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» 2015年02月19日 00時00分 UPDATE

なぜ、日本からGoProが出なかったのか?:日本人よ、もっと「CES」に参加しよう──日本におけるCESの“意外”な効果 (1/2)

日本で初めてとなるCES Unveiled。米国のそれと異なり、スタートアップ展示のほかに基調講演やパネルディスカッションを行い、「日本復活」のヒントを模索した。

[長浜和也,ITmedia]

日本の大企業は「とにかく遅い」

 米国家電協会(CEA)は、2月18日に東京で「CES Unveiled Tokyo」を開催した。これは、1月に米国ラスベガスで行った「2015 International CES」で、その年のCESで注目すべき製品を一挙に展示する「CES Unveiled」の日本版として、今回初めて行ったものだ。

 ただし、米国で行ったCES Unveiledをそのまま東京で行うのではなく、米国から来日したCEA Director Industry Analysisのスティーブ・コーニング氏の市場分析に関するセミナーや、CEA CEOのゲイリー・シャピロ氏による講演、そして、日本からCESに参加したCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏とWiL共同創業者ジェネラルパートナーの西條晋一氏が登場したパネルディスカッションを行い、“Tokyo”の独自色を出していた。

 パネルディスカッションでは、司会者の日本経済新聞社 論説委員兼編集委員の関口和一氏が、2015 CESで感じた大きな変化として、「家電のショウからIoTのショウに」「従来型のアジア家電メーカー以外に欧米ベンチャー企業がプレゼンスを高めている」ことを挙げたうえで、日本企業がグローバルで競争力を持つために何をすればいいのかを、ディスカッションの中で話していきたいと、その目的を述べた。

kn_cestokyo_11.jpg 日本の開発現場における問題点を鋭く指摘したCES Unveiled Tokyoのパネルディスカッション

 CESには4年前から参加しているCerevoの岩佐氏は、CES参加の意義について、CESで海外とのパイプを作ることで、現在売り上げの半分以上を海外ビジネスを占めるようになったとしている。ベンチャーキャピタルのWiLを率いる西條氏は、現在、イノベーションは日本ではなく米国で起きていると、日本がイノベーションを起こしていたのは過去のことになってしまったと指摘したうえで、WiLの役割は日本企業と米国シリコンバレーの橋渡しで、投資先としてはグローバルに展開できる可能性を持つ企業を選択していると説明した。最近では、ソニーと連携して「Qrio」を創設して、西條氏はそのCEOも兼任している。

 司会者の「2015 CESは、日本の大企業が無難にまとめていたのに対して、ベンチャー企業は存在感を出していたように思う」との問いかけに対して、岩佐氏は「革新的な製品を作るために必要なリソースのハードルが下がってきた。2015 CESでは、大企業も元気だったが革新的な進化が少なかったので、無難に見えたのかもしれない。その分、スタートアップが盛り上がっているように見えたのではないか」という見解を示し、西條氏は、「スタートアップを集めたエリアが面白かったという意見が多かった。IoTでは、ハードウェアとともにアプリケーションも含めて参考になるブースが多かった」と感想を述べた。

 岩佐氏は、「いまは、ハードウェアの開発において、いいものが比較的簡単にできるようになった。大企業はリスクを避けるのに比べて、スタートアップは革新的な開発に挑戦しやすくなっている」と、小規模メーカーやスタートアップメーカーが開発条件的に有利になっているという考えを述べた。西條氏は、日本の事情として、成功した企業をGoogleのような大企業が買収したり、開発した部品をamazon.comが取り扱うといった環境がないことを取り上げている。

 IoTが部品開発に強い日本メーカーにとってチャンスになると思ったが、2015 CESでは目立っていなかったという司会者の質問に対しては、岩佐氏は「もう1年待たないと」と答えた。「やってみたいメーカーは増えている。日本では、ハードウェアをやるのはリスクが高いと考える時期が長かったが、いま、投資する側は資金を持っていて、投資する先を探している状態だ。日本から行う“From Japan”は有利。To Japanではなく、From Japan。組み込み開発で日本は依然として強い。組み立ては海外でいい」と、組み込み開発に日本の活路があるという考えを示した。

 西條氏は、「日本では大企業とベンチャーに大きな壁がある」と問題を提起する。日本では、転職など人材の移動が少ないため、ベンチャーから大企業にアプローチしたくても、まず窓口が分からないという。また、日本が成長するための条件として、西條氏は「投資側には資金が十分にある。だから、あとは、企業家が出てくること。そのためには、いいムードと成功事例が重要だ」と述べ、「なぜ、日本からGoProがでなかったのか。物は作れるが、開発スピードが出せない組織的な問題があるのでは」と指摘した。

 それを受けた岩佐氏も、「徹底的にスピード」として、「日本はスピードが遅い。アジアの生産企業は苦労することも多いが、始めるまではとても速い。きょう話したら明日には作っている。支払は決済じゃなくてPayPalでいい。日本はスタートするまで半年かかる。アクションカメラも2年間も検討して先を越されて作れなくなった」と指摘した。

 岩佐氏は、「スタートアップ的には日本はもっと部品メーカーになってほしい」と述べ、日本の優れた部品技術を利用してスタートアップと連携してほしい」と希望を語った。

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