VAIO Zの大きな特徴の1つに、長時間のバッテリー駆動がある。公称のバッテリー容量は58ワットアワーで、バッテリー駆動時間はJEITA 2.0測定法で約15.2〜15.5時間、JEITA 1.0測定法で約19.3〜20.2時間と、非常に長い駆動時間を確保しているのだ。InstantGoのサポートにより、スタンバイ時のバッテリーライフでも17.9日を実現している(先々代のVAIO Z(Z1)は3.4日、先代のVAIO Z(Z2)は2.5日、VAIO Pro 13は8.4日)。
本体の重量が増すにもかかわらず、58ワットアワーと大容量のバッテリーを内蔵した理由は、「ビジネスマンがACアダプタを持たずに外出し、不安なく丸一日過ごせること」にこだわった結果という。単に1日の業務時間だけバッテリー駆動できるのでは不十分で、やはり保険としてACアダプタを携帯したくなってしまうものだ。そういう心理的な部分も含めてケアするには、このくらい圧倒的なロングバッテリーが必要になる。
VAIOではバッテリーの設計と製造を自社で行っているため、バッテリーを覆う樹脂や板金のケースを省くなど、本体と合わせて設計することで、重さや形状を最適化できる点も強みだ。最適化を徹底追求した結果、ソニー時代に発売された13.3型2in1モデルのVAIO Duo 13が内蔵していた52.9ワットアワーのバッテリーに比べて、厚さは0.4ミリ薄く、重さは28グラム軽くなっているという。
ちなみにPC本体のサイズは324.2(幅)×215.3(奥行き)×15.0〜16.8(高さ)ミリ、重量は約1.34キロだ。実測値では1332グラムとほぼ公称値通りだった。この数字だけを見ると、13型クラスのノートPCで最薄・最軽量クラスではないが、前述した高性能なプロセッサとそれを安定動作させる放熱機構、2in1の変形機構、そしてこの大容量バッテリーまで内蔵して、この厚さと重さなのだから納得できる。
さて、実際にVAIO Zのスタミナはどれほどのものか。バッテリー計測アプリのBBench 1.01(海人氏・作)を使い、無線LAN(IEEE802.11ac)で常時接続し、60秒間隔でのWebサイト訪問、10秒間隔でのテキスト入力を行なう設定で計測した。液晶ディスプレイの輝度は40%に固定(自動調光オフ)、Bluetoothはオンの状態だ。
この条件でのテスト結果は、満充電からバッテリー残量が5%になるまで、11時間41分動作した。公称駆動時間の最小値(約15.2時間)には及ばなかったが、テスト条件を考えれば十分な駆動時間ではないだろうか。同条件のテストでVAIO Pro 13は9時間8分、VAIO Fit 13Aは7時間7分という結果で、これらと比べても安心感は大きく違う。
薄型軽量ボディに通常より高性能なプロセッサを搭載しているということで、気になるのが動作時の騒音や発熱だ。これらも実測してみた。
動作音は、「VAIOの設定」の「CPUとファンの動作モード」によって異なる。「パフォーマンス優先」設定では、高負荷時にかなりファンが勢いよく回転し、動作音も大きくなる。従来のVAIOシリーズと同傾向の音質ではあるが、金属的な高周波音は比較的低減されているように思う。静音性はさておき、とにかく最高性能を引き出したいときに最適な設定だ。
一方、「静かさ優先」設定では、高負荷時でも極めて静粛だ。アイドル時や低負荷時はほぼ無音で、高負荷時でもファンが回っていると認識できる程度の音しかしない。「パフォーマンス優先」設定より性能が下がるとはいえ、キーボードモードにおける「静かさ優先」設定は、cTDP 15ワットの動作であっても、同世代のTDP 15ワット版CPU搭載機と同レベルかそれ以上の性能を発揮できるので不満はない。
状況に応じて、「ファンの回転音はしても性能優先」か、「性能は抑えても静音優先」かをユーザーが選べるのは便利だ(従来のVAIOノートでは「CPUとファンの動作モード」に、この2つの中間となる「バランス」設定もあったが、VAIO Zでは省かれている)。
高負荷時におけるボディの発熱は、底面中央の奥辺りが中心だが、「パフォーマンス優先」設定でも、「静かさ優先」設定でも、表面温度は低く保たれている。気温が上がる夏場になると、膝の上で使い続けるのは難しいかもしれないが、机上での操作中に手が触れるパームレストなどが不快なほど発熱することはなさそうだ。
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