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» 2014年01月17日 19時16分 UPDATE

改めておさらい「WiMAX 2+」:「HWD14」で現在のWiMAX 2+の挙動を知る──ハンドアップ/ダウン、ハンドオーバー編 (1/2)

2回のアップデートを経て少しよくなった「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」。改めて、WiMAX 2+とWiMAX 2+対応ルータはどんな特性があるかをじっくりチェックする。

[坪山博貴,ITmedia]

改めておさらい「WiMAX 2+」って何?

photo WiMAX 2+通信対応ルータ「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」

 UQコミュニケーションズが2.5GHz帯における20MHz幅帯域の追加割当を受け、次世代のBWA(Broadband Wireless Access:データ通信向けの広帯域移動無線システム)サービスとして2013年10月31日に開始したのが「WiMAX 2+」だ。

 データ送受信量に制限を設けないことが評価ポイントの1つになるWiMAXの後継サービスとして、当初は他の通信方式とは互換性がないWiMAX 2(WiMAX Release 2.0)として計画されていたが、送受信で同じ帯域を時分割で切り替えるTDDを、一次変調に最大64QAM、二次変調にOFDMA、MIMOの採用など基礎技術を共通とするTD-LTEが普及の兆しを見せたこと受け、そのTD-LTEと互換性を確保する形で仕様追加し、改めて次世代サービスとして採用された。

 WiMAX 2+は規格名ではなく、これまでのWiMAX Relaase 1.0(802.16e)と、高速化されたWiMAX Release 2.0(802.16m)、さらにTD-LTEとの互換性を盛り込んだWiMAX Release 2.1 AE(Addtional Elements)をサポートするサービスとデバイスに付与されるブランド名という位置付けになる。今回は、後述するエリアの話においてWiMAX 2+と言えば従来のWiMAXより高速なWiMAX Release 2.1 AEのサービスエリアという形にさせてもらう。

 WiMAX 2+はサービス開始時点で下り最大110Mbps、上り最大10Mbpsでサービスを展開している。20MHz幅では一般的なFDD-LTE(Xiやau LTE、SoftBank 4G LTEなど)では送受信に干渉を避けるため、少し離れた周波数で10MHz幅ずつを使う仕様だが、端末側の制限(アンテナサイズや消費電力など)から上り通信は電波の使用効率が悪い特性がある。一方、WiMAX 2+は同じ20MHz幅でも時分割で送受信に割り振れる点を生かし、一般にトラフィックの多い下り通信により多くの時間を割り当てることで高速化を実現している。

 もっとも送受信スペックだけなら同じくTD-LTE互換となるソフトバンク系のWireless City Planning(WCP)が展開するAXGPサービスが先行しているわけだが、UQコミュニケーションズは通信方式の改善だけでなく、従来のWiMAXですでに使用している30MHz幅を順次WiMAX Release 2.1 AE用に振り替えていく計画で、連続した50MHz幅をキャリアアグリゲーション(複数の搬送波を束ねて高速化する手法)なども利用することで将来的には1Gbps越えを目指している。2014年にも導入を予定する4×4 MIMO(現状は4×2 MIMO)による最大220Mbps化はAXGPも追従(もしくは先行)する可能性はあるが、その後はWCPの30MHz幅(2014年12月までは20MHz幅)に対して連続した50MHz幅の帯域を持つUQコミュニケーションズは「より高速なサービスを提供できる可能性」が高いと言える。

 というわけで、改めてWiMAX 2+とその先の可能性をおさらいしたところで本題に。現時点唯一のWiMAX 2+対応端末「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」(以下、HDW14)をじっくりチェックしていこう。使い勝手や基本機能については別掲している「タッチパネルで「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」は使いやすくなったのか?」を参照願いたい。

 下り最大110Mbps/上り最大10Mbpsはもちろん、オプション料金が必要ながら2014年1月時点、3大キャリアのLTEではもっともエリアが広いとされるau 4G LTE(800MHz帯、1.5GHz帯)での通信も可能。WiMAXとWiMAX 2+はもちろん、WiMAXエリア外でもLTEでの高速なインターネット接続が可能である。エリアの広さという点ではau 3GサービスとWiMAXサービスに対応していたハイブリッドルータ「Wi-Fi WALKER WiMAX HWD13」に劣るが、ともあれau 4G LTEでの高速LTEサービス“も”使用できる点は大きな魅力だ。

 HWD14は、初のWiMAX 2+対応製品ということもあったためか当初はマイナートラブルをいくつか抱えていたが、2013年12月19日の2度目のアップデート(Ver.11.031.09.30.824)でかなり改善し、安定するようになったかなと思う。

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WiMAX 2+はスマートに使えるのか──エリアとハンドアップ/ダウン具合をチェック

 WiMAX 2+は追加割当の免許交付からわずか数カ月でのサービスイン、また、すでにWiMAXでのエリア化が進んでおり、それも併用できるため、新サービスとしては必ずしも満足とは言えない広さでサービスインしたが、今回測定を行った2013年12月末現在、東京23区/環状7号線の外側にもじわじわエリアを広げており、関東圏では主要駅周辺を中心にエリア化されている状況となっている。

 もちろんWiMAX 2+のエリア外でも既存WiMAXを併用でき、Mbps単位の速度で通信できるので、実利用においてさほど困ることはない。とはいえ、WiMAX 2+は2年の継続契約が条件(WiMAXは1年)となり、既存サービスに存在した高い評価を得ていた「機器追加オプション」も用意されないなどデメリットと感じる部分もあるので、やはり可能な限りWiMAX 2+接続で使いたいと思うのがユーザーの心情だ。

photo 横浜市東神奈川駅周辺のエリアマップ(画像は2013年12月15月時点のもの。現在の状況と見比べてみてほしい)。濃いピンクがWiMAX 2+エリア化済み、薄いピンクが2014年3月までにエリア化予定のエリアだ。バックボーンも従来の100Mbpsから1Gbpsに強化する必要があるためか、大道路沿い、あるいはUQコミュニケーションズの主要株主でもあるJR東日本の線路沿いなど、バックボーンの工事がしやすいところからエリア化しているようだ。また都市部では300メートル程度の小さなセルサイズで基地局を設置しているということだが、例えば東急東横線反町駅あたりを見ると確かに小さなセルで基地局を密に設置しているように伺える。ちなみに関東エリアでは2014年3月末までに藤沢市、町田市、相模原市、八王子市、所沢市、さいたま市、越谷市、柏市、千葉市をぐるっと取り囲むようにWiMAX 2+のエリア化が一気に進む予定だ

 まずエリアに関して。UQコミュニケーションズが公開するエリアマップはおおむね正しく、エリアマップ内(特に障害物もない路上など)では高確率でWiMAX 2+でつながる。

 ただ、受信状況の変化は既存WiMAXと比べてもかなり敏感だ。WiMAX 2+接続のHDW14ディスプレイ読みでアンテナバー3〜4本(HWD14は最大5本)の場所から30メートル程度徒歩移動するだけでハンドダウンしてしまい、WiMAXでしかつながらなくなることもある。また、路上にてアンテナバー4〜5本の状況なのに、そこから店舗へ1〜2メートル入るだけでハンドダウンしてしまう挙動も何度か確認した。

 同じ特性の2.5GHz帯を使う以上、電波の浸透性は基本的にWiMAXもWiMAX 2+も同じなのだが、このあたりのハンドダウンは意図的に行われている可能性もある。WiMAX 2+においても電波状態に応じて変調方式を変えることで通信速度よりも接続性を重視した通信は可能だが、それはセクタスループット(1基地局あたりがカバーできる総データ量/速度)を下げる原因になる。そこでまだ通信可能な電波状態でもあえてWiMAXにハンドダウンし、WiMAXとWiMAX 2+を合わせたセクタスループットを向上させる目的だと想定する。

 2014年1月現在はまだWiMAX側の方が混雑しているので、WiMAX 2+ユーザーから見るとWiMAXにハンドダウンすると大幅に通信速度が落ちて損をしているように感じるかもしれない。ただ、これはWiMAX 2+へユーザーの移行が進むにつれてバランスは取れてくる。また、これは回り回ってユーザーがWiMAX 2+で接続している時は「高い通信速度を維持」できることも意味する。筆者の知る限り、小セル化の進んでいる都市部ではWiMAXとWiMAX 2+は基地局を共有しているので、WiMAX 2+だけが極端に電波の浸透性で見劣りする可能性は低いはずである。

 改めて、関東エリアの何カ所かで体験したこととして、WiMAX 2+エリア内の屋内施設窓際にて端末をほんの30センチほど(机の端から端程度)移動させるだけで、本体の電源を入れ直すたびに、あるときはWiMAXのまま、たまにWiMAX 2+でしっかりという状況があった。いくらなんでも間に遮へい物もないほんの30センチほどの移動でエリア外になってしまうほどギリギリの場所ではないはずであり、そんな場所でもWiMAX 2+でしっかりつながれば下り30Mbps以上とかなり高速な速度が出たりするので、やはり意図した制御が行われていると思われる。

 続いて、WiMAXからWiMAX 2+へのハンドアップに関しては、通信状態にかなり左右されるので一概には何とも言えない。WiMAXで接続してデータ送受信が継続している場合はWiMAXでの接続を継続するかたちになっており、WiMAX 2+の電波を確実につかむ場所であってもすぐにはWiMAX 2+接続にハンドアップしない動きだ。この仕組みに関しては3GとLTE、WiMAXと公衆無線LANなど、デュアルネットワーク対応のポータブルルータでは一般的に取り入れられているものなので、WiMAX 2+ないしHWD14固有の仕様ではない。

 なお、筆者の使用環境は自宅がWiMAX 2+圏外、近隣の駅は圏内(駅に近づくと圏内になる)という状況である。徒歩であっても、バス移動であっても、何も通信していなければ駅に向かう途中でWiMAX 2+に切り替わる。しかし、駅への移動中にWiMAX接続のまま通信し続けていると、駅まで延々とWiMAXで接続され続ける。

 ……と、だいたいのクセが分かってきた。明らかにWiMAX 2+エリアなのにWiMAX接続が続く場合は、通信継続状態をストップするためクライアントとの接続を切る、HWD14の接続モードを切り替えて元に戻す(ハイスピード←→ノーリミット)か、端末を再起動する──などがWiMAX 2+接続に移行する手っ取り早い手段だ。HWD14は本体にタッチパネル付きディスプレイを備えているので、モード切り替え等の作業も本体の操作だけで行えるのは案外便利だ。

 一方、au 4G LTEでのLTE接続はハイスピードプラスエリアモードに動作モードを切り替えた場合のみ有効となる。ネットワークはWiMAX 2+とau 4G LTEを使用する(WiMAX接続には切り替わらない)。すでにWiMAX 2+のサービスエリアが確実な場所であれば、当面データ通信量の制限がないWiMAX 2+を軸に月7Gバイト(と直近3日)制限のあるLTEを行き来することになるが、そうでないエリアでは通信量制限のあるLTE接続が延々と続くことになる。

 ま、こちらはデータ通信量が7Gバイト/月に収まるというライト層ならあまり気にしなくてもよい。というか、1度でも変更したらプラス料金が発生するので(ちなみに、2014年1月より5カ月間、LTE オプションを無料にするキャンペーンが行われているのでこの期間は例外)有効活用しなければもったいないという気持ちもあるのだが、WiMAX圏内とWiMAX圏外、かつLTE圏内を日々移動しながら、WiMAXと高速通信が可能なデータ通信量“制限なし”に魅力を感じている人は、意識して接続モードを切り替えながら運用する必要がある。

photophoto 通信モードは本体のタッチ操作で変更できる。この選択画面に最短で到達するには「クイックメニュー」→「通信モード」の2タップが必要。そこから通信モードを選んで右上の決定(チェックマーク)を押して、計4タップだ。なお「ハイスピードプラスエリアモード」を選択すると“切り替えると追加料金が発生します”の警告画面も表示されるので、さらにもう1タップ必要。ちょっと操作数が多くて、UIとしての完成度はまだまだだ
photo 無線LAN接続した機器のブラウザでアクセスするWeb設定ツールより「ハイスピードプラスエリアモード」の利用を抑制すると、ルータの操作では「ハイスピードプラスエリアモード」が表示されなくなる

 なお、ハイスピードプラスエリアモードを利用するとデータ送受信量に関係なく1055円/月のプラス料金が発生する(ただ、前述のキャンペーンにより2014年5月31日まで無料)。LTE接続は利用しないという人のため、本体操作ではハイスピードプラスエリアモードに切り替えられないよう設定することも可能だ。

 この点に関しては親切と思うが、現時点での現実的な運用を考慮するとLTEとWiMAXを自動切り替えするモードもほしかった。WiMAX 2+のエリア展開がまだ先になるであろうルーラルエリア(農山村地域)ではこの組み合わせが結構有効だと思うためだ。

 もう1つ、ハンドアップ/ダウン時のIPアドレスは、WiMAXとWiMAX 2+間では変わらないが、LTEとWiMAX 2+間では変わるようだ。こちら、シームレスなデータ通信という点では少し残念だが、LTE接続はauネットワークへのローミング扱いということになるので仕方ない。

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