ASUSTOR NASキットを導入しようとしている人のほとんどは3つに分類される。1つは初めてNASを導入する人。もう1つはすでに導入している他社製NASから乗り換える人。そして3つめがWindowsサーバから乗り換える人だ。
連載第2回ではWindowsサーバから乗り換える人が気をつけるべきポイントを紹介していく。
Windowsサーバはさまざまなサーバ向けサービスを提供するサーバOSだ。それに対して、NASキットはその名のとおり「Network Attached Storage」専用機を出自としながら、多機能化を進めていったネットワークアプライアンスである。
今までWindowsサーバをどういった用途で使っていたかによってWindowsサーバを完全に置き換えるのか、それとも一部機能のみを譲渡し、共存していくのかが変わってくる。
まずは現在のWindowsサーバにどのような役割を担わせているのかを確認しよう。そのうえで、移行対象となる役割や機能について、ASUSTOR NASに同じ機能、もしくは代替となる機能があるかどうか、仕様上の制限はないか、などを調べる。
場合によっては危殆(きたい)化してしまっているサービスもあるので、単純な移行だけでなく、必要に応じて運用の見直しも行うべきだろう。
まずはWindowsサーバの代表的な役割と機能をピックアップしていく。
ASUSTOR NASを導入する以上、ファイルサーバの機能を置き換えることは当然だろう。だが、ファイルサーバは単にファイルを保存するだけが役目ではない。認証されたユーザーに対して与えられた権限に従ってアクセス制御を行うことも必要だ。
ユーザー管理をActive Directoryで行っていた場合は2つの問題がある。ASUSTOR NASはActive Directoryサーバ機能を持たない。そのため、Active Directoryを廃止するか、Active DirectoryサーバとしてWindowsサーバを残し、共存を続けるかのいずれかになる。
もう1つの問題が既存ファイルのコピーだ。単純に共有フォルダ単位でアクセス可能なユーザー・グループを設定できるような運用をしてきたのであれば問題ないが、ユーザーごとに例外的なアクセス権を設定している場合はその設定をどう引き継ぐかも考えなければならない。
Active DirectoryではWindowsネットワークをドメインという単位で管理し、ユーザーやグループの認証・権限管理などを一括で行う。ASUSTOR NASにはActive Directoryの管理を行うドメインコントローラの機能はない。ただし、既存のドメインコントローラの管理下に入ることはできる。
Active Directoryを使い続ける場合は、必然的に現行のWindowsサーバを残しておく必要がある。
ASUSTOR NASはUSBプリンタを接続して、ネットワークプリンタとして扱うことができる。ネットワークインタフェースを持たないプリンタでもネットワーク対応化して共有できるのがメリットだ。しかし、Windowsサーバの印刷サービスと比較するとプリンタドライバの自動インストールや管理ができない、ネットワークプリンタとして自動検出できないなど限定的な置き換えにとどまる。
また、WindowsServerではUSB接続プリンタだけでなく、ネットワークプリンタも同様に扱うことができるが、ASUSTOR NASではUSB接続プリンタのみとなる。
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