インタビュー
» 2017年08月22日 06時00分 UPDATE

「想定以上の使用規模」――パーツ購入に仮想通貨を導入したパソコンSHOPアークに聞く

仮想通貨による店頭決済とWeb決済に対応したパソコンSHOPアークに、導入した理由、反響を聞いた。

[井上輝一,ITmedia]

 8月1日に「ビットコイン」(Bitcoin)の“分裂”が起きたものの、依然としてビットコインの価値は下がらない。5月の暴騰以降、1ビットコイン20万円後半で推移の後、7月に一時的に23万円まで下がったが、以降値上がりを続けて8月21日現在では45万円前後で推移している。

 仮想通貨の中でも基軸通貨といわれるビットコインを、いち早く店頭決済に導入した日本の企業はビックカメラだった。それが2017年4月のことだが、その2カ月後には“2番手”として、ある秋葉原のPCショップが店頭決済とWeb決済に対応した。それがパソコンSHOPアークだ。

仮想通貨の店頭決済とWeb決済に対応したパソコンSHOPアーク

 今回、アークを運営するタワーヒルの決済システム担当である浦田優樹氏に、仮想通貨に対応した理由、対応したことによる反響などを聞いた。

「うちがやらずに誰がやる」 仮想通貨「モナコイン」対応

 アークは、「ビットコイン」と「モナコイン」(MonaCoin)という2つの仮想通貨での支払いに対応している。ビットコインは基軸通貨としての対応だが、モナコインとは何か。

 「ビットコインとは違うアルゴリズムを採用した仮想通貨」だと浦田氏はいう。仮想通貨は数あれど、中でもモナコインに浦田氏が注目したのは「日本初、しかも2ちゃんねる発祥の仮想通貨だから」。

アークの浦田優樹氏

 仮想通貨の導入を決めたのは「国による法整備」と「ビックカメラでの取り扱い開始」だったとも語る。

 世の流れとして仮想通貨を受け入れる方向になってきたため、店舗としても決済に対応したかった。対応すべき通貨を選ぶ中で、マイニングブームで注目されていたモナコインに浦田氏は目をつけた。

 調べていくと、モナコインのコミュニティーは通貨を使って広めていくことを重視していることや、仮想通貨の取引所である「Zaif」がモナコインに対応していたことが分かった。これらが、モナコインでの決済へ対応を決めた理由だった。

 「うち秋葉にあるでしょ、PCパーツ屋でしょ。で、モナコインでしょ、2ちゃんでしょ。秋葉の店舗がやらなくてどこがやるのか、と」(浦田氏)

 「大きな企業ではビットコインには対応できても、モナコインのようなアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)の採用は難しい面があると思う。うちくらいの規模の会社が率先して対応することで、コミュニティーへ貢献できたら」と、モナコインの発展に期待を寄せる。

導入は容易

 仮想通貨を決済システムに組み込むには、どれくらいの作業が必要なのか。「自社で決済システムを作っているなら容易」だと浦田氏はいう。

 「ZaifのAPIと自社の決済システムをつなぐだけ。他の作業で並列で行ったので導入を決めてから実装完了するまでに1カ月ほどかかったが、集中して取り組めば数日でできると思う」(浦田氏)

 また、ZaifはEC-CUBE(EC向けCMS)にも対応しているため、EC-CUBEを導入している店舗でも楽に導入できるだろうとのことだ。

利用者からの反響は「想定以上」

 ビットコインとモナコインへの対応を決めた浦田氏だが、当初は「仮想通貨で買い物をしてくれなくても、対応したことでうちが印象に残ってくれればいい」程度の期待感だったという。

 しかし、始めて1カ月で、既に100万円規模で仮想通貨による決済があったと明かす。人数ベースでいえば「日に2、3人」。導入を提案した浦田氏自身でも「10万円程度使われれば」程度の認識だったというので、完全に想定を上回ったということになる。

 仮想通貨での支払いは、その性質上、現状では送金がネットワークに承認されるまでに数分間待つ必要がある。モナコインであれば確認に2分、ビットコインだと10分程度かかるという。

 それについて利用者から不満は出ていないか、と尋ねると「(待たされることも)分かって使っているお客さまがほとんどだと思う。少なくともモナコインを使っている人はほぼそうだろう」

 「それに、Zaif上にモナコインを持っている人ならZaif内での送金になるため即時決済になり、待たされることもない」(浦田氏)

店頭で使う手順は?

 店頭での仮想通貨の決済はどうやるのか。実際の送金まではしなかったが、手順を見せてもらった。

 品物をレジに持っていき、仮想通貨で決済したい旨を店員に伝えるとレジの画面に決済用のQRコードが表示される。それをウォレットアプリで読み取ると送金先のアドレスが分かるため、アプリからそのアドレスへ送金する。店舗側で確認が取れたら購入になる。電子マネーに比べれば、送金処理には一手間かかるが、そう複雑な手順でもない。

仮想通貨で決済したい旨を店員に伝えるとレジの画面に決済用のQRコードが表示される
ウォレットアプリで読み取り、そのアドレス先に送金する

【次回】ゲーミングPCでマイニングはできる?

 「仮想通貨」「PCパーツ屋」とくれば気になってくるのは「マイニング」のことだ。

 マイニング(採掘)とは、ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」の正しさを検証する仕組みの1つ。簡単に説明すると、与えられた「難しい問題」をPCで計算することで、取引の改ざんを防ぐことができる。そしてPCのリソースを割いて計算した見返りとして、仮想通貨で報酬を得ることができる――というものだ。

 計算速度が速ければ速いほど、得られる報酬も多くなる。しかも計算にはグラフィックスカードによるGPU演算処理が向いている(アルゴリズムにもよるが)。

 Twitterなどで、一枚のマザーボードからたくさんのケーブルが伸び、グラフィックスカードを10枚超も接続したような「マイニングマシン」を見たことがある人もいるかもしれない。

 そこまでするのはさすがに骨が折れるが、手元にグラフィックスカードの刺さったゲーミングPCを持っている場合はどうだろう。ゲームをしていない間にマイニングをさせて、ちょっとお小遣いを得るくらいのことはできないだろうか。

 ゲーミングPCによるマイニングについても浦田氏にアドバイスを聞き、それを元に実際に編集部でマイニングをしてみた。

 果たして、ゲーミングPCでお小遣いを稼ぐことはできるのか。(次回に続く)

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