ビジネスパーソンのみなさま、出張時のインターネット接続環境はどう確保しているだろうか。
普段より外回りが多い営業職などの方であれば、LTE/3Gのモバイルデータ通信サービスをすでに使っているかもしれない。ただ(昨今の日本ではたいていは大丈夫とは思うが)場所によってはまれに携帯電話がつながりにくいことがあるし、最近は月間7Gバイトまでなどの通信量制限があるので節約できる場所であれば……と考える人は多いはず。また、普段は内勤で、月に数回以内の頻度で出張機会がある業務の方は、モバイルデータ通信サービスはそこそこの月間コストがかかるので、経費削減が叫ばれるこの頃、このためだけに導入するのは許されないこともあると思われる。
これらの場合、ホテルに備わるインターネットサービスを利用する手段が余計なコストが発生せず、手間もかからない選択肢の1つだ。
ホテルのインターネットサービスは、部屋に有線LANポートがある「有線サービス」のパターンと、館内Wi-Fi網を利用する「無線サービス」のパターンが一般的だ。ただ、どちらもいくつかデメリットがある。最近の有線LANポートを備えないPCを使っているならば有線のみ対応のサービスでは使えないし、無線サービス対応であっても部屋によっては電波が届きにくく、とても遅く不安定という事例は珍しいことではない。
そんな悩みをスパッと解消してくれる機器、それが「ホテルルータ」である。今回はホテルルータの新モデル「AtermW300P」を、実際の出張へ持ち出し、どう使えるかをチェックしてみた。
AtermW300Pは手のひらサイズの超小型ルータである。機能としては自宅に設置するホームルータと同じで、本体にWAN(光ファイバーやADSLなどのインターネット回線を受けるための)ポートを1つ備え、そのインターネット回線を複数台のWi-Fi機器で共有できるようにするルーティング機能を利用できる。
ホームルータと違うのは、有線LANポートをすべて省いて、子機はWi-Fi接続のみにスパッと限定した点だ。これにより約43.8(幅)×57.6(奥行き)×13.3(高さ)ミリ、重量約20グラムと、例えるとちょっと大きい消しゴムほどの感覚──となる、非常に小型なボディを実現した。無線LAN部は2.4GHz帯の802.11b/g/nに準拠し、802.11n接続は最大300Mbpsの通信に対応する。
本体構成もシンプルだ。インタフェースはWAN回線接続用のLAN端子(100BASE-TX)と給電用のUSB Micro-B端子のみで、ほかにはらくらくスタートボタン(らくらく無線スタート/WPSなど、簡単無線LAN設定用)と状態表示LEDが備わるのみとなる。
使い始めも簡単だ。有線によるインターネットサービスを中継するだけならば、ホテルのLANポートとLANケーブルで接続し、PCやスマートフォンからはホテルルータのWi-Fiアクセスポイントへ接続するだけで機能する。本体にはデフォルトであらかじめ暗号化設定済みのSSID(Wi-Fi接続先の名前)と暗号キーが設定されており、内容は本体の裏面あるいは付属マニュアルにシールが張られている。
Android/iOS搭載スマートフォンやタブレットでは、専用アプリ「らくらくQRスタート for Android」「らくらくQRスタート for iOS」を使うと簡単にWi-Fi設定が可能だ。アプリでマニュアルにあるQRコードを読み取とるだけでWi-Fi設定を自動的に行ってくれる。
Windows/Mac OS搭載ノートPCでは、Wi-Fi標準の簡単設定機能「WPS」を用いると簡単だ。PCより本機のWi-Fi接続先(SSID)をサーチし、見つかったSSIDの暗号キーの入力が求められたら、本体のWPSボタンを6秒ほど長押しすれば設定が完了する(慣れている人であれば、暗号キーを手動入力してもよい)。このあたりは、普段Wi-Fiを使っている人であればやり方は同じなので大丈夫だろう。
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