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» 2017年01月31日 16時00分 UPDATE

SynologyのNASで、バックアップ・マスターの称号を手に入れる:NASのバックアップ先は、外部HDD? それともクラウド? (1/3)

スマホやタブレット全盛の今、家庭内のデータをまとめて保存し、複数のデバイスから利用できるストレージとして注目を集めているのがNASだ。今回はSynologyのNASキットを例に、データを安全に外部にバックアップする2つの方法について、その特徴と具体的な手順を紹介しよう。

[山口真弘,ITmedia]

 テラバイト級の容量を持つNASを使ったデータバックアップの方法として、前回はPCのデータをNASにバックアップする方法を紹介した。もっとも、HDDの容量が足りなくなってきたのをきっかけにNASを購入したのであれば、データをPCではなく直接NASに保存することのほうが多いはずで、「PC→NAS」よりも、「NAS→外部」へのバックアップ体制をきちんと整えておくことのほうがはるかに重要といえる。

 NASから外部にデータをバックアップするためには、まずバックアップ先をどこにするか決める必要がある。選択肢として挙がるのは、まず物理的なHDD、もう一つはDropboxやOneDrive、Googleドライブなどのクラウドストレージだ。

 これらはコスト、耐障害性、速度などでそれぞれメリットとデメリットがあり、ユーザの使い方に合わせてどちらか一方を選択するか、もしくは併用するのがベターだ。

 SynologyのNASはどちらのバックアップ方法についても豊富な機能を備えており、また他社製品と使い比べても、設定ウィザードの分かりやすさはトップクラスの出来栄えなので、バックアップについてはまったく初心者という人であっても、SynologyのNASを手に入れれば、バックアップ・マスターの称号を手に入れられる。

 今回は2つの方法の特徴を詳しく紹介したのち、前回と同じSynologyのNASキット「DS216+II」を用い、具体的な設定方法を紹介しよう。

Synology(シノロジー)の「DS216+II」。2台のHDDを内蔵できる、2ベイのNASキットだ

「ローカルのHDD」「クラウドストレージ」バックアップ先としての両者の特徴は?

 前述のように、NASをバックアップする場合、そのバックアップ先は「ローカルのHDD」と「クラウドストレージ」の2つに大別される。まずは最初に、両者それぞれのメリットおよびデメリットをざっとチェックしておこう。おおむね特徴は把握できているという中級者の人は、この章をスキップして次の具体的な設定手順の章へと進んでもらって構わない。

 まずコスト面。クラウドストレージの多くは月契約または年契約で、定期的な支払いが発生する。かつてに比べると価格はかなり安くなってはいるが、仮にNAS全体をバックアップするとなると、テラバイト単位で容量を契約しなければならず、クラウドストレージによっては月に何千円、何万円という費用がかかってしまう。それゆえ現実的には、データの一部だけをバックアップするという形を取らざるをえない。

 その点、ローカルのHDDは、NASと同じ容量のドライブを最初に購入しさえすれば、以降の月額費用はかからないことに加えて、ドライブをまるごとバックアップできるため漏れもなく、復元時もデータを探しやすい。ただし、HDDにはそれ自体の寿命があり、仮に2年ごとに買い替えが発生するならば、平均して数千円/年のコストがかかる計算になる。ハードウェアの寿命による買い替えコストはなにかと考慮されないことが多いが、注意しておきたいポイントの1つだ。

 耐障害性についてはどうだろうか。ローカルのHDDは、それ自体の寿命に加えて、火災や落雷などの災害によって、NAS本体もろともデータが消失する可能性があるほか、物理的に盗難に遭う危険性もある。その点、クラウドは遠隔地にバックアップすることから、NAS本体と同じタイミングで壊れる可能性は低く、ドライブの寿命をユーザが考慮する必要もない。もちろん盗難の恐れもない。

 一方、データの転送スピードについては、ローカルのHDDのほうが圧倒的に高速だ。データの復元時も、クラウドからフォルダ単位でごっそりダウンロードするとなると、容量によっては一晩や二晩かかってしまうことも珍しくなく、クラウドストレージのプランによっては速度や転送量に制限がかかる恐れもある。ローカルであればこうした制限は一切なく、数十分、遅くとも数時間あればドライブを元通りにできる。

 ただし、NASが壊れた際、全体の復旧は後回しにして、さしあたって必要なファイルだけをバックアップから取り戻したい場合、他のデバイスからも参照できるクラウドのほうが、機動力という点では勝っている。

 その一方、ローカルのHDDへのバックアップであれば、バージョン管理機能を使って任意の日付の状態に書き戻すことができ、かつ容量もあまり食わずに済むという利点がある。

 以上のように、ローカルとクラウド、どちらのバックアップ方法にも、それぞれメリットとデメリットが存在しているため、現実的には使い分けるのがベターということになる。SynologyのNASは他社製品に比べて利用できるクラウドストレージの選択肢が多く、詳細な設定が可能なことからハウツー記事で言及されるケースが多いが、外部HDDへのバックアップについても保存できる世代を指定できるなど、機能は負けず劣らず充実している。次章以降、具体的な設定方法について紹介していこう。

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