PQI Japanは3月14日、無線アクセスポイントとポータブルHDDを統合した「Air Bank」を発表、同日より販売を開始した。ラインアップは500Gバイトと1Tバイトの2モデルで、実売価格は順に1万5800円と1万9800円。
Air Bankは、USB 3.0接続の外付けHDDに、有線LANポートとIEEE802.11b/g/n対応の無線アクセスポイント機能を内蔵した製品だ。ストレージ容量の小さなスマートフォンやタブレット端末からワイヤレスストレージとして活用できるほか、本体に有線LANポートを搭載するため、有線LANを持たないタブレットや薄型ノートPCの無線アクセスポイントとしても利用できる。もちろん、通常の外付けHDDとしても機能する。
同種の製品では、USBスティックタイプの「Air Pen」がすでに発売されているが、Air BankはUSB 3.0による高速転送と、大容量ストレージが特徴。また、内蔵のリチウムポリマーバッテリーが3000ミリアンペアアワーに大容量化し(Air Penは450ミリアンペアアワー)、バッテリー駆動時間が大幅に延び、ワイヤレスストレージ利用時に最大5時間の動画再生が可能になった(公称値/音楽ファイルは最大8時間)。
スマートフォンやタブレットからAir Bank内のデータへアクセスするには、専用アプリ「Air Bank+」かWebブラウザを利用する。iOS/Android端末からは、Air Bank内のメディアファイルの再生/閲覧のほか、アップロードやダウンロードも可能な専用アプリを使うと便利だ。ちなみにAir Penとソフトウェア面での機能差はないが、それぞれ別アプリとなっており、Air BankとAir Penを併用する場合は、端末側にAir Bank+とAir Pen+の両方をインストールする必要がある。
Air Bankは大きく分けて2つの動作モードがある。1つは、ノートPCなどにUSB経由で接続し、単純な外付けHDDとして使うモード。USB 3.0接続の高速転送により、後からモバイル端末で見たい各種メディアファイルをぽいぽいと放り込んでおける。
もう1つは、モバイル端末からAir Bank内のデータにアクセスするワイヤレスストレージモードで、Air Bank本体の電源ボタンを2秒押すとインジケータが緑色に変わり、無線インジケータが青く点滅する。このときにAir BankにWi-Fi接続し(デフォルトのSSIDは「PQI Air Bank」)、アプリのAir Bank+を起動すれば、Air Bank内のファイルにアクセスできるようになる(外付けHDDモードとワイヤレスストレージモードは排他動作)。
動画や写真、音楽などをUSB 3.0経由でAir Bankに転送しておき、移動中などに(Air Bank本体はカバンにしまったまま)モバイル端末からWi-Fi接続でメディアファイルを再生する、というのが基本的な使い方になるだろう。特にSDメモリーカードスロットを持たないiPhoneやiPadは、ストレージ容量が内蔵のみに制約されるため、手軽にストレージ容量を増やしたい場合に重宝するはずだ。
専用アプリのAir Bank+(iOS版)は、画面下に「Air Bank」「写真」「ミュージック」「ビデオ」「その他」のアイコンが並び、それぞれ対応するファイル/フォルダが画面中央に表示される画面構成になっている。「Air Bank」を選択すると、Air Bank本体内の階層がそのまま表示されるほか、ファイルを指定してiOS端末側にダウンロードすることもできる。一方、「写真/ミュージック/ビデオ」は、それぞれ対応する拡張子のファイルが自動的に検索されて並ぶ(画像ファイルは.jpg/.png、音楽ファイルは.mp3/.wav/.aif、動画ファイルは.mp4/.mov)。写真はサムネイル、音楽と動画はファイル名とファイルサイズのみのシンプルな表示だ。
少し気になったのは、HDDを採用するAir Bankは非常に多くのファイルを格納できる半面、ファイル名などで検索する機能を持たないため、データが増えるほど目当てのファイルを探しづらくなる点。また、最大5台までの端末を同時接続できる(転送速度を気にしなければ何台でも可能)一方で、アカウントごとにフォルダ/ファイルへのアクセスを制御する機能がないので、ほかの人と共有したいデータと、自分だけのプライベートなデータの両方を同一のAir Bankに保存しづらいという問題もある(Air Penならプライベート用/共有用でmicroSDメモリーカードを入れ替えるという方法である程度は対応できた)。この辺りも何らかの工夫が欲しいところ。
スティックタイプのAir Penに比べて重量は増したが、Air Bankをカバンに入れたままワイヤレスストレージとして使うのであれば、それほど重さは気にならない。それよりも、最大1Tバイトの大容量と約5時間まで延びたバッテリー駆動時間は大きな魅力だろう。また、一般的なポータブルHDDに比べて、価格は倍以上とかなり割高な半面、スマートフォンやタブレットから手軽に接続できる使い勝手のよさに加え、アクセスポイントとして利用できる点も出張などで役に立つ場面は多い。モバイル端末の容量不足に悩んでいる人は、検討してみてはいかがだろうか。
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