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「Office 2016」はユーザーのビジネスだけでなく、Microsoftのビジネスモデルも変えていく鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2015年09月28日 06時00分 公開

Officeにも最新化モデル(CB)を適用

 特に日本では、Windows搭載PCへのOfficeバンドル比率が高く、ここでのライセンス販売がMicrosoftの大きな収益源となっている。一方で、MicrosoftがWindowsやOfficeのバージョンアップを行っても、PCを買い換えるまでは旧バージョンのソフトウェアをそのまま使い続けるユーザーも多い。

 もしPCの買い換えサイクルが今後さらに長くなれば、せっかくMicrosoftがWindowsやOfficeに開発投資を行っても収益が減る一方となる。なぜなら、従来のバンドルやプリインストール方式は買い切りモデルのため、PC販売時にしか収益が発生しないからだ。

 PCとのバンドル販売は、ソフトウェアの普及とMicrosoftやサードパーティベンダーへの収益面では大きく貢献したが、今後のビジネスを見据えるなら、次の方法を模索する時期がきている。

 そこで登場したのがサブスクリプションという概念だ。Office 365のサブスクリプションを契約すると、契約期間中であればいつでも最新バージョンのOfficeをインストール可能になる(ProPlusまたはOfficeソフトウェアが利用可能なサブスクリプションの場合)。つまり契約ユーザーが望みさえすれば、いつでも旧環境を最新環境へアップグレード可能というわけだ。

 以前「Windows 10は永遠に未完のOSか?」という記事の中で、Windows 10が定期的にマイナーアップデートを重ねることで少しずつOSの内容が更新され、これまでのような数年単位でのメジャーアップデートで一気に環境が変化するようなことはなくなる可能性を紹介した。

 実際、Windows 10の一般ユーザー向けアップデートは「最新化モデル(Current Branch:CB)」という方式が採用されており、年に2〜3回程度やってくる比較的大規模なアップデートでWindows OSの機能強化や更新が図られることになる。

 このCB方式は今回のOffice 2016にも採用される点に注目したい。Office 365 ProPlusまたはそれに準ずるサブスクリプションを契約するユーザーの場合、年2〜3回程度の大規模なアップデートを経て、Officeソフトウェアの比較的大規模な更新が行われる。

 ただし、一気にソフトウェアが更新されてしまうと不具合の発生なども考えられ、検証や更新に時間が必要な企業ユースに対応できない。そこで、CBよりも少し時間を置いたタイミングで適時アップデートが可能な「企業向け最新化モデル(Current Branch for Business:CBB)」も用意される。

Office 2016以降に導入されるCB、CBBのアップデートモデル。Windows 10同様にアップデートにはライセンス認証が必要だ

 このようなアップデートモデルが継続した場合、Windows 10がそうであるように、今後Office 2016に続くOfficeのメジャーアップデート版はしばらく登場しない可能性もある。基本的にはサブスクリプションを契約したうえで、そのときどきで最新のOfficeを導入するスタイルが一般的になるのかもしれない。

 もちろん、PCを新たに購入してバンドル版(Premium)を利用するケースもあるが、MicrosoftはこうしたユーザーにもOffice 365のサブスクリプションを契約してもらい、1年後の無料期間終了後もサブスクリプション版での継続をしてもらいたい考えだ。

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