2015年にPCはどう変わるか?――Intelプラットフォームの進化から考える本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2015年01月03日 14時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

プロセッサ世代が変われば、周辺インタフェースも変わる

 自由にGPUなどを拡張カードで差し替えられるデスクトップ機は別として、中身を自分では変えられないノートPCの場合、プロセッサの世代が変化すると、プロセッサに内蔵されるいくつかの機能も新しいものになる……という意味で、大きな違いが出る。

 あるいは現在のIntelプラットフォームでは、そちらのほうがバイヤーにとって意味が大きいかもしれない。特にプロセッサ内蔵GPUを採用したノートPCではなおさらだ。

 例えば、Haswell/Broadwell世代は内蔵GPUでHDMI 2.0の高速モードを利用できない。4Kディスプレイの接続は可能だが、HDMIではリフレッシュレートが30Hzまでとなる(DisplayPortならば60Hzで接続可能)。しかしSkylakeは内蔵GPUのHDMI 2.0トランスミッタにより、4:4:4/60Hz接続が可能になると言われている。内蔵GPUの外部ディスプレイ接続に不満であれば、Skylake世代になれば改善することは間違いなさそうだ。

 また、Skylakeの内蔵GPUは第9世代となってパフォーマンスが向上。GPUの実行ユニット数ごとに4つのバージョンが作り分けられ、より高いGPUパフォーマンスの方向にスケーリングするとのことだから、採用するPCのフォームファクタや求められるパフォーマンス、許容できるコストごとに、メーカーが(あるいはBTOで消費者自身が)より最適な内蔵GPUを選べるようになると予想される。

EIZOが公開している同社製4Kディスプレイ(FlexScan EV3237)の互換性情報。Intel製CPU内蔵GPUがIntel HD Graphics 4200以降であれば、DisplayPort接続で3840×2160ピクセルの60Hz表示が可能だが、現状でHDMI接続は30Hz表示にとどまる

 また、Skylakeの世代でIntelは「WiGig」という無線データ伝送技術を導入しようとしている。WiGigは比較的近距離の高速な無線通信規格だ。60GHzという高い周波数帯で最大約7Gbps(理論値)の超高速通信が行える。

 自宅に帰ると、部屋内に置かれた無線ストレージデバイスやワイヤレスのポートリプリケータ、ディスプレイと自動接続され、充電器に接続したら後は(持ち帰ったノートPCを)デスクトップPCのように使う……といったことも可能になる。ただし、これから対応製品を広げていく段階なので、あくまでもスタート地点だ。

「WiGig」は、Wi-Fi(無線LAN)機器の技術策定、認定、推進活動などを行うグローバル団体であるWi-Fi Allianceが推進する次世代の近距離高速無線通信規格。Wi-Fi Allianceは2016年初頭に認定プログラム(WiGig CERTIFIED)を開始する予定だ(Wi-Fi Allianceの発表資料より)

 Skylake世代でもう少しカジュアルに新機能を使いこなせそうなのは、「Rezence」という無線充電システムである。

 数年前にInternational CESで、東芝が同種の技術展示を行っていたことがあるため、覚えている方もいるかもしれないが、この技術は磁気共鳴という現象を応用したものだ。磁気共鳴には電磁誘導に比べて伝送経路の制約が小さく、また同時に複数デバイスの充電を行えるなどの利点がある(Rezenceで使われているものは当時の東芝の技術と原理は同じだが、詳細な技術実装は異なるようだ)。

 このRezenceをWiGigと同時に利用すれば、帰宅したら充電台の上にノートPCを置いておくだけで、後は机の上のキーボードとディスプレイで離れた場所から使える……そもそも、PCをACアダプタにプラグする必要さえなくなるわけだ。Rezenceによるワイヤレス充電は密着度が低くても充電できるため、カバンの中に入れたまま所定の位置に置いておけば充電される……といった環境も作れるだろう。

無線給電技術の標準化を進める業界団体「Alliance for Wireless Power」(A4WP)の一員であるIntelは、同団体が推進する「Rezence」の実用化にも積極的だ。A4WPは2015年から無線給電の本格的な普及が始まると予想している。写真はIntel Developer Forum 2014で行われたRezenceのデモ。Rezenceの給電システムを組み込んだテーブルに、対応するノートPCやタブレットを載せるだけで充電できる

 WiGig、Rezenceともに重要な点は、いずれもIntelのSkylake向け標準プラットフォームに含まれているということ。すなわち、Skylake世代のノートPCには、WiDiとともに(意図して削除しようと思わないなら)これらが搭載される。調達部品の標準化なども行われると考えられるため、低価格な台湾、中国ブランドのノートPCを含め、幅広い製品に搭載されて一気にインストールベースが増加することが期待できる。

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