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» 2014年06月10日 11時15分 UPDATE

こんなPC、見たことない:北欧デザインと東芝の技術が融合――7スタイルPC「dynabook KIRA L93」を速攻チェック (1/2)

2つの変形機構を盛り込むことで、合計7つものスタイルチェンジに対応する新感覚のモバイルPC「dynabook KIRA L93」。その個性豊かな7スタイルを見ていこう。

[前橋豪(撮影:矢野渉),ITmedia]

常識破りの7スタイルPC、東芝から

 2013年夏に電力効率を高めた第4世代Coreプロセッサー(開発コード名:Haswell)が登場して以来、PCとタブレットを1台でまかなえる“2in1”デバイスが増えつつある。

 2in1の実現には、従来のクラムシェルノートPCに変形機構を加えることが必要だ。現状では大きく分けて、液晶ディスプレイのヒンジが360度回転するものと、キーボードが着脱できるもの、2種類の変形機構が主流といえる。

 東芝が5月19日に発表した新モデル「dynabook KIRA L93」は、この2つの変形機構を組み合わせることで、1台2役の2in1を大きく超えた、合計7つもの利用スタイルを提案する実にユニークな製品だ。同社の2014年PC夏モデルで目玉機種に位置付けられる。

 今回は6月下旬の発売に先駆けて試作機を入手したので、個性的なボディデザインを中心に見ていこう。実際の製品と異なる可能性があることは、あらかじめお断りしておく。

tm_1406_kira_l93_01.jpg 東芝「dynabook KIRA L93」

キーボード着脱と360度回転ヒンジをどちらも搭載

 dynabook KIRA L93は標準的なクラムシェルノートPCと異なり、キーボードの手前にパームレストがなく、キーボードの奥側にスペースがある。この手前側にあるキーボード部のみを着脱できることに加えて、キーボードを取り外した状態では、余った奥側のスペースを360度回転するヒンジ機構と組み合わせることで、スタンド付きタブレットのように利用可能だ。この2つの変形機構がさまざまな利用スタイルを生み出す。

 内部の構造としては、キーボード奥側の短いスペースにメイン基板などのPC本体部を搭載し、液晶ディスプレイの背面にリチウムポリマーバッテリーを内蔵した独特の設計だ。取り外したキーボードはBluetooth接続により本体とワイヤレス接続で利用できる。また、電磁誘導式デジタイザによる筆圧対応のペン入力機能も持つ。

 dynabook KIRA L93が提案する7つのスタイルと、東芝が想定する主な利用シーンを以下にまとめた。

  1. ノートPCスタイル――キーボードとスティックでの文書作成向き
  2. フラットスタイル――対面の相手と画面を見ながらキー操作可能
  3. テントスタイル――タッチ操作で映像や音楽のコンテンツを楽しむ
  4. スタンドスタイル――映像再生やSkypeなどを、狭いスペースで利用
  5. デスクトップスタイル――少人数で画面を見つつ、ワイヤレス操作
  6. キャンバススタイル――画面に浅い角度がつく、ペン入力向き
  7. タブレットスタイル――大画面のタブレットとして利用
tm_1406_kira_l93_02.jpgtm_1406_kira_l93_03.jpg 基本となる「ノートPCスタイル」。キーボード手前にパームレストがなく、キーボードの奥にスペースがあることを除けば、見た目はおなじみのクラムシェルノートPCそのものだ
tm_1406_kira_l93_04.jpgtm_1406_kira_l93_05.jpg 「フラットスタイル」は、360度回転ヒンジを生かし、キーボードを合体したまま液晶ディスプレイを180度まで開き、平らに寝かせた状態(写真=左)。キーボードを合体した状態で、ディスプレイをさば折りのように折り返し、キーボード部とディスプレイ部の2辺をスタンド代わりにすると、「テントスタイル」になる(写真=右)
tm_1406_kira_l93_06.jpgtm_1406_kira_l93_07.jpg 「スタンドスタイル」は、キーボードを取り外し、キーボード奥側のPC本体部を折り曲げ、スタンド付きタブレットのように置いた状態(写真=左)。スタンドスタイルに、取り外したキーボード(Bluetoothでワイヤレス接続)を組み合わせると、「デスクトップスタイル」になる(写真=右)
tm_1406_kira_l93_08.jpgtm_1406_kira_l93_09.jpg スタンドスタイルのまま横に寝かせて、手前にディスプレイが来るように配置すると、「キャンバススタイル」に早変わり(写真=左)。そして、360度回転ヒンジを利用し、ディスプレイが表になるよう完全に折り畳んだ「タブレットスタイル」(写真=右)

 テントとスタンドなど、用途がかぶっていたり、1つのスタイルというには少々強引と思える格好も見られるが、利用シーンに応じて、ここまで幅広い選択肢から最適なフォルムを選べるのはdynabook KIRA L93ならではのメリットといえる(そのぶん、使いこなす側のセンスも求められるだろう)。

 キーボードは、スペースバー手前のレバーをスライドさせることで、PC本体とキーボードのロックが外れ、手前に引き抜くことができる。今回入手したのは試作機のせいか、PC本体とキーボードの固定がかなりタイトで、着脱作業は少々手間がかかる印象だった(そのぶん、後述するようにボディの剛性は高い)。

 キーボードを取り外すと端子部がむき出しになるため、製品にはキーボードとPC本体の接合部にかぶせる黒いカバーが付属する(カバーなしでも利用できるが、カバーをしたほうが見た目がいい)。

tm_1406_kira_l93_10.jpgtm_1406_kira_l93_11.jpg 思わぬところから外れるキーボードの着脱機構。キーボードは表と裏を反対にして装着することも可能だ。接合部がやや武骨なため、それを隠す黒いカバーも付属している

 なお、Bluetoothキーボードは表裏を反対にして装着することも可能だ。キーボードを反対向きに装着すれば、そのままディスプレイを360度回転してタブレットスタイルに変形した際、キーボードが外側に露出せず、内側にしまわれる格好になる。そのため、手に持って使う場合に、指がキーボード面に触れてしまうのが気になるようなことがない。

 同様にスタンドスタイルやテントスタイルでもキーボードが内側に隠れるので、見栄えがいい。この点は、360度回転ヒンジだけを備えた2in1の他機種と異なる部分だ。

北欧デザインと東芝の職人技術を融合したアルミボディ

 2つの変形機構を盛り込んだことで、本体が壊れやすくなることを懸念してか、ボディはガッシリと剛性感ある作り込みがなされている。ボディは天面、底面、キーボード面のすべてにアルミニウムを使用。アルミニウム削り出しのボディは、側面を光り輝くダイヤモンドカットで囲っており、高級感あふれる仕上がりだ。カラーはサテンゴールドを採用し、カバーバリエーションは用意しない。

 このデザインは、スカンジナビアに拠点を置くデザイン会社である「No Picnic」とのコラボレーションによって生まれたもので、いわば北欧デザインと、東芝の職人技術の融合がdynabook KIRA L93を形作っている点に注目したい。確かに、日本国内に限らず、欧米でも受けそうな高い剛性感と高級感を兼ね備えたアルミボディだ。既存のdynabookとは一味違う外観も大きな特徴といえる。

tm_1406_kira_l93_12.jpgtm_1406_kira_l93_13.jpg アルミニウム削り出しのボディは高級感たっぷり。天板側に約500万画素のアウトカメラ、本体に収納できる細いスタイラスペン(リザーブペン)を搭載するほか、天板の奥には薄型のリチウムポリマーバッテリーを内蔵している(写真=左)。底面も余計な凹凸などがないシンプルで美しい外観だ(写真=右)。表面はサラリとした手触りで、ヘアライン加工などは施されていない

 一方、ふんだんにアルミニウムを使ったボディは、13型クラスのモバイルPCとして軽量な部類ではない。2つの変形機構を搭載したことと、液晶ディスプレイの裏側にバッテリーを搭載したことで、設計上、キーボード側を重くして全体の重量バランスを取る必要があることも、重量増を招いている。

 本体サイズは319.9(幅)×227(奥行き)×16.9(高さ)ミリ、重量はキーボード合体時で約1.75キロ(実測値で1.76キロ)、キーボードを取り外した状態で約1.3キロ(実測値で1.25キロ)だ。フラットなボディの薄さに不満はないが、キーボードなしのタブレットスタイルでもズシッと手に重みを感じる。携帯性よりも幅広いシーンへの対応力を重視した設計だ。とはいえ、公称バッテリー駆動時間はJEITA測定法2.0で約9時間、JEITA測定方1.0で約10.5時間と長めに確保している。


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