「FMV LIFEBOOK TH90/P」――4スタイル変形+IGZO液晶+筆圧ペンが魅力の13.3型Ultrabookを徹底検証(ベンチマークテスト編)注目PC詳細レビュー(1/2 ページ)

» 2014年04月24日 00時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

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ココが「○」
・4スタイルで使える薄型ボディ
・1024段階の筆圧対応ペンが付属
・13.3型“2560×1440”IGZO液晶
ココが「×」
・重量が約1.59キロとやや重め
・キーストロークが約1ミリと浅い
・CPUの選択肢がCore i5に固定

実力テスト:高精細IGZOディスプレイの良好な発色を確認

富士通の13.3型コンバーチブルUltrabook「FMV LIFEBOOK TH90/P」。独自の回転ヒンジを搭載し、4つのスタイルに変形できることに加えて、筆圧ペンにも対応する

 前回は富士通が投入した13.3型コンバーチブルUltrabook「FMV LIFEBOOK TH90/P」の特徴と使い勝手をチェックした。今回はパフォーマンスをはじめ、液晶ディスプレイの表示品質、バッテリー駆動時間、動作時の騒音、発熱といった各種テストを行い、PCとしての実力を明らかにする。

 主な基本スペックをまとめると、Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)、Intel HD Graphics 4400、8Gバイトのメモリ(PC3L-12800シングルチャンネル)、500GバイトのハイブリッドHDD、2560×1440ピクセル表示の13.3型IGZOディスプレイ、64ビット版のWindows 8.1という内容だ。

 パフォーマンステストの結果については、参考までに同社の13.3型モバイルノートPC「FMV LIFEBOOK SH90/M」(Core i5-4200U、4Gバイト、500GバイトハイブリッドHDD搭載)、および15.6型ノートPC「GRANNOTE(FMV LIFEBOOK AH90/P)」(Core i5-4500U、8Gバイト、1TバイトHDD搭載)のスコアも併記した。

 ハイブリッドHDDは、回転数5400rpmのHDDにNANDフラッシュメモリを組み合わせたもので、評価機はSeagateの「ST500UM001」を搭載していた。ディスク性能を計測するCrystalDiskMarkではシーケンシャルリードの速さが目立つ一方、ランダムアクセスは標準的といったスコアだ。PCMark 7のStorage scoreでは、通常のHDDに対してハイブリッドHDDならではのアドバンテージがみられる。

 総合的なパフォーマンスを評価するPCMark 7のスコアは、ストレージの性能に大きく影響される傾向があり、SSD搭載のUltrabookに比べると振るわないスコアだ。また、3D描画性能を測定する3DMarkでも、全体的にCore i5-4200U搭載機としては少々控えめなスコアとなっている。これはメモリがシングルチャンネルアクセスであることと、変形する薄型ボディでの放熱面に配慮したことが影響しているのだろう。

 とはいえ、どれも基本スペックから予想される範囲内のスコアであり、第4世代Core+ハイブリッドHDD搭載モデルらしく、体感的にはWindows 8.1を快適に利用できる水準にあるのは間違いない。

左から、CINEBENCH R15、CINEBENCH R11.5、CrystalDiskMark 3.0.3のスコア
左から、PCMark 7 1.4.0、3DMark 1.2.250、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア

 液晶ディスプレイの表示を計測したところ、輝度は平均260カンデラ/平方メートルと必要十分で、色温度は7000KとsRGB基準の6500Kより少し高い値だった。目視でもやや寒色系の白色に見える。階調再現性を示すガンマ補正カーブのグラフは、明部から暗部まで比較的リニアな傾向にあり、RGBの3本線が少しズレているものの、ノートPC内蔵ディスプレイとしては及第点だろう。色域はsRGBと比較して緑や赤の領域が少し不足しているが、ほぼsRGB相当といえる良好な発色だ。

液晶ディスプレイの計測結果。ガンマ補正カーブは、RGBの3本線が少しズレているが、ノートPC内蔵ディスプレイでは整っているほうで、階調再現性はなかなかのものだ(画像=左)。色域の広さを見ると、sRGB(下に敷いたグレーの領域)にかなり近い鮮やかな発色が確認できる(画像=右)
デスクトップからアクセスする「ステータスパネルスイッチ」では、省電力モードや各デバイスの状態を切り替えられる。ここをカスタマイズすることで、より長時間のバッテリー駆動も可能だ

 Webブラウズとテキスト入力を想定したバッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)も実施したところ、結果は5時間58分だった。2in1(コンバーチブル)/モバイルPCとして満足できる駆動時間かどうかはユーザーの使い方によるだろうが、FMV LIFEBOOK TH90/Pの場合はバッテリーを交換でき、オプションとして交換用バッテリーも用意されているので、その気になれば、より長時間駆動のニーズにも応えられる。

 公称のバッテリー駆動時間(約12.5時間)と比較して、半分程度のスコアになるが、測定条件が緩いJEITA測定法Ver.1.0による公称値なので、こうした結果になることは少なくない。そのため、2014年4月からより実際の利用条件に近いJEITA測定法Ver.2.0が施行されており、富士通もPC夏モデルからVer2.0による公称値を適用することだろう。

 動作音に関しては、内蔵ファンの回転がやや負荷に敏感な印象があり、低負荷時にも動作していることが分かるレベルの音がする。ただし、高負荷時もそれほど大きくはならなかった。動作中の発熱はボディ左側が中心で、キーボードの一部で温度が高めだが、最も手がよく触れるパームレストには熱があまり伝わってこないため、不快な印象はない。

左から、動作音テスト、発熱テストの結果

ベンチマークテストの概要

  • パフォーマンステスト
    • CINEBENCH R15(CPU性能評価)
    • CINEBENCH R11.5(CPU性能評価)
    • Crystal Disk Mark 3.0.3(ストレージ性能評価)
    • PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
    • 3DMark 1.2.250(3D性能評価)
    • FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)

※Windows 8.1の電源プランは「バランス」に設定

  • 液晶ディスプレイ表示品質テスト
    • i1Pro+i1Profilerでディスプレイの表示を実測し、ガンマ補正カーブを抜粋
    • i1Proが生成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色域をsRGB(薄いグレーで重ねた領域)と比較

※液晶ディスプレイは1時間以上オンにし、表示を安定させた状態で中央付近を測定

  • バッテリー駆動時間テスト
    • BBench 1.01

※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測

  • 騒音テスト
    • 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温23度)
  • 発熱テスト
    • 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温23度)

富士通
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