さて、ベンチマークテストの結果を見ていこう。
今回の比較対象には、先代モデルの850 PRO(256Gバイト)を用意した。テスト環境は別表の通りで、システムSSDと比較対象の850 PROはX99チップセットのSerial ATA 6Gbpsポートに、950 PROはCPU直結のM.2ソケット(32Gbps対応)に接続して計測している。OSは64ビット版のWindows 10 Proだ。Serial ATA SSDはOS標準ドライバを利用し、NVMeドライバはSamsungから提供されたβ版を利用した。
SSD 950 PROのベンチマークテスト環境 | |
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CPU | Core i7-5930K(3.5GHz/最大3.7GHz、6コア/12スレッド対応) |
マザーボード | ASUSTeK Computer X99-PRO |
グラフィックス | GeForce GTX 960(グラフィックスメモリ2Gバイト) |
メモリ | 32Gバイト(PC4-17000 DIMM/8Gバイト×4枚) |
システムストレージ | Crucial MX200(CT250MX200SSD1) |
OS | 64ビット版Windows 10 Pro |
Windowsの電源プラン | 高パフォーマンス |
まずは、定番のベンチマークテスト「CrystalDiskMark 5.0.2」でSSDの基本性能を見ていく。テストデータのサイズは1000Mバイトと4000Mバイト、データタイプは標準のRandomを利用した。
テスト結果は、データサイズ1000Mバイト、4000Mバイトとも数値がほとんど変わらない。シーケンシャルリードは約2302Mバイト/秒、シーケンシャルライトは約971Mバイト/秒と、公称値を少し上回るスコアをマークした(4000Mバイトの場合)。ランダムリード/ライトのスコアも非常に優秀だ。
850 PROに対しては、圧倒的な大差が生じた。ランダムリード/ライトは公称値以上に差が開いており、公称値では850 PROのほうがよいQD32のランダムライトも2倍以上のスコアで勝っている。
ATTO Disk Benchmarkで、ブロックサイズ別のシーケンシャルリード性能を調べてみた。画面上では950 PROのほうがグラフが小さく見えるが、これはあまりにも性能差が大きいため、目盛りの単位が変わっているためだ。
リード性能では950 PRO、850 PROとも64K〜128Kバイトでほぼピーク性能に達し、そのスコアはCrystalDiskMarkのシーケンシャルリードスコアとほぼ同じだ。950 PROは512バイトから4Kバイトといった小さなサイズでも850 PROの1.5〜1.7倍ほどのスコアが出ており、小さなサイズから高速だ。
ライト性能に関しても、ピークのスコアはCrystalDiskMarkとほぼ同じだ。ただし、850 PROはピークに近くなるのは128Kバイト以降であるのに対し、950 PROは16Kバイトで早々とピークに達した。小さなサイズのスコアも優秀で、4Kバイトで既に850 PROと比較して約2倍のスコアだ。
インタフェースの速度にはさほど左右されないと考えられる小さなサイズの読み書きが高速で、特に小さなサイズでの書き込み性能は極めて優秀と言える。
次はAS SSD Benchmarkのスコアだ。シーケンシャルリード/ライトのスコアは、CrystalDiskMarkやATTO Disk Benchmarkより少し低めに出ているが、傾向は同じだ。ランダム4Kリード/ライトもCrystalDiskMarkのスコアより低めだが、こちらも傾向は変わらない。950 PROのほうが、リードは1.5倍弱、ライトは2倍弱高速だ。
4K-64Thrdは、64ファイルの並列アクセスを行なうもので、これはNVMeのメリットが生きるテストとなる。IOPS表示で見ると25万9377IOPSと、公称値(27万IOPS)に近いスコアが出た。
ファイルコピーのテストを行なうCopy-Benchmarkでもやはり950 PROが850 PROを圧倒している。2つの大きなファイルの転送を行うISOでは約3.3倍、Program(多くの小さなファイルで構成される典型的なプログラムフォルダ)では約2.2倍、大小のファイルが混在するゲームフォルダのコピーを行なうGameでは約3.9倍のスコアだ。
また、圧縮率別の転送速度を見るCompression-benchmarkも実施したところ、圧縮率の違いによる性能の変化は確認できなかった。
IOMeterでは、ランダムアクセス性能をテストした。QD1、QD2、QD32とキューの深さを変え、リード/ライトそれぞれ100%と、リード/ライト50%ずつの混在パターンをテストした。テストサイズは25Gバイト、各アクセスパターンは30秒のインターバルで2分間ずつ行っている。
QD1のスコアは、100%ライトが850 PROの2.4倍となるスコアで、その他は全て約1.4倍のIOPSをマークした。リード/ライトともQD1の4Kランダムにおける公称値(リードは1万1000、ライトは4万3000)に近いスコアが出ている。QD32ではなくQD1でここまで公称値に近いスコアが出る製品も珍しい。
IO Meter 1.1.0(Random 4Kバイト/QD1)の結果 | ||
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製品名 | 950 PRO | 850 PRO |
100%Read/IOPS | 9837.40 | 6980.98 |
50%Read、50%Write/IOPS | 11569.21 | 8181.11 |
50%Read、50%Write/Read IOPS | 5786.49 | 4092.19 |
50%Read、50%Write/Write IOPS | 5782.72 | 4088.93 |
100%Write/ IOPS | 42053.44 | 17536.64 |
QD2になると、スコアはほぼ2倍となる。850 PROとの比較では、100%ライトが約2.3倍、その他は約1.5倍のスコアと、もともとスコアの差が大きかった100%ライト以外はさらに差が広がった。
IO Meter 1.1.0(Random 4Kバイト/QD2)の結果 | ||
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製品名 | 950 PRO | 850 PRO |
100%Read/IOPS | 20081.56 | 14178.29 |
50%Read、50%Write/IOPS | 22835.43 | 15130.00 |
50%Read、50%Write/Read IOPS | 11427.04 | 7561.88 |
50%Read、50%Write/Write IOPS | 11408.39 | 7568.12 |
100%Write/ IOPS | 80285.16 | 36073.96 |
QD32では100%ライト以外の項目での差がさらに広がり、全項目で850 PROの2倍以上のスコアとなっている。リードIOPSは16万7776と、公称値の27万には及ばないが、850 PROの約2.2倍となるスコアだ。100%ライト時のIOPSは8万3132で、ほぼ公称値(8万5000)通りのスコアが出ている。
IO Meter 1.1.0(Random 4Kバイト/QD32)の結果 | ||
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製品名 | 950 PRO | 850 PRO |
100%Read/IOPS | 166776.72 | 76105.91 |
50%Read、50%Write/IOPS | 107255.66 | 53101.46 |
50%Read、50%Write/Read IOPS | 53622.32 | 26545.08 |
50%Read、50%Write/Write IOPS | 53633.34 | 26556.38 |
100%Write/ IOPS | 83132.02 | 36355.11 |
PCMark 8は、PCで行う操作全般をシミュレートし、そのレスポンスタイムからスコアを出すベンチマークテストだ。Storageテストでは、メジャーなアプリケーションのアクセスパターンをシミュレートしてスコアを出す。
スコアの差がほとんどつかないテストとして知られており、Serial ATA 6Gbps対応SSD同士であれば誤差程度の差しかつかないのだが、950 PROは850 PROより100以上も高いスコアが出た。Storage bandwidthは850 PROが270.76Mバイト/秒であるのに対し、637.91Mバイト/秒と2.35倍も高速だ。
これだけ違うのにどうして総合スコアの差が111しかつかないような算出ルールにしているのかは理解に苦しむところだが、このテストで111もスコアの差があれば、相当違うことを意味する。
細かく項目を見ると、Adobe Photoshopではヘビーテストで9.9秒、ライトテストでも3.9秒と結構はっきりしたレスポンスの差が出た。これは、大容量の素材を扱うクリエイティブ系のアプリケーションでメリットが大きいことを示している。
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