラックの5色構成で、3サイズのインク滴を打ち分ける高速エンジンを継承している
MP620:インクは染料4色と顔料ブラックの5色構成でMP630と同じだが、プリントエンジンの性能はMP630におよばない
C6380:オンキャリッジ式の5色独立カートリッジによる新インクシステムは、インク滴を最小1.3ピコリットルに縮小した

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう