上位モデルのVivoTab TF810Cでは、「Transformer」(TF)シリーズでおなじみのモバイルキーボードドックが用意されているが、VivoTab Smart ME400Cでは、よりシンプルなBluetoothキーボードが「トランスリーブ」と呼ばれる画面保護カバーとセットで「ME400C専用トランスリーブ・Bluetoothキーボードセット」として販売されている。価格は9980円だ。
Transformer(TF)シリーズのモバイルキーボードドックは、タブレット本体の給電にも使えるバッテリーやUSBポートなどのインタフェースを搭載するが、このBluetoothキーボードの機能はシンプルで、キーボードとタッチパッド(クリックボタン一体型)、そしてキーボード自体の充電に使うMicro USBポートのみだ(充電用のUSBケーブルは付属する)。内蔵バッテリーの容量は不明だが、満充電の状態で約3週間利用可能としている。
機能がシンプルな分、軽くて持ち運びやすいところが本キーボードの特長だ。TF801C用のモバイルキーボードドックが約665グラムもあるのに対し、このBluetoothキーボードは約270グラムしかない。トランスリーブと合わせて421グラム、本体を合わせても991グラムだった(いずれも実測値)。Bluetoothキーボードのサイズは259(幅)×167(奥行き)×5.1(厚さ)ミリと見た目からは「ペラペラ」という印象を受けるが、剛性はしっかりしており、強度的な不安は感じない。
キーの配列は標準的な6段配列で、主要キーのピッチは17.5(横)×16.5ミリ(縦)だ。半角/全角キーや最下段のキー、カーソルキーのサイズは10(横)×13(縦)ミリ(いずれも実測値)と少し縦に細長いものの、特別打ちにくいキーは見当たらない。キースイッチもASUSの薄型ノートPCやUltrabookと同じような感触で、強めにタイプしてもたわむことはなく、安定感のあるタイピングが行える。
設置面との段差がほぼないため、使い始めは多少の違和感があったが、むしろ段差がない分、パームレストから手がはみ出してしまっても安定感がある。個人的には同じくらいのサイズの小型ノートPCやNetbookなどのキーボードよりも打ちやすく感じた。輝度調整や音量調整、クリックパッドの無効などを操作するキー(ファンクションキーと共有)を、ほかのASUS製ノートPC/Ultrabookと同じように装備している点もありがたい。
キーボードの手前には、タッチパッドの左下/右下がそれぞれ左右ボタンの役割を果たすクリックパッドがある。特にユーティリティは見当たらなかったが、標準で2本指でのスクロールのほか、チャームの表示などWindows 8固有のジェスチャー操作を利用可能だ。
「ME400C専用トランスリーブ」は、「風呂フタ」の愛称で知られるiPadのSmart Coverに似た画面保護用のカバーだ。画面に接触する面にはマイクロファイバーのようにきめ細かな繊維状の素材が使われており、Smart Coverと同様に磁力でME400Cに装着する。
Smart Coverよりも少し複雑な折り目が入っており、ME400Cに装着した状態でこの折り目に沿って折りたたむとタブレットを立てかけるスタンドになる。iPadのSmart Coverも折りたたんでスタンドのように使えないこともないが、磁力が弱いこともあり安定感はいまひとつだ。それに比べて、このトランスリーブを折りたたんだ形態は格段に安定感がある。画面の角度は約125度に固定されるが、広視野角のIPS液晶を採用しているため、調整できなくとも困ることはあまりないだろう。
ただ、このトランスリーブに関しては疑問が2つある。1つはASUSのWebサイトやPR動画を見ると、本体とトランスリーブの間にキーボードを挟み込んで携帯する使い方が紹介されていることだ。しかし、その場合トランスリーブの画面保護という役割はまったく機能せず、クッション性の素材を挟まずにディスプレイとキーボードが接触することになる。画面のガラスが丈夫であるため、そう簡単にキズは付かないだろうが、日本では受け入れられにくい使い方だろう。
もう1つはマグネットが内蔵されているトランスリーブのヒンジ部分だ。形状的には、丸みを帯びた本体の輪郭に沿うように付着するのが自然だと思うが、マグネットの位置が外寄りなのか、どうしても逆方向を向き、弧の外側どうしが向き合ってくっついてしまう。実用上問題はないが、どうにも落ち着かない。
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