インタビュー
» 2012年03月07日 08時00分 UPDATE

これがジャストサイズ――嘉悦大学が「QNAP」を導入する理由

QNAPの「TS-EC1279U-RP」はコストパフォーマンスが魅力の企業向けNASだ。現在学内での導入を進めているという、嘉悦大学情報メディアセンター長の遠山緑生氏に話を聞いた。

[ITmedia]

破格のコストパフォーマンスで注目を集める「TS-EC1279U-RP」

 IDCの定期リポートによれば、人類が生み出すデジタルデータの総量は2010年にゼタバイト(1兆ギガバイト)のレベルへと到達した。その勢いはますます加速し、2011年は1.8ゼタバイト――あなたの頭上に浮かぶ夜空の星と同じ数だけ、このデジタルユニバースにはビットが存在しているという。まさに情報化社会である。

 音楽や動画はデジタル情報として流通し、モバイルデバイスでインターネット上のさまざまなサービスが利用され、TwitterやFacebookに代表されるようにソーシャルライフ自体がデジタルの世界へと移行しつつある(都市で生活する以上、これらと無縁でいることは難しいだろう)。一方、デジタルデータの価値と量が加速度的に増大するにつれて、企業のみならず個人にいたるまで、信頼性の高いストレージへのニーズも高まっている。

og_qnap_002.jpg 今回の取材先である嘉悦大学。経営経済学部を中心に1400名弱の学生が在籍する。西武新宿線花小金井駅から徒歩7分の閑静な場所にある。Gmailを日本で3番目に学内導入した大学として知られる

 PC USERではこれまで、性能の高さで定評のある“最強NAS”ことQNAPのTurboNASシリーズを取り上げ、マルチメディアコンテンツの管理術や、データ消失リスクに備えたバックアップ方法、企業におけるTurboNAS活用など、用途に応じてさまざまなモデルを紹介してきた。その中でも2011年10月に登場した企業向けのラックマウントモデル「TS-1279U-RP」および「TS-EC1279U-RP」は、破格のコストパフォーマンスで企業や教育機関への導入が進んでいる注目の製品である(企業向けサーバは高すぎる? それならQNAPを使えばいいじゃない:性能と価格を両立したエンタープライズモデル「TS-1279U-RP」)。

 GoogleのGmailをいち早く学内導入したことで知られる嘉悦大学もTS-EC1279U-RPの設置を進めている教育機関の1つだ。同大学では、教育・研究・学部関連のシステムと学内の事務システムを一括して情報メディアセンターで管理しており、その新しいシステムとしてTS-EC1279U-RPの検証を行っているという。嘉悦大学で情報メディアセンター長を務める遠山緑生氏にQNAP導入の経緯を聞いた。

上から選ぶか、下から選ぶか、それが問題だ

og_qnap_008.jpg 嘉悦大学 学長補佐 情報メディアセンター長兼専任講師の遠山緑生氏

 実はこの遠山氏、普段からPC USERを読んでいるということで、TS-EC1279U-RPのことも以前掲載したレビュー記事で知ったという。

 遠山氏は「もともと学内で使うVMware vSphere用の共有ストレージを探していました。これまでは物理サーバライセンスごとに、バッファローやネットギアの製品をこじんまりと用意していたのですが、さすがにいまの用途だとTeraStation ISには高負荷すぎてiSCSI接続が切れてしまうということがありまして。これまですごくチープな構成でやっていたのでそろそろ限界だなと……」と背景を説明する。

 ただ、現在の負荷に耐えられる新しい機器を選ぶにあたってまず問題になったのが価格だった。「次のクラスになると、予算立てをしないと買えない価格になります。じゃあ予算でどれを購入しようかと検討したときに、簡単に言うと“Linuxあがり”の下のほうから選んでいくか、企業向け製品を上から降りてきて選ぶかということなのですが、上と下では非常に価格に差があるんですね。下から選べば10万円クラス、上から降りてくると安くても200万程度です。これが悩みでした」と遠山氏。

 また、それと同時に性能や信頼性について検討する必要もある。遠山氏は「安い製品はハードウェア面で信頼性が劣ります。シャシーが信用できなかったり、ほかが大丈夫でもファンが死んでしまったりとか。今回のTeraStation ISも故障したわけではないのですが、性能が負荷に耐えられないということもあります」と語る。

 その一方で、「高いほうから選べばその心配はないのですが、費用対効果を考えるとやはり難しい選択になります」とも付け加える。「この手の中小教育機関向けパッケージは、オペレーション側の知識がないことを前提としていて、『ハードはこれを買って保守はこれをつけて』と不要なオプションが付加されていることがほとんどです。もちろん、オペレーターがいないところであれば安心かもしれませんが、ウチのようにあらかじめ目的が決まっていて、管理に人員を用意できるところならコスト面で無駄が多いのです」(遠山氏)。

og_qnap_004.jpgog_qnap_005.jpgog_qnap_006.jpg 嘉悦大学は「働ける大学」をキャッチコピーに、在校生が学校内で就労経験を積める取り組みも行っている。例えば、情報メディアセンターは教員兼任のセンター長である遠山氏を筆頭に、専任の職員5名のほか、21名の学生が働いている。「PCが壊れた」といったトラブルの一時対応はすべてフロントエンドで動く学生が行うという。いわば“未来の保守チーム”による学生同士のミーティングも定期的に行われている(写真=左)。「中小企業のエースになれるスキルを身につける」という人材育成方針から、現実社会に則さない情報処理室を撤廃し、学生ひとりひとりにノートPCの所持を義務づけているのもユニークだ。「使いにくいクローズドのものに慣れるより、自分が使いやすいものを探して使うべき」と遠山氏は話す。取材時は春休み中だったが、ノートPCを持ちよって自習する学生たちをみかけた(写真=中央/右)。

 システムのアップグレードを検討したとき、これまでの延長で製品を選ぶと信頼性や性能で不安があり、かといってエンタープライズ向け製品はコストパフォーマンスに難がある――そこで“中間”選択肢として浮かび上がったのがQNAPというわけだ。

 遠山氏は「QNAPの製品は価格も手ごろなうえ、開けてみれば分かりますが信頼性の高いパーツを使っています。これくらいしっかり作ってあればハードウェア面の心配もないと思いました。当初の目的であったVMware Ready認証もついていますし」と、導入の検討を始めた経緯を説明する。

「パフォーマンスに驚いた」――QNAPは“速く”て“素直”

og_qnap_007.jpg 情報メディアセンターサーバルームに設置された「TS-EC1279U-RP」

 TS-EC1279U-RPを導入して遠山氏がまず驚いたのは、そのパフォーマンスだったという。

 遠山氏は「この手の組み込みLinux系NASは、たいていユーザーインタフェースが遅いじゃないですか。少し気の利いたUIを用意しようとしたら、動作がもっさりしていたり。でもQNAPはそういうところがまったくなかったのでびっくりしました。さすがCPUは速いんだなと。実際、ベンチマークテストなども実施して、以前使っていたLinuxサーバ、これは5年前に導入した製品なので比較として適切ではないかもしれませんが、それと比べても単純なシーケンシャルリードで数倍の性能は出ています」とコメント。

 「それと、WebのUIの内容を見れば何ができて何ができないのか比較的分かりやすい点もいいですね。NASの中にはもともとあるLinuxの機能に別の名前をつけて変に隠ぺいしようとする製品もありますが、QNAPはとても素直な作りだと思います。今回検証でQNAPを触った人の中には『ぼくこれウチ用に買う』なんて言っていた人もいました(笑)』とTS-EC1279U-RPの第一印象を振り返る。

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 パフォーマンスと価格のバランスが決め手だったと語る遠山氏。「セキュリティ製品が標準で組み込まれているのもポイントですね。3年間使ったわけではないのでまだ耐久性の部分を評価することはできませんが、ひとまず“この値段”でこれがやれるならいいよね、という結論です」と大いに気に入った様子だ。

 「将来的には今の用途以外にファイルサーバなども兼ねようと思っているので、実機で検証する前は、仮にパフォーマンスがでなかったらベイ数の少ないモデルを複数台購入する、ということも考えていたのですが、現時点では1台でもいろいろできてしまいそうです。RAID 6での運用を考えると12ベイあったほうがいいですし、まずはどんな構成でも使える1番大きなTS-EC1279U-RPを購入してみて、足りない部分は追加でシャーシを分けていこうかと思っているところです」(遠山氏)。

 嘉悦大学のインフラを支えるネットワークストレージとして、まさに“ジャストサイズ”だった「TS-EC1279U-RP」。その高い性能と信頼性、そして抜群のコストパフォーマンスは、これまでコスト高を理由にエンタープライズ級モデルをあきらめていたさまざまな現場に福音となって響きそうだ。

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