3年前にOculus版「機動戦士ガンダム 戦場の絆」が存在した!? プロデューサーが語るVRアミューズメント施設の裏側「VR ZONE Project i Can」(1/2 ページ)

» 2016年04月29日 06時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 Tokyo VR Startupsと、VR・パノラマ系ニュースサイト「PANORA」を運営するパノラプロは4月28日、東京・お茶の水にあるデジタルハリウッド大学駿河台キャンパスでセミナーイベント「Tokyo VR Meetup #04 VR×ネカフェ・アミューズメント施設の可能性」を開催しました。

募集定員は200名程度で、会場はほぼ満席だった。VRコンテンツ開発者やアミューズメント系関係者など、VRに興味のある参加者が多数訪れた

 セミナーの後半セッションでは、「『VR ZONE Project i Can』が切り開くVRエンターテインメント施設の未来」と題し、2016年4月15日に東京お台場でオープンしたVRアミューズメント施設「VR ZONE」に携わるバンダイナムコエンターテインメントの執行役員AM事業部エグゼクティブプロデューサー 小山順一朗氏と同AM事業部 田宮幸春氏をゲストに迎え、同プロジェクトの立ち上げ秘話を語りました。

「VR ZONE Project i Can」とは?

 東京・お台場にオープンしたエンターテインメント施設で、VR(Virtual Reality)を活用した6つのアトラクションを楽しむことができます。2016年10月中旬までの期間限定運営ですが、既に1カ月先まで予約でいっぱいという大盛況ぶりとなっています。

「VR ZONE」には6つのVRアトラクションを用意する。うち5つは「HTC Vive」を使ったVR HMD型だ

 以下の動画は、VR ZONEのオープン前に公開されたティーザームービーですが、この映像、実はオーディションと称してエキストラ(という名の素人)の方を呼び、何も知らせない状態でVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着してもらってアトラクションの一つ「極限度胸試し 高所恐怖SHOW」を体験してもらった素の状態とのことです。外国人の方で『俺はこんなことのために来たんじゃない!』と怒って帰ってしまった人もいたとか。

動画が取得できませんでした
VR ZONE ティーザームービー

なぜアミューズメント施設でVRをやろうと思ったか

田宮幸春 バンダイナムコエンターテインメント AM事業部の田宮幸春氏

 「バンダイナムコゲームスから(2015年4月1日付けで)バンダイナムコエンターテインメントに社名変更したときに、『ゲームだけじゃないエンターテインメントもやりましょうよ』という話がありました。我々は過去に体感マシンをいっぱい作ってきましたが、これまでは正面にある四角い画面を使うしかなかった。椅子を振動させたり風を出したり、本物に近い体験をしてもらえよう工夫してきて、最終的にドーム型スクリーンにたどり着いたわけです。そしてVR機器を初めて見た瞬間に『うちならこれやれるな』と思いました」(田宮氏)

 「グループ会社にナムコもいるので、タッチポイント(ユーザーが触れられる場所。ゲームセンターなど)もすぐに作れるなと思った。VRは一般の人へ浸透するのに時間がかかりそうだということ、そして『VRってすぐ酔っちゃうやつでしょ?』と思われてしまうのは嫌だったので、なるべくいいものを一般の人に体感してもらい『VRってすごいね』と言われるようなものを作りたいと思ってVR ZONEに取り組んだ。社内でも結構強引に進めたところがありましたね(笑)」(田宮氏)

 田宮氏によれば、Oculus Riftの初期バージョンであるDevelopment Kitを、Oculus創業者であるパルマー・ラッキー氏から早い段階でゲットし、ゲームセンターでドーム型スクリーンの筐体を利用するアーケードタイトル「機動戦士ガンダム 戦場の絆」のOculusバージョンをテストしていたという。国内でもかなり早い取り組みだったといえるだろう。

 VR空間でガンダムを操縦できる――夢のような話だが、戦場の絆をそのまま流用するのは問題も多いようだ。「ガンダムのコックピットでアムロが見ているのは3つのモニターなのです。つまり、写っている(敵の)ザクは平面。せっかく立体視しているのに、ザクは立体的に見えないし、前方中心を追うように設計しているので、結局戦うのは前方だけ。うーん、Oculusを使う意味があるのか、ということでそのままになっています」(田宮氏)

Oculus Rift Development Kitで戦場の絆 Oculus Rift Development Kitで戦場の絆をテストプレイしているところ
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