第2回 「PCカスタマイズオーダー」の魅力を改めて考える「dynabook R822」ロードテスト(1/2 ページ)

» 2013年04月11日 10時10分 公開
[石川ひさよし(撮影:矢野渉),ITmedia]

「PCカスタマイズオーダー」の魅力を改めて考える

photo 筆者が導入した「dynabook R822/WT8HS(PR822T8HNNSW)」

 PCパーツ中心のライターとして活動している筆者。ライター業務で使うモバイルノートPCと言っても「原稿が書ければいいじゃないか」というわけではない。「バッテリーが長持ちしさえすればいいでしょ」というわけでもない。

 海外取材なども含めた取材活動を行う上で、筆者としてはどんな場所でも自宅と同様のパフォーマンスが得られなければ意味がないと考えている。このため、筆者のノートPC選びはとてもワガママだ。そんなスペックを満たすPC、たいていは店頭販売モデルでは足らず、カスタマイズが可能な直販モデルでないとなかなか存在しなかったりする。

 今回選んだdynabook R822も、東芝の直販サイト「東芝ダイレクト」でカスタマイズした構成を選んでいる。なにより店頭モデルでは用意されない、高性能志向な自分好みの構成でオーダーできるのが何よりの魅力なのである。

 筆者は業務マシンを2台PC体制で運用している。以前は1台ですべてを済ませていたが、打ち合わせ程度の外出ならまだしも、海外も含めた取材活動を行うとすると……いろいろ不都合もあるので、パフォーマンス性とモビリティ性はいつからか分けて考えるようにした。

 2013年4月現在、自宅に据え置いて使う“パフォーマンス性”追求マシンはCore i7を、“モビリティ性”追求マシンはCore i5以上とするCPU仕様を線引きとしている。

 なぜ筆者は低廉志向なCore i3やPentium、Celeronクラスではダメなのか。普段扱うデータサイズが大きいためだ。原稿そのものの作成は単なるテキストデータなので正直、何でも大丈夫だが、その作成に必要なもの──資料やプログラム──が案外多く、データサイズも意外と大きい。数Mバイト単位のPDFデータ、ベンチマークテストを管理するExcelデータ、さらに原稿に加える写真、映像データ、音声(インタビュー)データなどもある。

 特にExcelデータが重い。こちらは、ベンチマークテストとともに構成する記事(参考:2万円を切る8コアな“Piledriver”の破壊力を「FX-8350 」で知る! など)に用いる。ベンチマーテストは得られた結果に対していくつものかなり複雑な計算処理を行い、テスト環境のバラつきが極力少なくなるよう関数処理などで工夫をしているが、この結果、単なるExcelファイルなのに1つ数十Mバイトまで肥大化し、再計算のたびに「分単位」の時間を要するようになっている。もちろんこれは筆者のみの事例だが、業務の進行になくてはならないタスク、ファイル、アプリが扱えないマシンでは仕事にならないわけである。

photo Intel Quick Sync Video対応の動画変換ソフト「MediaEspresso」。撮った映像メモはQuick Sync Video対応ソフトを用いればサクッとエンコードできる

 また、とりわけサイズの大きい映像データは関しては、Core iシリーズで利用できるQuick Sync Videoの実装が決め手になる。もっとも筆者は映像のプロではないので画質やクオリティに関するクライアントの要求は一定レベルにとどまるが、さておき、トランスコード処理にCPUパワーを持っていかれ、ほかの作業に着手できないのではとても困る。

 ビジネスシーンでも、資料に動画データを効果的に盛りこんでプレゼンテーションを行う事例はかなりあたり前になっていると思う。エンターテインメント利用でなくともハードウェアトランスコード機能はかなり活躍してくれるものなのだ。

 次はメモリ容量だ。インテルが提唱する薄型ノートPCの新カテゴリとなる“Ultrabook”は国内ユーザーにもかなり広く認知されるようになった。ただ、薄型なだけに増設スロットが省かれ、メモリ搭載量は固定、あるいは購入時のみ変更可能──とするモデルが多くなっている。

 筆者が導入したdynabook R822も、2012年秋冬の店頭モデルは4Gバイト/東芝ダイレクトWebオリジナルモデルは8Gバイトといった構成に分かれていた(2013年春モデルは、店頭モデルも8Gバイトを標準搭載するようになっている)。Windows 8の利用において、家庭シーンでの利用であれば4Gバイトで足りないことはない。ただ、筆者のようにWebブラウザで大量のサイトをタブ表示しながら、オフィスデータ(Office、PDFなど)を表示し、写真・動画データを編集しつつテキストにまとめる──といった同時並行型の業務スタイルだと、4Gバイトでは心配になる容量である。

 また、ノートPCにSSDが採用されはじめて以降、スワップファイルを作成するのはSSDの寿命を縮めそうで好みではなく、そのSSDの寿命を縮めないもう1つのテクニックとしてRAMディスクを作成しようしても、搭載するメインメモリを圧迫する。こうした理由から、新規導入マシンには「最低でも8Gバイト」は必要と決めた。

photo 東芝ダイレクトには、店頭モデルには存在しないハイスペック構成でオーダーできるWebオリジナルモデルを多く用意している。お得価格で買えるかもしれない数量限定アウトレットコーナーなどもある

 そしてSSDも、予算が許せる範囲で大容量が望ましい。筆者は過去半年分の業務データを持ち歩くようにしているが、これだけで約80Gバイトを消費している。肥大化の理由は主に写真と映像データなのだが……。ともあれ容量128GバイトのSSDではとても足りないし、容量ぎりぎりで運用するのはパフォーマンスへの影響もいまだ心配なのだ(ひと昔前のTipsとして、SSDは容量の半分程度を空けておくくらいが効率よくデータを転送できるとされている。最近は容量いっぱいまで使ってもパフォーマンスに影響はないとうたう製品も登場しているが)。

 そうなると選びたいのは「256Gバイトクラス」以上となる。この点、店頭モデルは価格重視の128Gバイトに抑えられる傾向はまだある。また、保証を気にせず「PCは壊れた時が買い替えどき」「バラして交換してしまえばOK」といった考えの人であればSATAかmSATAかといったストレージインタフェースなどの方が重要だが、一般的なノートPCよりも高密度で実装されているUltrabookは、やはり直販モデルでカスタマイズするのが現実的だろう。

 ほかにもOSがProエディションである必要があるとか、Officeはすでにパッケージ版を所持しているのでなしに(その分価格を抑える)、(今回のdynabook R822は対象外だが)無線通信機能──例えばWiMAXや3G/LTEを内蔵していないと困るとか、飛行機の中や薄暗い海外のホテルで作業する際に必須なキーボードバックライトが欲しいとか、そういうあたりも直販モデルだと選べるオプションだったりする。

 もっとも、よくよく考えると、自作PCレビューが本業という点から「自分好み仕様でないと満足できない」というのが大きいと思う。

東芝ダイレクト
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