いつでもWindows 10に無償アップグレードできる環境を構築する――バックアップ編7月29日を乗り越えろ(1/3 ページ)

» 2016年07月20日 12時37分 公開
[瓜生聖ITmedia]

 Windows 10の無償アップグレード期限である2016年7月29日が迫っている。「Windows 7で困ってないし」と、これまで再三に渡ってMicrosoftのアップグレード告知をはねのけてきたユーザーの中にも、周囲にWindows 10ユーザーが増えるにつれて不安を感じるようになってきた人もいるのではないだろうか。

 Windows 10に対してネガティブなイメージを持っている人もいるだろうが、3つの理由から2016年7月29日までにアップグレードすることをお勧めする。

 一つ目は、アップグレード対象のWindowsユーザーにとって、Windows 10が無償で手に入るのは2016年7月29日まで、ということ。Microsoftは無償アップグレード期限を延長する予定はない、と明言しており、無償アップグレード期間が過ぎればWindows 10は有償になる。今のところWindows 10には安価なアップグレード版はなく、Windows 10 Homeでも1万9008円、Windows 10 Proだと2万7864円(税込)と、なかなかのお値段だ。

 二つ目はWindows 7/8.1のサポート終了期間が近づいてきており、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなるということ。「アンチウイルスソフトを入れているから大丈夫」と思っている人もいるかもしれないが、OSを安全に保つために最も重要なことはセキュリティパッチ(セキュリティ更新プログラム)を迅速に適用することだ。

 それができなくなる時点でOSとしては利用に耐えるものではなくなってしまう。また、アンチウイルスソフトに限らず、ほとんどのソフトウェアはサポートが終了したOS上での動作を保証していない、少なくともサポートはしていないと考えたほうがよい。ネットワークに接続されておらず、メディアを介した外部とのやりとりもない、単一の目的で特定ソフトウェアだけを使用するような完全なスタンドアロンでもない限り、サポートが終了したOSを使用し続けるという選択肢はない。

 Windowsのサポート期間にはメインストリームサポートと延長サポートがある。メインストリームサポートではセキュリティ更新プログラムのほか、仕様変更や新機能の追加が行われるのに対し、延長サポートではほぼセキュリティ更新プログラムのみの提供となる。つまり、OSの改良がなされるメインストリームサポート、今までと同様に使えるよう維持をしていく延長サポート、というわけだ。そのため、通常「サポート」と言えば延長サポートまでのこと、と考えればよい。

 Windows 7のメインストリームサポートは2015年1月にすでに終了、現在は2020年1月14日までの延長サポート期間に入っている。Windows 8.1ではメインストリームサポートが2018年1月9日まで、延長サポートが2023年1月10日までだ。なお、Windows 8のサポートはWindows 8.1への移行が前提となっているため、2016年1月12日に終了している。

 もう一つ重要なことがプロセッサによるサポート期間の違いだ。2015年末にリリースされた第6世代Core(Skylake)搭載のPCの場合、Windows 7/8.1のサポート期間はもっと短く、2018年7月17日までとなっている。その後も緊急のセキュリティ更新プログラムは提供されるものの、Windows 10への移行が強く推奨されている。

 三つ目の理由は「Windows 10にアップグレードしても、そのまますぐにWindows 10を使い続けなければならないわけではない」という点だ。サポート期間のことを考えるとWindows 7で3年半後の2020年1月14日まで、Windows 8.1だと6年半後の2023年1月10日まで使えることになる。特に今も不満はないし、それくらいの時期になればPC自体買い換えるだろうから見送りでもいいや、という考え方もあるだろう。

 しかし、今後発売されるハードウェアやソフトウェアがWindows 7/8.1をサポートしているとは限らない。延長サポート終了まであと9カ月ほどを残しているWindows Vistaの対応をうたっているソフトウェア/ハードウェアが現在、どれくらい出ているかを考えると、それほど楽観的にはなれない。だが、2016年7月29日以降に、もし必要に迫られてWindows 10にアップグレードしたくなっても、2万円近い費用がかかってしまう。

 Windows 10にいったんアップグレードしても、31日以内であればOSの機能によって簡単にWindows 7に戻すことができる。さらに、その状態からであれば2016年7月29日以降であっても再び無償でWindows 10にアップグレードできる。しかし、アプリケーションによっては設定が消えてしまったり、再インストールが必要になることもある。このような「Windows 10にいったんしておきたいという気持ちはあるけれど、将来の備えのためだけに現在の環境に影響が出るのはいや」という理由でアップグレードを避けてきた人、先送りにしてきた人も多いだろう。

アップグレード期限が迫っても実は決断しなくていい。そう、ASUSTOR NASがあればね

 今回はASUSTOR NASをバックアップ/リストア用のストレージとして、「7月29日以降もWindows 7/8.1を利用しつつ、いつでも無償でWindows 10にアップグレードできる」環境を構築しよう。

インストール済OSに影響されないリストア環境の構築

 OSを含む実行環境をそのままバックアップする場合、ディスクの内容を丸ごと保存するイメージバックアップが確実だ。だが、リストアのことを考えると簡単にはいかない。

 今回は特に「Windows 7/8.1が動いている環境をWindows 10に置き換える」あるいは「Windows 10が動いている環境をWindows 7/8.1に置き換える」というものであり、戻すイメージに含まれているOSとは異なるOSでリストア処理を実行させなければならない。バックアップよりもむしろリストアをどう実行するかがポイントとなる。

 以前であればCD/DVDドライブからリストアツールを起動させることができたが、最近はCD/DVDドライブが搭載されていないPCも多い。そのため、今ではブート可能なUSBメモリが主流となっている。だが、USBメモリは小さい上にデザインがまちまちで、内容を書くラベルなどがないものがほとんど。CD/DVDであれば、2年後に1度だけ使うかもしれないようなツールを入れておいても保管しやすいが、USBメモリだといざというときに見つからない、間違えて上書きしてしまった、という事故が起きる可能性がある。

 そこで今回はASUSTOR NASからネットワーク経由でリストアできる環境を構築する。バックアップイメージもリストアツールもNASに入れておけば紛失の心配もない。

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