iPhone SEに「SE」の文字が与えられた本当の理由林信行が見るApple発表イベント(3)(1/2 ページ)

» 2016年03月23日 01時00分 公開
[林信行ITmedia]

 Appleの歴史を彩る数々の発表が行われてきた本社ビルディング4のタウンホール。席数わずか200名ほどの同会場で行われた、おそらく最後の製品発表会で目玉となったのは、このホールに相応わしい小柄な「iPhone SE」と9.7型「iPad Pro」だった。

 今回の発表会における2つの主力製品の1つ、iPhone SEを見ていこう。

4型サイズでiPhone 6sの要素を凝縮した「iPhone SE」

4型サイズで高性能なハードに生まれ変わった「iPhone SE」

 iPhoneシリーズは、ほぼ2年に1度のペースでメジャーアップデートが行われ、画面の解像度やサイズが変化し続けてきた。

 しかし、iPhone 5sシリーズからiPhone 6シリーズへの変化の隔たりは大きかった。5sシリーズであれば、端末を片手にしっかりとホールドした上で(右利きの人は)画面の左端まで親指が届いて片手で文字の入力ができるが、6や6sの画面サイズでは、これがかなり不安定になり、手の小さな人ではもう片方の手の補助が必須になる。

 6 Plus/6s Plusに至っては、そもそも最初から両手で使うことが前提だ。

 大きいサイズのiPhoneは、確かに小さな文字が読みにくくなった人々にはありがたい存在だし、それはそれで使い慣れれば問題はない。しかし、やはりポケットへの収まりが良く、片手だけで操作ができる4型サイズにも、それなりの魅力がある。

片手で自然に使える4型サイズを求める声は根強い

 そのためAppleは、これまでにも製品発表から2年以上経ったiPhone 5sシリーズの併売を続けてきた。1年に何度も目まぐるしくモデルチェンジするスマートフォン市場において、これは稀有(けう)なケースだが、Appleは既に何年も2年前モデルの併売を続けている。iPhoneであればOSをアップデートすれば、2年前のモデルでも十分、快適に使えるからだ。

 これまでの製品サイクルで言えば、今年の秋ごろ、主力製品のiPhone 6s及び6s Plusが次世代(iPhone 7?)へと交代するタイミングだ。果たして、そのタイミングで最後の4型モデルとなるiPhone 5sを残すのか、それともさすがに古いからと廃止にして4.7型と5.5型の2つのサイズへと全面移行をするかはAppleにとっても大きな悩みどころだっただろう。

 そんな中、アップルは4型のiPhoneが、2015年の1年間だけで3000万台売れたという市場ニーズを尊重し、4型サイズを残す道を選んだ。しかも、技術的に古くなりつつあるiPhone 5sという旧機種として残すのではなく、iPhone 5s用のケースの多くも流用できるほぼ同型の本体サイズの中に、iPhone 6sシリーズに負けない最新技術を載せる決断を下す――こうして生まれたのがiPhone SEだ。

 これまでは「片手に収まる4型がいい」という人々は、その時点で、テレビでも盛んに宣伝されているiPhone 6sシリーズの高性能なカメラ機能やLive Photoなどの最新機能をあきらめるしかなかった。

内蔵カメラで4K動画を撮影し、そのまま編集までできる高い性能が魅力だ

 しかし、今回のiPhone SEでAppleが4型サイズにもう1度、本腰を入れたことで、機能や性能面で妥協することなく、好みのサイズのiPhoneを選べるようになった。実は唯一の例外は3Dタッチ機能で、「強押し」を認識する3Dタッチ機能だけはiPhone 6sシリーズのみの機能となり、iPhone SEには搭載されていない。

 iPhone SEでは、撮影したLive Photo(動く写真)は写真を長押しすることで動きを楽しむことができる。3Dタッチが4型サイズで実現できないのは技術的な要因なのか、それとも同社が3Dタッチ技術を見直しているところなのかは、この秋の次期(主流型)iPhone、または1年後のiPhone SE後継モデルを見ないことには分からない。

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