Lenovoグループに入った後も“独自路線”――富士通PC事業の「現在」「これから」(1/2 ページ)

» 2018年01月17日 17時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 富士通と富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は1月16日、法人向けPCの新製品を発表。合わせて両社は同日、東京都内で「富士通パソコン商品戦略説明会」を開催した。発表会では、法人向けPCの新製品と2017年10月・12月に発表された個人向けPCの新製品が披露された。

 FCCLといえば、2018年度第2四半期(4〜6月)中に株式の一部がLenovoと日本政策投資銀行に譲渡され、富士通を含む3社による合弁会社となる予定。手続きが完了すると、出資比率面でFCCLはLenovoグループの一部となる。

 「FMV」「CELSIUS(セルシアス)」を擁する富士通のPC事業は、これからどうなっていくのだろうか。

ARROWS Tab Q738/SB 法人向け新製品の1つ「ARROWS Tab Q738/SB」。筐体構造の見直しによって、本体の薄型・軽量化に成功した。スリムキーボードにはEthernet端子が付き、利便性が向上した
FMV ESPRIMO FH90/B3 2017年12月発表の個人向け新製品「FMV ESPRIMO FH90/B3」。個人向けPCの新製品では、AIエージェント「ふくまろ」を訴求する

「匠」を「疾風」で届ける――37年の歴史を刻んできた富士通PC

FCCLの齋藤邦彰社長 「ふくまろ」の帽子をかぶる齋藤邦彰社長

 発表会の冒頭、FCCLの齋藤邦彰社長は富士通PCの歴史を紹介した。

 富士通のPC事業は1981年に始まった。初号機「FACOM 9450」以来、現在に至るまでいろいろな“世界初”を打ち立ててきたという(いずれも当時)。

  • 1990年:世界初の約1ポンド(約450g)PC(Poqet PC:米国向け)
  • 1994年:世界初のテレビチューナー内蔵PC(FM TOWNS II Fresh・TV)
  • 2000年:世界初のワイヤレス(PHS)モジュール内蔵PC(LOOX T5/S5)
  • 2001年:世界最軽量(約880g)の10.5型ノートPC(LOOX S8)
  • 2004年:世界初の2スピンドル(HDD、光学ドライブ)内蔵タブレットPC(LIFEBOOK T4010D)
  • 2006年:世界最薄(19.9mm)のノートPC(LIFEBOOK Qシリーズ)
  • 2006年:世界初の2方向ヒンジを持つタブレットPC(LIFEBOOK T4210)
  • 2007年:世界最軽量(約58の3G(W-CDMA)モジュール内蔵コンバーチブルPC(LIFEBOOK Uシリーズ)
  • 2013年:世界最薄(15.5mm)のHDD内蔵ノートPC(LIFEBOOK UH90/L)、世界初の「手のひら静脈センサー」内蔵ノートPC
  • 2014年:世界初の「手のひら静脈センサー」タブレット
  • 2015年:世界初のディスプレイ着脱PC(LIFEBOOK GH77/T)
  • 2017年:世界最軽量(約748g)の13.3型ノートPC(LIFEBOOK UH75/B3)

 齋藤社長は「このようなチャレンジは、今後も続けていきたい」と語り、「匠(たくみ)」として技術を磨き、「疾風(はやて)」のごとく適切なタイミングでユーザーに届けるという姿勢は、今後も変わらないことを強調した。

富士通の「世界初」たち 富士通PCが打ち立ててきた「世界初」の数々。今後も、「匠」(技術)を「疾風」のように迅速かつタイムリーに届けることに努めるという

自前の「開発」「製造」「サポート」を維持する

 FCCLは国内にPC製品の開発拠点、製造工場、コールセンター・修理センターを持っている。また、同社はドイツにも研究開発拠点や製造工場を構えている。

 研究開発拠点では、法人ユーザーを対象に既存製品をベースとする「個別仕様仕立て」はもちろん、ユーザーオリジナルの「専用モデル」にも対応できるような体制を整えているという。また、製造工場では高品質かつ迅速に製品を届けられる体制を取っているという。

 齋藤社長は、「スーパーバリューチェーン」と呼ぶこれらの拠点を「どんどん進化させていく」と語り、今後も拠点の維持・強化に努めることを示唆した。

拠点は今後も維持 日本やドイツにある「スーパーバリューチェーン」と呼ばれる各種拠点は、今後も維持・強化していく姿勢を示した
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