ココが「○」 |
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・先進のPCIe 3.0 x4/NVMeに対応 |
・リード毎秒2.5Gバイトの超高性能 |
・第2世代V-NANDによる高耐久性 |
ココが「×」 |
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・最大容量が512Gバイトまで |
Samsung Electronicsが9月に発表した「SSD 950 PRO」は、M.2フォームファクタを採用したPCIe(PCI Express) 3.0 x4/NVMe(Non-Volatile Memory Express)対応のSSD最新モデルだ。同社の個人向けSSDパッケージ製品としては、PCIeもNVMeも初採用となる。
先進のインタフェースを採用しただけあって、最大2500Mバイト/秒のシーケンシャルリード、最大30万IOPSの4K IOPSなど、公称スペックはM.2 SSDとして最速レベルを実現している。
256Gバイトモデルが199.99ドル(1ドル120円として約2万4000円)、512Gバイトモデルが349.99ドル(約4万2000円)という価格設定もハイエンドユーザー向けモデルでは魅力的で、日本での発売が待たれるところだ。今回は256Gバイトモデル(MZ-V5P256BW)の評価用サンプルで性能をチェックしていこう。
950 PROの容量別スペックは別掲の表にまとめた。また、今回実機を入手した256Gバイトモデルについては、先代モデル「850 PRO」との比較表も掲載している。
512Gバイトモデルと256Gバイトモデルではシーケンシャル、ランダムとも512Gバイトモデルのほうが速い。特にシーケンシャルライトや、QD1の4Kランダムライトでは大きな差がある。256Gバイトモデルを見ると、NANDフラッシュメモリは2チップしか搭載されていないだけに、並列アクセスのチャンネル数など、読み書きの最適化において自由度が制限される面があるのだろう。
もっとも、それでも先代の850 PROを含めたSerial ATA 6Gbps対応SSDと比べると、シーケンシャルリード/ライト性能で圧倒しており、ランダムアクセス性能もほとんどが大きく上回っている。
唯一、QD32のランダムライトのみ、850 PRO以下のスペックだ。もっとも、個人向けPCではQD32の性能が反映されることはほとんどないので、あまり気にする必要はない。
SSD 950 PROの主なスペック | ||
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型番 | MZ-V5P256BW | MZ-V5P512BW |
容量 | 256Gバイト | 512Gバイト |
フォームファクタ | M.2(2280) | |
インタフェース | PCI Express 3.0 x4 | |
コマンドプロトコル | NVMe 1.1 | |
サイズ | 80.15×22.15×2.38ミリ | |
質量 | 最大10グラム | |
コントローラ | Samsung 3-core UBX Controller | |
NAND | Samsung 32layer V-NAND | |
キャッシュ | LPDDR3 SDRAM 512Mバイト | |
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) | 2200 | 2500 |
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) | 900 | 1500 |
4K、QD1ランダムリード(IOPS) | 11000 | 12000 |
4K、QD1ランダムライト(IOPS) | 43000 | 43000 |
4K、QD32ランダムリード(IOPS) | 270000 | 300000 |
4K、QD32ランダムライト(IOPS) | 85000 | 110000 |
セキュリティ | AES 256ビットFDE、TCG/Opal V2.0、IEEE1667 | |
アイドル時消費電力 | 最大1.7ワット | |
動作時消費電力 | 平均5.1ワット、最大6.4ワット | 平均5.7ワット、最大7.0ワット |
総書き込み容量 | 200TBW | 400TBW |
保証期間 | 5年間(または総書き込み容量まで) | |
950 PROと850 PRO比較(256Gバイトモデル) | ||
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型番 | MZ-V5P256BW | MZ-V7KE256B |
容量 | 256Gバイト | 256Gバイト |
フォームファクタ | M.2(2280) | 2.5インチ |
インタフェース | PCI Express 3.0 x4 | Serial ATA 6Gbps |
コマンドプロトコル | NVMe 1.1 | AHCI |
サイズ | 80.15×22.15×2.38ミリ | 100×69.85×6.8ミリ |
質量 | 最大10グラム | 最大66グラム |
コントローラ | Samsung 3-core UBX Controller | Samsung 3-core MEX Controller |
NAND | Samsung 32layer V-NAND | Samsung V-NAND |
キャッシュ | LPDDR3 SDRAM 512Mバイト | LPDDR2 SDRAM 512Mバイト |
シーケンシャルリード(Mバイト/秒) | 2200 | 550 |
シーケンシャルライト(Mバイト/秒) | 900 | 520 |
4K、QD1ランダムリード(IOPS) | 11000 | 10000 |
4K、QD1ランダムライト(IOPS) | 43000 | 36000 |
4K、QD32ランダムリード(IOPS) | 270000 | 100000 |
4K、QD32ランダムライト(IOPS) | 85000 | 90000 |
セキュリティ | AES 256ビットFDE、TCG/Opal V2.0、IEEE1667 | AES 256ビットFDE、TCG/Opal V2.0、IEEE1667 |
アイドル時消費電力 | 最大1.7ワット | 0.6ワット |
動作時消費電力 | 平均5.1ワット、最大6.4ワット | 3.4ワット |
総書き込み容量 | 200TBW | 150TBW |
保証期間 | 5年間(または総書き込み容量まで) | 10年間(または総書き込み容量まで) |
コマンドのプロトコルがNVMe(Non-Volatile Memory Express)に対応したことも大きなトピックだ。従来のAHCI(Advanced Host Controller Interface)はSerial ATA HDDに最適化されていたのに対し、NVMeはPCI Express SSDに最適化されている。
NVMeではコマンドキューイングの仕様が大きく拡張された。コマンドキューイングとはコマンドを先行して発行し、最適な順番に並べ替えて実行できる高速化機能だ。AHCIはそのキューが1つで、1つあたりにためておけるコマンド数(Que Depth=QD)は32個までだった。NVMeではIOキューの数、1キューあたりのコマンド数ともに6万4000個へと大幅に拡張している。
ただ、この拡張がダイレクトに効いてくるのは、データセンターなどの業務分野となる。個人向けのPCでは、キューあたりのコマンドが32個(QD32)でも持て余すほどだ。将来的に事情が変わる可能性もあるが、QD32ランダムリードのスペックや、6万4000個というキュー/コマンドの数から受ける印象ほど、圧倒的な効果は実感できない。
それでも、NVMeでは4Kコマンド処理の効率化など、細かなSSDへの最適化がなされており、そういった部分で高速化の恩恵が期待できる。QD1ランダムリードのスペックなどはこうした影響が大きいのではないかと思われる。
950 PROが先進的なプロトコルのNVMeに対応していることは、もちろん歓迎すべきことだ。しかし現状でのインパクトとしては、PCI Express 3.0 x4に対応した高速なSSDが、普及の進んできたM.2フォームファクタで、しかも個人向けのリテール製品で登場してきた、ということのほうが大きいだろう。
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