自由にGPUなどを拡張カードで差し替えられるデスクトップ機は別として、中身を自分では変えられないノートPCの場合、プロセッサの世代が変化すると、プロセッサに内蔵されるいくつかの機能も新しいものになる……という意味で、大きな違いが出る。
あるいは現在のIntelプラットフォームでは、そちらのほうがバイヤーにとって意味が大きいかもしれない。特にプロセッサ内蔵GPUを採用したノートPCではなおさらだ。
例えば、Haswell/Broadwell世代は内蔵GPUでHDMI 2.0の高速モードを利用できない。4Kディスプレイの接続は可能だが、HDMIではリフレッシュレートが30Hzまでとなる(DisplayPortならば60Hzで接続可能)。しかしSkylakeは内蔵GPUのHDMI 2.0トランスミッタにより、4:4:4/60Hz接続が可能になると言われている。内蔵GPUの外部ディスプレイ接続に不満であれば、Skylake世代になれば改善することは間違いなさそうだ。
また、Skylakeの内蔵GPUは第9世代となってパフォーマンスが向上。GPUの実行ユニット数ごとに4つのバージョンが作り分けられ、より高いGPUパフォーマンスの方向にスケーリングするとのことだから、採用するPCのフォームファクタや求められるパフォーマンス、許容できるコストごとに、メーカーが(あるいはBTOで消費者自身が)より最適な内蔵GPUを選べるようになると予想される。
また、Skylakeの世代でIntelは「WiGig」という無線データ伝送技術を導入しようとしている。WiGigは比較的近距離の高速な無線通信規格だ。60GHzという高い周波数帯で最大約7Gbps(理論値)の超高速通信が行える。
自宅に帰ると、部屋内に置かれた無線ストレージデバイスやワイヤレスのポートリプリケータ、ディスプレイと自動接続され、充電器に接続したら後は(持ち帰ったノートPCを)デスクトップPCのように使う……といったことも可能になる。ただし、これから対応製品を広げていく段階なので、あくまでもスタート地点だ。
Skylake世代でもう少しカジュアルに新機能を使いこなせそうなのは、「Rezence」という無線充電システムである。
数年前にInternational CESで、東芝が同種の技術展示を行っていたことがあるため、覚えている方もいるかもしれないが、この技術は磁気共鳴という現象を応用したものだ。磁気共鳴には電磁誘導に比べて伝送経路の制約が小さく、また同時に複数デバイスの充電を行えるなどの利点がある(Rezenceで使われているものは当時の東芝の技術と原理は同じだが、詳細な技術実装は異なるようだ)。
このRezenceをWiGigと同時に利用すれば、帰宅したら充電台の上にノートPCを置いておくだけで、後は机の上のキーボードとディスプレイで離れた場所から使える……そもそも、PCをACアダプタにプラグする必要さえなくなるわけだ。Rezenceによるワイヤレス充電は密着度が低くても充電できるため、カバンの中に入れたまま所定の位置に置いておけば充電される……といった環境も作れるだろう。
WiGig、Rezenceともに重要な点は、いずれもIntelのSkylake向け標準プラットフォームに含まれているということ。すなわち、Skylake世代のノートPCには、WiDiとともに(意図して削除しようと思わないなら)これらが搭載される。調達部品の標準化なども行われると考えられるため、低価格な台湾、中国ブランドのノートPCを含め、幅広い製品に搭載されて一気にインストールベースが増加することが期待できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.