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2016年に起きるPC市場の“二極化”とは?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2016年01月01日 05時00分 公開

グループ2――買収でブランドと市場を獲得するLenovo

 グループ1とは対照的に、「ここがチャンス」とばかりに事業をスケールすることでライバルとの差を広げようとしているのが、グループ2に該当するLenovoだ。

 前述のように2番手以降には厳しいPC市場だが、もしここで頭1つ抜きん出てシェアを確保できれば、その調達力や効率性から利益面や競争面でさらに優位に立てる可能性がある。前述のように現在のLenovoは世界トップだが、市場シェアでいえば21%と、2位のHP(19.6%)とそれほど差がない。

 Lenovoは「市場シェア30%獲得」を目標に据えており、ライバルに対して優位に立つだけでなく、いわゆる「残存者利益」を享受すべく動いている。同社はまだ今後、ライバルの脱落が続くことを見込んでおり、PC市場における最後の覇者を狙っているのだ。恐らくLenovoがPC市場でこの目標を成し遂げることは可能だろう。

 一方でLenovoはIBMから買収した「PCサーバ事業」と、Motorolaの買収で得た「スマートフォン事業と特許」でも相応のシェアや売上を獲得すべく動いている。どちらも買収以前からLenovo内で抱えていた事業ではあるが、どちらかといえば中国を中心とした市場展開を行っており、今後さらに世界展開やハイエンド市場を狙ううえで「技術とブランド」がどうしても必要だったという位置付けだ。

Lenovoの注力分野 Lenovoが3つの分野で掲げる目標

 Motorolaは南北アメリカを中心に事業展開しており、逆を言えばそれ以外の地域を苦手としているが、これは北米進出を狙うLenovoにとっては大きな足掛かりだ。特許問題をある程度クリアにできるのも大きい。Motorolaの買収を経て、同社は日本進出への足掛かりを得ることも可能になり、今後ハイエンドだけでなく、主に中国市場をターゲットとしていたミドルレンジ以下の端末が売られるようになるのも、そう遠い未来の話ではないかもしれない。

 恐らく、Lenovoにとって最もチャレンジな市場はPCサーバの「エンタープライズ事業」だ。事業売却したIBMとは引き続き提携関係が続いているものの、IBMというある意味で世界最強のビジネスブランド下でやってきた事業と、PC市場シェア世界1位とはいえ中国のLenovoではそのブランド力に大きな隔たりがある。

 とはいえ、製品や技術者はIBMからそのまま移籍しており、Lenovoに移ったからといってエンタープライズ事業での信頼性が悪化したり、技術開発力が落ちたりすることは考えにくい。

 筆者は実際に、同社のサーバ開発部門がある米ノースカロライナ州ラーレイ(Raleigh)=ダーラム都市圏のLenovoキャンパスを訪問したが、ここはもともとIBMの研究開発拠点があった場所であり、現地の資産や人員がほぼそのままIBMからスライドしてきた状態だ。勤続年数の長いベテランと思われる社員も多く在籍し、継続的な投資が行われる一方で、社名とマネジメント体制が変化した新オフィスで研究開発が続けられている。

 ライバルが一様にエンタープライズにリソースを集中してくるため、Lenovoは厳しい戦いを強いられると思われるが、同社はサーバ需要の旺盛な中国市場を抱えて有利な立場にもあるため、当面は中国と既存顧客との関係を維持しつつ、新規市場を開拓して事業拡大の方策を模索することだろう。

米Lenovoキャンパス(1)米Lenovoキャンパス(2) 米ノースカロライナ州ラーレイ=ダーハム都市圏にあるLenovoのキャンパス。もともとIBMの研究開発拠点のあった場所で、LenovoによるIBMのPCサーバ事業買収を経て新たに拠点の統合を行っている。なお、写真のビルはもともとSony Ericssonが利用していたもので、池沿いのカフェテラスや遊歩道など同エリアの自然をたっぷりと漫喫できる

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