インタビュー
» 2016年12月16日 00時00分 UPDATE

パチンコ業界でVR?:「GANTZ:O」のVRコンテンツを産んだ京楽に聞く、映像表現のこれから (1/2)

2016年はさまざまなコンテンツプロバイダーがVRに参入し始めている。「GANTZ:O_VR」を手がけた岩野氏に話を聞いた。

[広田稔,ITmedia]

 2016年は、Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRと立て続けにVRヘッドマウントディスプレイが発売された年だ。ハードが出そろって次に必要になるのはキラータイトルだが、今、まさにさまざまなコンテンツプロバイダーが参入してきて、全力を挙げて取り組んでいる最中だ。

 そんな中、遊戯業界でもVRの導入が始まっているという話をキャッチした。パチンコやパチスロでVRとはどういうことなの……!? そしてコンテンツプロバイダーが快適にVRコンテンツを生み出すには、どんなPC環境が最適なのだろうか。京楽産業ホールディングス コンテンツ事業部、岩野貢氏にインタビューした。

京楽産業ホールディングス コンテンツ事業部の岩野貢氏

あまりに小さい筐体に「さすがにこれだけじゃないだろ」

── まず岩野さんの所属するコンテンツ事業部というのは、どういったお仕事をされているのでしょうか?

岩野 遊技機に使わせていただくコンテンツを仕入れてくる部署になります。私は前職でタツノコプロにいたこともあって、遊技機と映像の連動のプロジェクトを主に担当していて、最近でいうとフル3DCGアニメーション映画『GANTZ:O』(ガンツ:オー)を上映して、そのあとにパチンコでも遊べるという連動プロジェクトを手がけています。

── なんと! GANTZ:Oといえば、映画館(新宿ニュウマン5F ルミネゼロ)で専用のイスまで用意してGear VR体験(GANTZ:O_VR)を提供していたアレですね。しかし、なぜVRに注目されたのですか?

岩野 私自身は映画祭などを見にいくために海外への出張が多くて、そこでVRを体験して「映像の革命だ」と驚いたんです。過去にも『アバター』のように、映像が飛び出してくる3D映画を見たことがありましたが、これは普通だよなと。どうせやるなら飛び出すんじゃなくて、映像の中に入っていけたらなと思っていた時期があったんです。それがまさにVRでできるようになったと、マンガに出てくるみたいに映像の中に入っていく時代がきたんだと衝撃を受けました。

── 最初に体験されたVRコンテンツは?

岩野 Oculus Riftで、ジェットコースター(Rift Coaster)や初音ミクを見るコンテンツ(Mikulus)ですね。その後、いろいろ体験した中で、一番印象的だったのがHTC Viveでした。ぜひViveでもコンテンツ開発をしたいと考えたのですが、やっぱり下手なPCだとカクカクして興ざめしてしまう。自分はあまり詳しくないのですが、スムーズに動作する機体が欲しかったので知り合いだったTSUKUMOさんに「一番いいのを頼む」とお願いした次第です。

── (笑)。実際、PCが来たときにどう感じました?

岩野 高性能なものを頼んだのに、あまりに筐体が小さかったので「さすがにこれだけじゃないだろ」と思ったら、これだけだった(笑)。ハイスペックで、VRコンテンツもサクサク動かしてくれているのに小さいと社内でも評判です。実際、HTC Viveのコンテンツ体験でも使っていて、まったくストレスないです。

VR用に導入したツクモのG-GEAR mini。コンパクトなケースなのにすごく高性能で驚いた、と岩野氏

── GANTZ:OでVRコンテンツ制作に踏み切った理由は?

岩野 これはプロデューサーとして早い段階で関わって、作品を世に作ってだしていかないと置いていかれてしまうと感じたんです。アニメの作画でいうなら、2Dの手描きから、一部デジタルに変わり、今でいうとデジタルのみも出てきています。その過程でCG作品が出てきましたが、VRはそれぐらいの段階です。

 そしてついに“中に入れる”時代が来た。映像の中に入れて、目の前でさまざまなことが起こるというのは革命だと感じたわけです。GANTZ:Oでは、映画すべてをVRにするのは難しいので、まずはPRに活用しようということで、Gear VRをかぶると映画の世界に転送されるというVRコンテンツを作りました。体験時には、半球形の回転イスに座るのですが、そこに合わせて100%設計しています。

── といわれると?

岩野 加藤くんが妖怪と戦っているシーンを見ているコンテンツになるのですが、ちょうどイスに座った約60cmの高さに目線を置いています。3D素材も映画と同じものをそのままVRでも使っています。

「映画の中に入った」感覚を体験できる「GANTZ:O」のVRコンテンツ

── 素材まで同じだと、まさに「映画の中に入った」感じですね。しかし、VR企画というと社内の予算が下りないという話をよく聞きますが、どうやって説得されたのでしょうか?

岩野 実はAMDさんにご協力いただいて、1日かけて社長を含めた取締役全員に体験してもらったんです。VRはやったことのある人とない人で、本当に言葉が噛み合わない。だから、言葉で説明しても伝わらないと思って、会社にデモを用意し、1人20分ぐらいのカリキュラムを組んで、朝から晩まで30人近くに体験してもらったんです。そうしたら、社長に「面白いじゃない」といわれて。

── すごい! 1人20分というのも、普通のVRデモに比べて贅沢ですね。

岩野 触った感触、引く感触、高さや景色の広がりなど、いろいろなジャンルを体験してもらいました。そして「ああいうことも、こういうこともできる」と想像を膨らませてもらわなければいけない。やっぱり細かい話をする前に、まずは一回体験してくださいと。それはみんなそうしたほうがいいと思います。

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