米Amazon.comが年に1度開催するプライム会員向けセール「プライムデー」。4回目になる今年(2018年)は、日本での開始が祝日の16日正午だったので、参加した人も多かったことでしょう。
私はあらかじめ「ほしい物リスト」に登録しておいた、7月5日に発表されたばかりの少人数向け「ヘルシオホットクック」をセール価格で買いました。いずれ買おうと思っていたので、新製品なのに安く買えて満足です。
プライムデーはあまりにも多くの商品が並ぶので、事前の準備なしに臨むと画面をスクロールしているうちにタイムセールが終わったりして徒労感ばかりが残ることを過去に学んだ成果です。ほしい物リストは今年初めて使いました。リストに登録してある商品が安くなると通知が来るので便利です。
そういうわけで、今年はプライムデー開始直後にAmazonアプリを起動したのですが、セールのページは表示されず、Amazonの従業員“わんこ”が登場してしまいました。これはTwitterのクジラ(最近見ませんね)に相当する、サーバエラーを示す画面です。PCでWebサイトを開いてもエラーが出ました。
AWS(Amazon Web Services)というクラウドサービスを売るほどのAmazonが準備万端で開催するプライムデーでこの状態にはびっくり。ちなみにこのトラブル中、AWSは無関係に通常稼働していました。
Amazonは問題発生後、「お客様の一部がお買い物しにくい状態で、この問題に急ぎ対処中です」とツイートしましたが、今のところ原因の説明はしていません。
代わりにと言ってはなんですが、米CNBCは7月19日(現地時間)、Amazonから入手したという社内文書を元に当時の状況についての記事を公開しました。
それによると、主な原因はAmazonが社内で開発した「Sable」というシステムが破綻したためだそうです。これは、Amazonで商品を販売する小売業者やパートナーがデータ保存のために使う技術。Amazon内の400ものチームが使っていて、昨年のプライムデーでは毎秒6350万件のサービスリクエストを処理しました。
問題発生に気付いたプライムデーチームは、サーバの負荷を少しでも減らすためにプライムデーのページをシンプルなものに切り替え、世界中からのトラフィックを遮断。ここで、もう1つ問題が発覚し、なんとAWSでもおなじみのオートスケール(負荷に応じて自動的にサーバの台数を増減させること)機能がバグったのでした。
なので、人間が手動でサーバを追加していきました。あの規模のイベントで、手動でサーバ追加って想像するだに恐ろしい。
CNBCの記事からは、Sableにどんな問題があったのかは分かりませんが、問題発生から2時間でなんとか収拾し、結局プライムデーで過去最高の売り上げを更新したのはさすがAmazon。36時間のセール期間中、1億点以上の商品が売れたそうです(昨年は4000万点以上)。
プライムデーの責任者は、社内文書で「テクニカルチームは既にアーキテクチャの改善に取り組んでおり、来年にはよりよい体験を提供できると確認している」と言っていることだし、私も来年はより賢くプライムデーを楽しみたいです。
なお、Amazonはプライムデーのベストセラーを国別に発表しています。日本での(Amazonデバイスを除く)ベストセラーは、ライオンの「【大容量】トップ スーパーナノックス 洗濯洗剤 液体 詰め替え 超特大1300g」と、明治の「ザバス(SAVAS)ホエイプロテイン100 ココア味 50食分 1050g」でした。ザバスのプロテインは昨年に続き、ベストセラー入りです。
Amazonデバイスの中では、「Fire TV Stick」と「Amazon Echo Dot」がベストセラー。Echo Dotといえば、昨年のプライムデーに世界で最も売れた商品でしたが、残念ながら日本では未発売でした。日本では2017年11月にようやく発売され、今回のプライムデーではいきなりベストセラーに入っています。この機会に、スマートスピーカーを初めて手に入れたという人も多いのではないでしょうか。
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