4月29日(米国時間)に米カリフォルニア州サンフランシスコ市内において、Microsoftの開発者会議「Build 2015」がスタートした。基調講演をはじめ、初日に出てきた情報を整理してまとめていこう。
まずは開催直前に掲載した予想記事の復習から始めたい。一般ユーザー向けの新しい話題は少なく、むしろエンタープライズや開発者向けのトピックが中心になると予想していたが、実際にほぼその通りの内容となった。
ボリューム的に2時間半の基調講演(実際には大幅にオーバーして3時間)の半分近くを「Microsoft Azure」関連の発表が占めるなど、「企業とクラウド」に対するMicrosoftの意気込みが伝わる内容だ。残りは10分少々でOffice関連の話題をまとめ、残り1時間がWindows OS、最後30分が「HoloLens」関連のデモストレーションだった。ここではPC USERの読者に重要と思われるトピックをまとめて紹介する。
過去の連載でも詳しく解説しているが、Windows 10ではPCからスマートフォン、果てはゲーム機から小型の組み込み機器まで、共通のアプリケーション(ユニバーサルアプリ)が動作する。この仕組みは「Universal Windows Platform(UWP)」の名称で呼ばれており、今回のBuild関連資料でも実行環境からアプリまで、「UWP」のキーワードが冠されたものが多数散見されている。
UWPの特徴は「シングルバイナリでどのフォームファクタやスクリーンサイズでもUIが最適化されて動作する」という「Adaptive UX」の仕組みを含んでいることで、1つの共通アプリですべてをカバーできる点が大きい。
また「Windowsストア」が共通化された点も大きなポイントであり、アプリストアにさえ接続できる環境があれば、どのプラットフォームのデバイスであっても共通のUWPアプリをダウンロードして利用できる。
ストアの共通化で、例えばスマートフォン向けのアプリストアではおなじみの「キャリア課金」をPCからも利用できたりと、個々のメリットをプラットフォームを横断して享受できる。米MicrosoftでWindowsプラットフォーム開発を推進するテリー・マイヤーソン氏は「AppleはiOSとOS X、GoogleはAndroidとChrome OSという形で別々のプラットフォームを模索したが、Windowsではすべて共通の1つのプラットフォームになっている」とそのメリットを強調する。
詳細は別途リポート記事があるので参照してほしいが、これまで汎用(はんよう)的な2in1デバイスをターゲットにしていた「Continuum」機能(タッチUIとデスクトップUIをスムーズに切り替えられる機能)が、ある程度デバイスに応じて最適化されている。例えば、8型クラスの小型タブレットにおいては専用のUIメニューが追加され、Continuumのタブレットモードがさらに使いやすくなった。
スマートフォン向けにもこのContinuum機能が追加され、ホームスクリーンとアプリの全画面表示しかできなかったWindows 10 for phones(Windows Mobile 10)が、外部ディスプレイとキーボード+マウスを接続することで、「デスクトップ的な使い方」が可能になる。
Windows 10ではUWPアプリが基本になるため、アプリそのものはWindows 10 for PCでもWindows Mobile 10でも共通だ。スマートフォン向けContinuumではウィンドウのリサイズを含む、PC向けOS的な操作が可能になっており、オフィスや自宅では大画面とキーボード操作環境(ショートカットを含む)のメリットを存分に享受できる。
ただし、あくまで「デスクトップ的な使い方」なので、デスクトップ環境そのものやレガシーと呼ばれる旧Windowsアプリケーションは利用できない点に注意したい。
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