ついに“Haswell”(開発コード名)こと「第4世代Coreプロセッサー」が登場した。IntelはCPU開発にあたって、プロセス技術の進化(チック)とマイクロアーキテクチャの刷新(タック)を振り子のように2年サイクルで繰り返す「チック・タック」モデルを採用しており、今回のHaswellはマイクロアーキテクチャ刷新の「タック」に相当する。
同CPUは、従来の「第3世代Coreプロセッサー」と同じく22ナノメートルプロセスの3次元トライゲートトランジスタを採用した製品だが、アーキテクチャが拡張されたほか、さまざまな省電力機能を盛り込むことで、パフォーマンスと省電力性を両立させているのが特徴だ。
Haswellでは、NehalemやSandy Bridge世代のアーキテクチャを踏襲しながら、命令発効ポート数やストアパイプが強化され、8つのμOPS(内部命令)を同時に発行し、4つの整数演算を並列で実行できるようにしている。
従来のIvy Bridgeコアベースの第3世代Coreプロセッサーでは、6つのμOPS発行で、3つ整数演算の並列実行であったことを考えると、クロックあたりのパフォーマンスが大きく向上することになる。また、256ビットSIMD演算ユニットでは、積和演算(Fused Multiply Add)をサポートするなど、AVX(Advanced Vector Extentions)を第2世代のAVX2へと進化させることで、浮動小数点演算性能も従来の倍となる、1クロックあたり32FLOPS/コアに向上させている。また、サーバ用途などでマルチコア処理の効率を向上させることができるトランザクショナル・メモリに対応したことも、大きなアーキテクチャ拡張と言える。
Haswellに統合されるグラフィックス機能は、基本的なアーキテクチャはIvy Bridge世代を踏襲しているが、シェーダーコアの役割を果たす実行ユニット数が増やされるとともに、テクスチャユニットやビデオ支援機能が強化されている。
また、CPUコアとLLC(Last Level Cache)、グラフィックスコアを、それぞれ独立したクロックで制御できるようにすることで、Turbo Boostをより効率的に利用できるようにしているのも特徴だ。加えて、ディスプレイインタフェースは、Display Port 1.2対応となり、4Kディスプレイ出力(3840×2160ドット/60Hz、または4096×2304ドット/24Hz)をサポートする。
Haswellのグラフィックスは、同社がGT1、GT2、GT3と呼ぶ、実行ユニット数が異なる3つのバリエーションがあり、エントリーモデルに採用されると言われるGT1は12基、ほとんどのデスクトップ向けCPUが採用するGT2は20基、モバイルCPUの上位モデルが採用するGT3は40基の実行ユニットを統合。このうち、GT3にはeDRAMを拡張キャッシュとしてパッケージに統合するGT3eも用意され、GT3が「Iris」、GT3eには「Iris Pro」という新グラフィックスコアブランドが与えられている。
製品名はGT1が「Intel HD Graphics」、GT2が「Intel HD Graphics 4600/4400/4200」、GT3がTDP(熱設計電力)が15ワットの「Intel HD Graphics 5000」と28ワットの「Intel Iris Graphics 5100」、GT3eが「Intel Iris Pro Graphics 5200」だ。
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