マルチメディア機能からはやや外れるが、「DS note」「DS Download」もユニークなアプリなので、最後にまとめて紹介しておこう。
DS noteはノートを取るためのアプリで、NASにインストールしたアプリ「Note Station」と連携し、スマホ上で記入したテキストをNASに保存できる。単なるテキストだけでなく、箇条書きを作成したり、また画像を貼り付けられるなど、一般的なノートアプリと比較してもなかなか多機能だ。タグもつけられるなど、機能としてはEvernoteによく似ている。
保存されたノートの内容はテキストファイルとして書き出すこともできるので、スマホで書いた下書きをテキストとして書き出し、PCで仕上げるといった作業にも向いている。外出先で食事や交通費の記録をつけたりと、マルチに活躍するだろう。ちなみにPCからwebページを取り込んでこの「Note Station」に保存するためのChrome拡張機能も用意されている。
もう1つの「DS Download」は、オンラインのファイルをNASに直接ダウンロードできるアプリだ。
スマホでWebを閲覧していて保存したいファイルを見つけた場合、スマホからでは到底ダウンロードできないことも少なくない。こうした場合に本アプリを使えば、URLなどを指定することにより、リモートで自宅のNASにダウンロードが行えるというわけだ。利用にあたってはNASに専用アプリ「Download Station」をインストールして利用する。
NASはよく「パーソナルクラウド」と呼ばれる。リモートアクセス機能を使って外出先から自宅のNASにログインし、ファイルを取り出すなどの作業は、見た目にはオンラインストレージにアクセスしてファイルを取り出しているのと違いがない。それゆえ、NASを個人専用のストレージとみなして、パーソナルクラウドと表現しているわけだ。
では、NASとオンラインストレージは、設置場所などの形態を除き、具体的に何が違うのだろうか。まずは容量だ。契約するプランにもよるが、オンラインストレージの容量はせいぜい数十〜数百ギガバイトであることが多く、テラバイトクラスの容量を利用するとなると、相当の費用が継続して発生する。その点、NASは導入時に機器代こそ必要になるものの、利用にあたって月額料金などはかからず、テラバイト単位の容量が手軽に使える。
また自宅からアクセスする場合、NASはその本体が自宅LAN上にあるため、高速な読み書きができるのも利点だ。オンラインストレージは自宅内であろうが外出先であろうが読み書きの速度はネットワークの帯域に依存するので、ローカルでファイルを読み書きするようなスピードは望めない。
その点、最近のNASのほとんどはギガビットLANに対応しているので、USB接続に近いスピードでファイルの転送が行える。ローカルからアクセスすることが多く、リモートアクセスはあくまで補助というバランスであれば、こちらのほうが効率は明らかによい。
また、NASは外部サーバにデータのコピーを残さないことに、利点を感じる人も多いだろう。いかに暗号化されていようが、パスワードがかかっていようが、プライベートなデータをオンラインに置くことは、データ漏えいのリスクを伴う。
その点、NASに保存して外部からアクセスする仕組みであれば、別の場所にデータのコピーが作成されることがないので、漏えいのリスクは低くなる。不正アクセスに対しては、いざとなれば回線自体を引っこ抜いたり電源を落としてアクセスできなくするという緊急手段も取れるのも、NASの利点といえる。
もちろんオンラインストレージにも、どこからでもアクセスできる、ハードウェアの故障によるデータ消失が起こる可能性が低い、電気代がかからないなどの利点はあるほか、自宅に置き場所を必要としない点なども、メリットとして挙げられる。このあたりは用途次第ということになるが、こうしたメリットデメリットを正しく知っておけば、NASを導入するか否か、判断もつきやすいはずだ。
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